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落葉松亭日記(2013年11〜12月)


ニュース・評論のスクラップ、凡夫の日々雑感

12月31日(火) 『米に失望』

先日、安倍首相が靖国参拝したことについて、世界中から大なり小なり批判があった。
米のメディア「ロイター」や米のアカヒ新聞と云われる「ウォール・ストリート・ジャーナル」は「日本孤立」とか「戦略的負担になろう」などといい、「非宗教的戦没者慰霊碑の建立を検討することが必至となるだろう」と大きなお世話な論調だった。
国内のメディアもよく似た論調だったにもかかわらず、世論調査では6〜7割が安倍首相の靖国参拝に賛成とのこと慶賀の至りだった。
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル第134号(12月31日)
http://melma.com/backnumber_190875/

*米国に失望

 総理の靖国参拝に関して、中韓の反発は型通りのもので今更、異とするには値しないが米国大使館の「失望した」との声明には失望した。そもそも日本の総理が日本のどこに行こうが、日本の勝手であって諸外国から文句を言われる筋合いはない。
 ところが外国の理不尽な主張に譲歩するうちに、いつのまにか靖国にも尖閣にも日本の総理は行かれない状態になってしまった。日本は主権を放棄して植民地の道を歩んでいるとしか言いようがなく、この状況を打破するためには、総理も閣僚も靖国にも尖閣にもどんどん行って、日本が独立国であることを内外にアピールする他はない。

 さて、その上で米国大使館の反応だが、如何にも幼稚な声明でキャロライン・ケネデイは女を下げた。とても靖国神社の本質や東アジアの戦略的状況を理解しているとは思えない内容である。もちろんキャロラインは外交の素人だからスタッフが起草したものであろうが、ではそのスタッフはどんな人物なのか?
 米国務省はキャロラインを赴任させるに当たって、数人のスタッフを先行的に赴任させたが、その陣容を見るに経済重視、安保軽視と感ぜられた。経済重視といえば聞こえはいいが、彼らの目的ははっきりしていて、TTPで米国の要求を通すことである。彼らはこの目的意識をもって赴任直後から日本国内で活動していた。
 ところがTTPは年内妥結が不可能となった。もし年内妥結に成功すれば彼らもクリスマスには米国に帰りテキーラで祝杯を挙げたであろうが、これでは帰って国務省のボスに会わせる顔がない。おそらくクリスマス休暇も許されなかったのではないか。

 もちろん、妥結延期の原因は米国の要求が強硬過ぎるためだが、スタッフの目には「妥協しない安倍政権の姿勢こそが元凶」に映るだろう。つまり「俺たちがクリスマスに帰国できないのは、すべて安倍が悪いのだ」 かくてクリスマスの翌日に靖国神社に参拝した安倍総理に、呪詛に満ちた声明を発したというのが真相ではあるまいか。してみると、この声明はTPP妥結延期への意趣返し、もっとはっきりいえば八つ当たりと見た方がいいだろう。

中共の軍事台頭の現在、日本には靖国参拝批判、事なかれ主義をおしつけ、同盟国米の世界に対する影響力は徐々に衰えているきている感じだが、こんな記事があった。
米国人も感じている米国の凋落 世論調査から見える「実感」 2013.12.30 Mon posted at 18:21 JST
http://www.cnn.co.jp/usa/35041480.html?tag=top;subStory

米国人も米国の凋落を感じているという調査結果が出た(CNN)
いわゆる米国の凋落(ちょうらく)に関する議論は、2012年の米大統領選の間に行われた政治的議論の底流にあるテーマのひとつだった。そして、それは今でも、外交政策の研究者に繰り返し扱われるテーマでもある。
オバマ政権が医療保険制度改革などの国内問題に注力しているときに、調査機関ピュー・リサーチ・センターの世論調査で分かったことは、外交政策の専門家の多くが米国に対して悲観的な見方をしているということだ。そして、米国の人々も、米国の世界的な力や名声が下落しつつあるということに同意しているようだ。

国による世界的な関与への米国民の支持は2013年初頭に歴史的な低水準にまで低下しており、さらに下がり続けている。世間の人々は、米国が世界的な問題の解決に力を注ぎすぎていると考えており、国には国内問題にもっと目を向けてほしいと思っている人の割合が増加している。
実際のところ、米シンクタンク「外交問題評議会」(CFR)と共同で4年ごとに実施している外交政策に関する調査の最新の結果によれば、40年前の調査開始以来始めて、過半数の米国人が、「米国が10年前よりも世界のリーダーとしての重要性や力強さを失った」と考えていることが分かった。
前回調査の09年と比べると12ポイントの増加であり、04年の調査でそう考えている米国人はわずか20%だった。

