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『日本語のために』日本文学全集30 池澤夏樹­=個人編集

『日本文学全集』  目次を見ただけでワクワクする。1.古代の文体 2.漢詩と漢文 3.仏教の文体 4.キリスト教の文体 5.琉球語 6.アイヌ語 7.音韻と表記 8.現代語の語彙と文体 9.政治の言葉 10.日本語の性格 ― どうです、すごいでしょう。
 内容も広範多岐にわたる。祝詞に始まり、道真・一休・良寛・頼山陽・漱石、般若心経・諸悪莫作、…琉歌、アイヌ神謡集、『マタイ伝福音書』の訳6種や有名な『ハムレット』「第三幕第一場」の6人の翻訳比較、大日本帝国憲法・終戦の詔書、日本国憲法前文…。もちろん全文ではない。抄録、サンプルにすぎないけれど、北から南、古代から現代まで「日本語」の多様性が一堂に会したさまに圧倒されます。長い年月のなかで色の異なる地層が積み重なり褶曲や断層が生じるように、日本語は分厚い地盤と豊饒さを有してきたことを実感させられます。
 池澤夏樹の解説がそれぞれの章の冒頭にあるので読みやすい。収録された小論の筆者や翻訳者には、大野晋、丸谷才一、中井久夫、鶴見俊輔、福田恒存、木下順二、高橋源一郎、伊藤比呂美、中村慎一郎、寺田透、富士正晴、吉川幸次郎など、とても豪華。「言語と文学の関係を明らかにするための実例と日本語論を幅広く集め」(池澤)た本書は、まさに「日本文学全集」全30巻の最終巻にふさわしいと言えよう。

『品格語辞典』 関根健一監修 大修館書店編集部 編

『品格語辞典』  「品格語」?こんな言葉は初めてだ。本辞典では「ふだんづかいの言葉に対し、改まった場面で使える言葉」と定義している。使う際の目安として、ご丁寧に三段階の品格レベルまで提示してくれている。
 敬語の使い方なら実用書から専門書まで書店の棚にたくさん見かけるが、「品格語」なる「造語」を使ってまで辞典にするとは驚く。さてこの「驚く」だが、ふだんづかいの言葉として見出し語になっている。その品格語としては「脅威」「驚愕」「愕然」「噄驚」「驚嘆」「驚倒」「驚天動地」の7例。「びっくり」「たまげる」などがないのは残念だが、今後の充実に期待したい。
 見出し語500項目に品格語のべ3300項目が収録されている。ちょっと改まった場合や文章化する際には便利かもしれない。「やばい」「びみょう」など、くずれた言い方に慣れ、広範な意味に使われすぎて適切な表現を忘れてしまった向きには、語彙を増やし品位ある言い回しを取り戻す効果も期待できそう。いくつかの語には「品格マップ」が載っていて、縦軸が品格の高低、横軸が+-の評価あるいは実用的・文学的を表している。すべての語に用例がついていて、ニュアンスの違いも適宜記されている。
 お堅い辞書ではない。どのページを開いても「ああ、そうなんだ」と楽しめる。表現類語辞典を併用すれば「ばっちり」=「至れり尽くせり、確実、完全、完璧、十分、存分、徹底的、抜かりなく、見事、申し分ない」だろう。

『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』 多和田 葉子

『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』  留学中に故郷の島国が消滅してしまったHirukoは、独自の言語”バンスカ”をつくり出し、同じ母語を話す者を捜す旅に出る ― 。
 旅の途上で出逢う、国も言葉も異なる仲間たちの越境譚です。新展開を見せるその続編。言葉のきらめきを感じ、深い余韻を残します。

『やさしい日本語 ― 多文化共生社会へ』 庵 功雄

やさしい日本語  人口減少を背景に移民受け入れの議論が盛んになっています。
 受け入れるとしたときに解決しなければならないのがことばの問題。地域社会で共通言語になりうるのは英語でも普通の日本語でもなく、〈やさしい日本語〉だけ。
 日本語を母語とする人が「多文化共生社会」を作るために何ができるのかを考えます。