夏越祭
夏越祭は、神道における祭礼のひとつ。毎年の犯した罪や穢れを除き去るための除災行事とされる。
歴史
宮中行事の大祓が民間で、毎年の犯した罪や穢れを除き去るための除災行事として定着したもの。
『拾遺和歌集』に「題しらず」「よみ人知らず」として、「水無月のなごしの祓する人はちとせの命のぶというふなり」という歌にも見える。
夏越の祓は、古くから民間でも見られた年中行事のひとつであり、さまざまな風習が残っている。
夏に挙行される意味として、衣服を毎日洗濯する習慣や自由に使える水が少なかった時代、半年に一度、雑菌が繁殖し易い夏を前に新しい物に替える事で、
残りの半年を疫病を予防して健康に過ごすようにする意味があったのではと考えられている。
また、旧暦6月晦日にはほとんどの地域で梅雨が明け、猛暑と旱が続く夏本番を迎えることになるが、
この過酷な時期を乗り越えるための戒めでもあった。
茅の輪くぐり
参道の鳥居や笹の葉を建てて注連縄を張った結界内に茅で編んだ直径数mほどの輪を建て、ここを氏子が正面から最初に左回り、
次に右回りと8字を描いて計3回くぐることで、半年間に溜まった病と穢れを落とし残りの半年を無事に過ごせることを願うという儀式である。
これは、『釈日本紀』逸文の『備後国風土記』に記されている疫隈国、素盞嗚神社の蘇民将来伝説に由来するもので、武塔神の指示により茅の輪を腰につけたところ災厄から免れ、武塔神は自らを速須佐雄と名乗り去っていったと書かれている。
多くの神社で祭神としているスサノオと習合している例が多数見られる。