さらに、70%の米国人が、米国は以前よりも尊敬されなくなったと考えている。これは、ブッシュ前政権の2期目と同程度の水準であり、12年前半から見ると15パーセントポイントの増加だった。
一方で、米国による国際問題に対する関与については、懐疑的な見方が広がっている。
最新の調査では、半数を超える人たちが、米国は自国の問題に注意を向けて、他国に関してはその国々が出来る範囲に任せるべきだと考えている。こうした見方に反対しているのはわずか38%で、50年近い調査の歴史のなかで最も内向きの結果となった。
シリアの化学兵器処理の問題やリビアでの内戦などを経て、約半分の米国人が、米国は国際問題の解決に注力しすぎていると考えている。なぜ、そう感じるかという問いかけには、47%の人たちが経済などの国内の問題にもっと目を向けるべきだからと回答した。
こうした変化はどこから来ているのだろうか。党派心が大きな要因かもしれない。
共和党支持者の約4人に3人が、米国が10年前よりも重要性や力強さを失ったと考えている。
この割合は4年前は50%で、04年7月にはわずか8%だった。

無党派層でもそうした見方が、04年の約25%から、今回は55%にまで増加した。一方、民主党支持者では3人に1人がそう見ているが、この割合はほとんど変化していない。
米国が国際的に尊敬されているかどうかの問いに対しては、共和党支持者の80%、無党派層の74%、民主党支持者の56%が、以前よりも尊敬されなくなったと答えている。国内問題に注力すべきとの見方には、無党派層と共和党支持者の約半分と民主党支持者の46%が賛同している。

外交政策の専門家も米国の世界における役割について否定的な見方をしている。CFRの調査によれば、専門家の62%が米国は世界のリーダーとしての重要性や力強さを失ったと見ている。そう見ていたのは、09年には44%、米同時多発テロ直後の01年9月には25%だった。
こうしたことが示唆するのは、米国の凋落に関する議論は、米国人の耳目を引きつける話題だろうから、これからも新聞の社説やテレビ番組で続く可能性が高いということだ。とはいえ、現実には、米国の人々の見方はすでに定まっているようだ。

本記事は調査機関ピュー・リサーチ・センターで、世界中の様々な事柄を対象に世論調査を行う「グローバル・アティチュード・プロジェクト」のディレクターを務めるブルース・ストークス氏によるものです。記事における意見や見解はすべてストークス氏個人のものです。
いよいよ、自分の身は自分で守らなければならない時代になってきている。

12月27日(金) 安倍首相が靖国参拝

ようやく?安倍首相が靖国参拝を果たした。
10月には中韓との関係改善を狙い、秋気例大祭で参拝せず、真榊奉納(私費)にとどまった。
この真榊奉納だけでも、韓国は文句を云っていたように思う。朴槿恵はその後も告げ口外交を展開、中共は航空識別圏を拡大、要するに反日や尖閣盗り軍拡は変わらなかった。ウジウジと日中友好だの日韓関係改善だのと拘っている日本がバカを見た。本来先祖の御霊に参拝するのに外国が干渉すること自体がおかしい。
安倍首相が靖国神社に参拝 政権1年、就任後初「恒久平和の誓い、お伝えした」 産経 2013年12月26日(木)13:42
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20131226547.html

 安倍晋三首相は政権発足から1年となる26日午前、東京・九段北の靖国神社に参拝した。首相による靖国参拝は平成18年8月15日の小泉純一郎首相以来、7年4カ月ぶり。首相は第1次政権時代の不参拝について、かねて「痛恨の極み」と表明しており、再登板後は国際情勢などを慎重に見極めながら参拝のタイミングを探っていた。首相は参拝後、記者団に「この1年の安倍政権の歩みをご報告し、二度と再び戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓い、決意をお伝えするためにこの日を選んだ」と語った。

 同時に、靖国境内にある世界のすべての戦没者を慰霊する「鎮霊社」にも参拝した。その上で「恒久平和への誓い」と題した「首相の談話」を発表し、「中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは全くない。中国、韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたい」と訴えた。

 「痛恨の極みとまで言った以上、その発言は重い。戦略的にも考えている」
 首相は25日夜、周囲にこう語り、靖国参拝の可能性を示唆していた。10月半ばにも周囲に「年内に必ず参拝する」と漏らしていた。
 首相は昨年12月、いったんは就任翌日の27日に靖国に参拝することを計画したが、当時はまだ中国、韓国や同盟国の米国の反応や出方が見えにくかったこともあり見送った。
 だが、その後も中韓は、首相が「対話のドアは常に開かれている」と呼び掛けているにもかかわらず、首脳会談に応じようとしていない。韓国の朴(パク)槿(ウ)恵(ネ)大統領は世界各国で対日批判を繰り返し、中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定するなど、一切歩み寄りを見せない。
 また、戦没者をどう慰霊・追悼するかはすぐれて内政問題であり、東アジア地域で波風が立つのを嫌う米国も表立った批判はしにくい。米国とは安全保障面や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など経済面での関係を強化しており、反発は一定レベルにとどまると判断したとみられる。

野党は相変わらず「侵略戦争を美化」「外交の行き詰まり」の論調で猛反対。
TVウォッチャーのブログに依れば、コメンテーターが深刻そうに批判しているらしい。
安倍首相靖国参拝:野党は猛反発 毎日 2013年12月26日(木)13:18
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/politics/20131226k0000e010270000c.html

 自民党の石破茂幹事長は26日午前、党本部で記者団に「平和を願い、国のために殉じた御霊(みたま)に哀悼の意を表する思いで参拝を決意された」と説明。「真意を分かってもらえれば外交問題に発展することを避けるのは十分可能だ。中国、韓国にも冷静な対応を期待したい」と述べた。首相からは同日朝、電話で参拝の意向を伝えられたという。

 一方、民主党の海江田万里代表は国会内で記者団に「首相という立場に個人的な思いや私人の立場はない。外国の声がどうこうではなく、日本の主体的判断として参拝は自重する態度をとるべきだった」と批判。共産党の志位和夫委員長は記者会見で「自らを侵略戦争を美化する立場に置くことにほかならず、断じて許されない。中韓との外交の行き詰まりを一層深刻にするものだ」と述べた。社民党の福島瑞穂副党首は「安倍政権は第二次世界大戦は侵略戦争だったという認識を変えようとしており、大きな危惧を感じている」と語った。

 日本維新の会の松野頼久・国会議員団幹事長は「国のために命を落とされた先人に哀悼の意を表されたことは評価する」としたうえで「国会での特定秘密保護法や国連平和維持活動での(韓国軍への)弾薬提供など安全保障問題と絡んだ時期に参拝したのは、少しタイミングを考えるべきではなかったか」と疑問を呈した。みんなの党の渡辺喜美代表は「個人の信仰の問題であり、とやかく言うことはない」とのコメントを発表した。

先日、南紀方面を廻ったが、シナ人旅行者が大型バスで来ていた。顔立ちは日本人と変わらないが雰囲気は大声でしゃべくりあい賑やか。山奥の川湯温泉にも来ていた。外交関係は冷えても庶民には関係ない。
日本人は分け隔てなく対応しているのがいいのか、旅行者が絶えることはない。


19日(木) 政府、国家安保戦略を決定

中共・朝鮮半島の軍事脅威に対する安倍政権の対応、国防戦略・大綱が決定した。
国際秩序主導に転換 政府、国家安保戦略を決定 2013年12月18日(水)08:02 (産経新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20131218085.html

 政府は17日、国家安全保障会議(NSC)と閣議を開き、外交・安全保障政策の包括的指針である「国家安全保障戦略」と「防衛計画の大綱」、平成26年度から5年間の「中期防衛力整備計画(中期防)」の3文書を決定した。
初策定の安保戦略は、安倍晋三首相が掲げる積極的平和主義の立場から「国際社会の平和と安定、繁栄の確保に積極的に寄与する」と基本理念に明記。自国の平和だけを追求する一国平和主義を脱し、国際秩序の構築に主導的な役割を果たしていく姿勢を鮮明にした。
 安保戦略は、昭和32年に岸信介内閣が策定した「国防の基本方針」に代わるもので、約10年先を見据えた最上位の戦略文書。日本の平和に加え、自由貿易体制の維持や民主主義など普遍的価値に基づく国際秩序の維持を「国益」と定義。日米同盟を軸に各国と協力を進め「国際社会の主要プレーヤーとして積極的な役割を果たす」とうたった。

 中国の軍拡や北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に、アジア太平洋地域で「平時でも有事でもないグレーゾーンの事態が生じ、さらに重大な事態に転じかねない」と指摘。政府、自治体、民間の連携を強め、武力攻撃や大規模災害など「あらゆる事態にシームレス(継ぎ目なし)に対応する総合的な態勢を構築」すると明記した。

 武器の輸出を事実上禁じてきた武器輸出三原則などに代わる新原則を定め、武器の国際共同開発や平和貢献のための輸出に参画していく方針も盛り込んだ。

 安保戦略に基づく防衛力整備の指針である防衛大綱と中期防では、陸海空3自衛隊の一体的運用や南西方面への機動展開能力を重視した「統合機動防衛力」を、前大綱の「動的防衛力」に代わるコンセプトに掲げた。
 指揮系統を全国的に一元化した「陸上総隊」の創設や、離島防衛のための「水陸機動団」の創設などが柱。
 弾道ミサイル対応のための敵基地攻撃能力の保持については「発射手段への対応のあり方を検討し、必要な措置を講じる」と間接的な表現で盛り込んだ。


安倍首相のアセアン外交
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成25(2013)年12月19日(木曜日) 通巻第4091号
http://melma.com/backnumber_45206/

アジア太平洋の環境激変に対応できる国防体制構築へ
オスプレィ十七機、イージス鑑八隻、水陸両方戦車など装備向上の「防衛大綱」


▼日本の遅すぎた対応の前段階は「日本アセアン首脳会議」での合意だった
 12月13日、14日と東京迎賓館で開催された「日本アセアン特別首脳会議」に関して、日本での報道があまりに少なく、且つ記事内容があまりにも貧弱だったことに筆者は驚いてしまった。
 これは大袈裟に言えば昭和十五年の大東亜会議に匹敵するほどの画期的な集まりで、政治混乱のため出席を見合わせたタイのインラック首相をのぞいて、アセアン加盟すべての首脳が東京に一堂に会し、しかも「航空路の安全」など中国牽制の文言を共同声明に盛り込んでいるのである。

 日本アセアン首脳会議それ自体は1977年から開始され、東京での「特別会議」は2003年についで二度目だが、従来は経済協力のレベルにとどまり、政治論議とりわけ安全保障問題でも討議もなければ、合意されたこともなかった。

 安倍首相は就任以来、じつに意欲的にアセアン諸国を歴訪した。
 2013年一月にベトナム、タイ、インドネシア、五月にミャンマー、七月にマレーシア、シンガポール、フィリピンを歴訪し、十月にブルネイ、十一月にラオス、カンボジアと僅か十一ヶ月の間にアセアン十カ国すべてを巡回し、さらにこの間には欧米ならびに産油国とトルコ、モンゴルを歴訪し、事実上の中国包囲網外交を確立した。来年にはアフリカ訪問が外交日程にのぼっている。
 これほど猛烈なスピードと熱意をこめた外交には安倍首相の思い入れも深くこめられている。
 アセアン歴訪では行く先々で経済援助、インフラ建設協力、円借款という既存の援助外交にプラスして、
第一に文化交流の深化を謳った特別チーム(ビートたけしらも加わり座長は山内昌之前東大教授)を設立して事前に各国に派遣し、さらには東京で日本アセアン音楽祭も開催した。

第二に軍事面での協力を謳い、航行の安全(つまり中国の海洋覇権への牽制)に合意を取り付け(カンボジア、ラオスをのぞく)、さらにベトナム、フィリピンとの間では安全保障の分野でもっと踏み込んだ協力関係を打ち立てた。ついでに言えば台風災禍のフィリピンへは災害融資枠の五倍増、自衛隊1180名という大規模な派遣を実現し、日本なりのトモダチ作戦を展開したことは記憶に新しい。

第三に日本の防衛力整備に関して、どの国からも反論はなく、いなインドネシア、フィリピン、ベトナムからは歓迎の旨が伝えられた。

▼アセアン十カ国首脳が東京に勢揃いした
このような背景と環境変化のもと、協力四十周年を記念する名目で「日本アセアン特別首脳会議」は12月12日に実質的に開始された。
開催の二日前に安倍首相は迎賓館を下見するほどの熱の入れようであり、13日に首相官邸で開かれた歓迎の宴ではユネスコ文化遺産にもなった和食を参加者にふるまっての「おもてなし」を印象づける演出までした。

本会議に前後して、安倍首相は個別会談を次々とこなした。
12日にはナジブ(マレーシア首相)と会談して「海上保安当局間の協力」を確認し、13日にはボルギア(ブルネイ国王)と省エネ技術協力で合意し、フィリピンのアキノ大統領とは年初来懸案だった巡視船十隻供与を決定したうえ、災害融資五倍を決めた。

同日、ユドヨノ(インドネシア大統領)とは、外務・防衛閣僚級協議の検討を確認し、鉄道などへの円借款620億円供与をまとめた。同日、リー・シェンロン(シンガポール首相)との会談では外貨融通枠30億円の合意を歓迎するとしたうえ、14年5月にシンガポールで開催される安全保障会議への出席に前向きの姿勢をしめす。

 14日は本会議である。
 この席で安倍首相は中国の防空識別圏に言及し「力ではなく法が支配し、努力した者が報われる繁栄した経済社会をつくりたい」と強調した。名指しこそしていないが、明らかに中国をつよく牽制したのだ。
 翌日の15日にはトンシン(ラオス首相)と会談し、「外務防衛当局間の安保対話調整で一致したほか、空港拡張工事に100億円のODA供与で合意した。
ティン・セイン(ミャンマー大統領)とは五月の歴訪時に表明した円借款に多少の増額を表明し、ティン・セイン大統領は日本が造成するティラワ工業団地の受け入れ環境の整備などを約束した。

ズン(ベトナム首相)とはフィリピンに引き続く巡視船供与、原発建設での協力の他、ハイウェイ建設に960億円の円借款供与を決めた。
 フンセン(カンボジア首相)とも防衛当局間の連携を確認し、130億円の円借款供与を表明した。
 インラック首相に代わって参加したタイのニワットタムロン副首相の表敬訪問を受けた。
 とりわけ中国の東シナ海上空に一方的に設定した「防空識別圏」について、「力により一方的に現状を変更しようとする試みは受け入れられない」とする日本の立場を表明した。

▼かくして防衛大綱は改定された
 そして政府は「防衛大綱」を纏めるのである。
アジア太平洋の軍事上の激変と、政治環境の激変に対応するため、2010年に策定された防衛大綱を三年で改訂したのは異例のことである。
この新しい防衛大綱には「中国は軍の艦艇や航空機による太平洋への進出を常態化させ」「力を背景とした現状変更の試みなど、高圧的とも言える対応」と表現して「中国の軍事動向は強く懸念している」とした。

そのうえで、日本は対応能力の向上を総合的になすことを基本の方針に据えた。
具体的には陸海空の総合的一体運用を目指し、護衛艦54隻体制、戦闘機280機、機動戦闘車99両、オスプレィ17機、水陸両用車52両、AWACS4機、空中給油機3機、F35が28機などの装備充足が並んだ。 ただし「集団的自衛権」への言及は今回もなかった。さきに安倍政権は「国家安全保障会議」を設立しており、「積極的平和主義」という比喩を用いつつ、今後十年の対応を策定する。
 他方、日本政府は米国に対して日米防衛協定に見直しも打診したが、米国側は賛同しなかった。



12月17日(火) 洗剤の匂い

「スメハラ」、スメル(におい)・ハラスメントの略語だそうな。
おそらく日本にしか通じない造語と思われる。はっきり云えば臭公害だ。
あの洗濯洗剤の匂い。メーカーは「香り」のつもりらしい。
自分も、しがない公団アパート住まいで、春から秋にかけて窓を開放して暮らす時期はこれに悩まされる。
洗濯日和ともなると、プンプンとキツーイ香料の匂いが漂ってくるのだ。
なんでこんなに人工香料を入れる必要があるのだろうか。
お隣さんに「あんさんとこ、洗剤どこのメーカーのもの使うてまんの、ものすごい匂いキツイねぇ」なんてなかなか云えるものではない。
トイレットペーパーもそうだ。うっかり「花の香り付き」を買おうものなら、使い切るまでトイレに入る度に買ったことを後悔しながらキバルことになる。
メーカーさんよ、付加価値もほどほどに、あんまり余計なことしないように願います。
良心的なメーカーさん、是非無臭タイプを、大きな「無臭」マークを付けて売上伸ばしてください。
ついでに云うと・・もう通勤電車には乗らなくなったが、化粧品の匂いのキツイ人いたなぁ。あれもスメハラだな。
日本で「鼻戦争」が勃発―香り付き柔軟剤に苦情も 2013/12/13
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303747904579255870357771580.html?reflink=Goo&gooid=nttr

By MAYUMI NEGISHI AND PHRED DVORAK
 【東京】日本の環境省は今夏、省エネ対策でエアコンのあまり効いていないオフィスで働く女性向けに、奇抜な暑さ対策を考え出した。女性のクールビズのポイントについて説明したウェブサイトで、汗の臭いを抑えるために香り付きの柔軟剤を使うことを提案したのだ。
 香料好きな米国では柔軟剤の香りは数ある香りの1つにすぎないかもしれないが、さりげない香りを好む日本では、ちょっとした問題を引き起こした。
 バラ戦争ならぬ「鼻戦争」だ。

 近年、多くの日本の消費者が、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の柔軟剤「ダウニー」をはじめとする香り付きの柔軟剤を使用し始めている。そのため、1年を通して日本中至る所で物干しざおに春の花の香りが漂うようになった。しかし、香り付きの製品の人気が高まるにつれ、それに異議を唱(とな)える人たちも出てきている。そうした人たちはダウニーや日本の同様の製品を「近所迷惑」や「公害」、「ハラスメント」になぞらえ、自治体当局や規制当局に働きかけている。その結果、小さいものではあるが、いくつか勝利を収めている。

 環境省の香り付き柔軟剤の推奨を受け、化学物質過敏症支援センターや「香料自粛を求める会」などの団体が行動に乗り出した。また、受動喫煙ならぬ「受動ダウニー」についてブログで怒りをあらわにする人も登場している。日本のメディアからは「スメル(臭い)」と「ハラスメント」と組み合わせた「スメハラ」という造語も飛び出した。

 反農薬東京グループは環境省宛てに要望書を提出した。ネットに公開された要望書によると、その中で同グループの辻万千子代表は「『匂い対策となる香り付き柔軟剤』については、開いた口がふさがりませんでした。貴省は、大勢の人たちが柔軟剤や香料で健康被害を受けていることをご存知なかったのですか」と述べている。

 また、あるブロガーも「近所迷惑!ダウニー臭い!」と題したブログで、「環境省として、あまりにも、浅はかな提案が含まれているようです」と同様の意見を示した。
 辻氏の要望書に対し、環境省は文書で、柔軟剤は調査で女性が挙げた問題の解決策として提案したもので、健康被害との関連性を示す十分な証拠はないと回答した。
 しかし、環境省は数日後、物議を醸した提案を「元気に夏を乗り切るには旬の食材を―夏野菜で体の中からクールダウン」という文言に差し替えた。

 この件について、米オハイオ州シンシナティにあるP&G本社の広報担当者にコメントを求めたところ、東京オフィスに問い合わせるよう促された。東京オフィスの広報担当者は、敏感な問題だとしてコメントを控えた。

 この香りをめぐる争いの一因は、日本の消費者文化の変化にある。欧米人の好きな石けんからアフターシェーブローションに至るまであらゆるものに使用されている鼻を突くブーケの香りを、日本人は長年鼻であしらってきた。香の煙の控えめな香りを良しとする日本文化の中で、香水やオーデコロンの売り上げは苦戦している。調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、日本は美容・パーソナルケア製品に関しては世界第2位の市場だが、香水や芳香剤の消費に関しては19位だ。

 奈良市の薬師寺と公益財団法人「お香の会」の事務局長を務める三井正昭氏は、香道では目覚めや異なる世界観を得るために「心で香りを聞く」とし、「欧米では、においは嫌な臭い、臭いものを隠すために用いられる。全然違う」と話す。「お香の会」は日本文化と香の良さを伝えるために2009年に創設された。
 柔軟剤市場で世界をリードする「ダウニー」が日本で発売されたのは2002年。米国での発売から実に40年後だ。
 しかも、「ウルトラダウニー」を日本に持ち込んだのはP&Gではなく、パーソナルケア製品の輸出入を手掛けるシービックだ。P&Gジャパンの広報担当者によると、ダウニーの香りは「日本の市場には適していない」と判断し、同社の欧州向け柔軟剤「レノア」の香りを抑えた日本独自の製品を販売した。
 しかし、シービックは商機を嗅ぎ取っていた。ダウニーの売り上げは急増し、10年以上にわたって毎年2桁から3桁の伸びを見せている。女性誌でも人気の男性タレントがダウニーを使用しているという記事が取り上げられた。
 花王やライオンなど日本の柔軟剤メーカーも、「フレア フレグランス フローラル&スウィート」や「ソフラン アロマリッチ」といった名称の従来より香りの強い柔軟剤を販売し始めた。また、ネイチャーラボは「香りのセレブ」とうたった柔軟剤「ランドリン」を販売している。

 日本香料工業会(JFFMA)によると、柔軟剤や石けんなどの商品に使用されている香料の年間生産量と輸入量は08年から12年の間に合わせて22%増加し1万2502トンに達している。ある業界団体によると、今年9月30日までの半年間で、香り付き柔軟剤市場は前年の2倍を超える規模にまで成長している。
 また、柔軟剤の香りが最大限に出るようにするためのコツ(洗濯物を屋外ではなく室内に干す)から、衣類のかびの臭いを取り除くための方法(それら衣類を柔軟剤に浸したタオルで拭く)まで、柔軟剤のあらゆる活用方法を紹介したブログムもあふれている。
 しかし、臭いに関して従来的な考えを持つ人たちは、もうたくさんだと述べ、アロマ拡大競争の終息を訴えている。

 東京近郊在住の木村優子さんは、「この1年で香りは本当に強くなった」と話す。木村さんは、電車で男子高校生の一団を見かけると慌てて降りている。柔軟剤の香りを最も強く漂わせているのが男子高校生だという。「普通の空気が恋しい」と木村さん。
 過去1年で、国民生活センターのホットラインに寄せられる、香り付き柔軟剤をはじめとする香料で頭痛や吐き気をもよおしたとする苦情の電話は急増している。
 同センターでは、さまざまな柔軟剤をテストし、健康被害の有無を確認したが、その結果は何とも言えないという。しかし、同センターは9月、柔軟剤使用者に注意を促した。時間の経過と共に嗅覚が鈍り、柔軟剤を多く入れすぎている可能性があるとし、「他人は不快に感じることもあるということを認識」するよう促した。

 日本石鹸洗剤工業会の広報担当者は、メーカーに柔軟剤の1度の使用量の目安を少なくするよう要請することも検討していると述べた。シービックは年内に、同社で扱う柔軟剤に「香りの感じ方や好みが個人により異なるので、適正な使用量を守って、香りを楽しんでください。誰かに迷惑をかけるのはやめて、楽しんでください」といった内容の文書を添付する予定だという。
 岐阜県在住の元教師で、現在「香料自粛を求める会」の代表を務める小沢祐子氏は「現代社会の公害にも値する」と話す。「香料自粛を求める会」は香料アレルギーや嗅覚過敏に対する意識向上を目的に3年前に創設された。小沢氏は、鋭い鼻を突く香りを漂わせたファッショナブルな女性の横を通り過ぎた後に気を失ったことが2度あると話し、そんなことは2度と起こらせないと意気込む。
 小沢氏は岐阜市に対し、ガスマスクを付け、自らの症状を説明しながら、人々に芳香剤の使用抑制を呼びかけるサインを市役所の各所に掲示するよう訴えた。

 岐阜市当局者は現在、自分たちは香水や整髪剤の使用は避けていると話す。しかし、ある職員は「柔軟剤は難しい。他の人が買うケースが多いので。うちはかみさんが決めている」と話す。


12月16日(月) 中共・無人探査機月面軟着陸成功

米国、旧ソ連に続き、月面軟着陸を成功させた3番目の国となった。
高度な技術力と資金、大したものと思う半面、なんともアンバランスな国。
中共国内の公害や暴動、所得格差、中共幹部の不正横行は放置してまで行うのは、やはり軍事が主目的らしい。
中国の無人探査機が月面着陸、探査車「玉兎号」出発 2013.12.15 Sun posted at 10:01 JST
http://www.cnn.co.jp/fringe/35041424.html

中国の月面探査機が着陸に成功
(CNN) 中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)3号」が月面軟着陸に成功し、日本時間15日未明、搭載していた探査車「玉兎(ぎょくと)号」を月面に降ろした。
玉兎号は重さ約140キロの6輪車。4台のカメラと2本の掘削用ロボットアームを使い、3カ月以上かけて月の土壌や岩石、地殻を調査する。光学望遠鏡や極紫外線カメラを搭載し、地球の大気圏の各層なども観測する。夜間はマイナス180度にも達する低温に対応するため、原子力電池のヒーターが備え付けてある。
嫦娥3号は今月2日に打ち上げられ、5日間足らずで月の周回軌道に到達。10日には月面の上空15キロまで接近する楕円軌道に入り、14日夜に予定通り「虹の入り江」に着陸した。
中国は1960〜70年代の米国、旧ソ連に続き、月面軟着陸を成功させた3番目の国となった。同国は2003年に初めて有人飛行船を打ち上げてから積極的に宇宙開発を進めてきた。米国防総省によれば、昨年のロケット打ち上げ回数は18回に及んだ。

中国軍は月を宇宙要塞に変える=中国宇宙開発専門家
http://www.epochtimes.jp/jp/2013/12/html/d69506.html

【大紀元日本12月6日】北京紙の北京晩報は2日、中国の専門家の話として、地球の衛星である月に軍事機能を備えた要塞を設置するという中国軍の計画を伝えた。中国は2日未明に同国初の無人月探査機「嫦娥(じょうが)3号」を打ち上げており、ミサイル基地計画は月面着陸成功後を見越したもの。
 宇宙開発を担当する国家機関・中国国家航天局に所属する専門家は、2030年までに初の中国人宇宙飛行士を月に到着させる予定だと話した。また2050年までに、月を深宇宙(地球の大気圏外の宇宙空間)の調査をするために中国製有人飛行船を離着陸させる基地にするという。
 この専門家は、月は唯一の地球の自然衛星であり、武器に変わると付け加えた。まるでSF映画『スターウォーズ』に登場する宇宙要塞『デス・スター』のように、中国軍の戦闘部隊と弾道ミサイルは地球のいかなる目標に対しても発射できるという。中国軍の武器実験基地やミサイル発射基地も月で設置することが可能だと話した。
 中国は現在、世界で唯一月の探査計画を進めている国。「嫦娥3号は我々の膨大な計画の始まりに過ぎない」と強気な姿勢を誇示した。
 嫦娥3号は12月半ばに月に到達する見通し。月面着陸が成功すれば米国、旧ソ連に続き世界で3番目となる。着陸後は3カ月間にわたり天体観測など科学観測を行う予定だ。
(翻訳編集・佐渡 道世)

飛行士3人搭乗の有人宇宙船神舟10号は、さる6月26日、15日間の飛行を終え内モンゴル自治区に着陸した。
宇宙開発で中国が猛追 軍事と一体で推進 米ロで三つどもえの構図 2013.8.14 15:49
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130814/chn13081415500003-n1.htm

 米国とソ連・ロシアが主導してきた宇宙開発は、急速に経済発展した中国が加わり新たな局面に入った。中国は独自の宇宙ステーション建設を視野に両国を猛追している。
 「宇宙ステーション建設は計画通りに進展しており、20年前後に完成させる」。無人宇宙実験室「天宮1号」とのドッキングを成功させた有人宇宙船「神舟10号」が帰還した6月26日の会見で中国有人宇宙飛行プロジェクトの王兆耀主任は自信たっぷりに話した。中国は宇宙開発を長期的発展の鍵を握る国策と位置付け、軍事技術開発と一体で推進。宇宙での資源獲得も視野に「数十年先行する」(中国メディア)米ロを追う。
 今年後半には無人探査機を月面に着陸させる「嫦娥3号」を、15年前後には二つ目の無人宇宙実験室「天宮2号」を打ち上げ。「莫大な宇宙開発費を貧困対策に回すべきだ」などの声もあるが、中国指導部は宇宙開発の成果を誇示して国威発揚を図っていく構えだ。(共同)

(一部引用)
中国ネットで話題の風刺ジョーク集、「中国にじいさんあり」が面白い 配信日時:2013年12月6日 23時47分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80043&type=60

・・・
宇宙船・神舟10号の打ち上げが成功した!喜びに沸く人々。記者は老人に取材した。
「ご老人、神舟10号の打ち上げ成功は何を意味していると思いますか?」
汚職取り締まり、教育、住宅、医療、食品安全…これらの問題は…“天に昇る”より難しいということじゃよ。
(解説: 「天に昇るより難しい」(比登天還難)という慣用句とロケット打ち上げをかけたジョーク)
・・・



12月13日(金) 消費税・軽自動車税引き上げ

来年度の税制大綱が決まった。
いよいよ消費税が8〜10%にアップする。
年金オジンとしては今年も年金が減額になったが、来年からこの消費税の増額が追い打ちとなって身にしみることだろう。
さらに我が足となっている軽自動車の税が引き上げられる。記事に依れば平成27年度新規購入からとのことだが、既に保持している車には影響ないのだろうか。

軽自動車はTPPで米が目の敵にしている由。大型な米車が日本では庶民の車として売れるわけはないと思うが、TPP交渉上の戦略とみる論評もある。
長年親しまれた軽自動車だが、最近のコンパクトカーはリッター当たり35kmという燃費のよいのもあるらしい。 軽自動車制度も外圧や技術革新で終焉を迎えるのだろうか。
来年度の税制改正大綱決定 軽減税率、時期あいまい 「来年末に結論」と先送り 2013年12月13日(金)07:57(産経新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20131213082.html

 自民、公明両党は12日、平成26年度の与党税制改正大綱を決定した。最大の焦点だった生活必需品などの消費税率を低く抑える軽減税率については結論を事実上先送り。暮らし面では、軽自動車税の増税や給与所得控除縮小などで家計負担が増す一方、復興特別法人税の1年前倒し廃止などで企業の優遇策が目立った。

 軽減税率については、財源を確保しつつ国民の理解を得た上で「(消費)税率10%時に導入する」と明記したが、具体的な時期については10%への引き上げ時か引き上げ後かあいまいな形で決着した。制度内容は、26年末までに結論を得て、27年度の税制改正大綱に盛り込むとしているが、対象品目の線引きや税率など重要項目には課題が山積。制度の導入に積極的な公明党と慎重な自民党の意見対立は解消しておらず、協議は難航しそうだ。

 一方、今回の大綱では来年4月の消費税増税後の景気の腰折れ対策に重点が置かれた。復興特別法人税の1年前倒し廃止や、賃上げ実施企業の税金を軽くする施策の拡充を盛り込んだ。減税を賃上げに結びつけ、景気浮揚を図る狙いだ。今回の税制改正と10月にまとめた成長戦略関連の投資減税を合わせた減税規模は、国税・地方税の総額で7400億円程度になるという。

 暮らし面では、自動車課税や所得関連での増税が目立った。来年4月から、自動車重量税は登録13年超〜18年の車を対象に増税。毎年支払う軽自動車税も、27年4月の新車購入分から、乗用車で現在7200円の税額が1・5倍の1万800円に引き上げられる。

 年収1千万円を超える高額所得のサラリーマンの給与所得控除については2段階で縮小し、増税する。年収1200万円超は28年1月から、1千万円超は29年1月から増税される。

TPPで軽自動車が消えるか 予想される業界3つのシナリオと投資パターン MONEYzine 10月16日(水)8時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131016-00000000-sh_mon-bus_all

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)というと“聖域5品目”(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、サトウキビなどの甘味資源作物)ばかりが注目されていますが、国民全体にとってはこれらが一部でも自由化されれば食品価格の下落メリットが大きいといえます。実際、小麦は今でもほとんどが輸入(政府が価格を吊り上げて販売)、牛や豚の餌はほぼ全量輸入、砂糖は北海道と沖縄への政治的な配慮だけの産物といえます。

 農業就業者は3.5%に過ぎないうえに(出所:総務省「労働力調査」)、大部分が高齢者で後継者難、GDPでは1%程度に過ぎません。落としどころは、米粉や砂糖入り原材料などを含め586品目もの“聖域”を半減し、残りは高関税化するという方向と予想されます。

 もちろん、欧米で行われているような農業従事者への所得補償は高額になり、金融が本業となっている農協組織にも配慮することになるでしょう。一方、誰にでも分かりやすい形で変化がありそうなのが軽自動車です。

■米国がなぜか目の仇にする軽自動車
 日本市場で軽自動車の存在感は大きく、2012年の新車登録台数のうち37%が軽自動車(出所:日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会)でした。地方に行けば2台目は軽自動車ということも多く、新車販売の50%近くが軽自動車という地域もあります。

 このため、米国から軽自動車規格が「不公平な非関税障壁」として挙げられ、TPPの焦点の1つになっています。「日本市場で米国車が売れないのは制度面で優遇される軽自動車のせい」というわけです。日本にとっては噴飯ものの論理ですが、当の米国側は大真面目なので困ったものではあります。

 実際は、GMは2005年に富士重工、2006年にいすゞ、2008年にはスズキとの資本関係を解消し、フォードもリーマンショック後に社長を派遣していたマツダの株式のほとんどを売り払っています。つまり、以前は“米国系メーカー車”は軽自動車大手のスズキを含め日本でのかなりのシェアを確保していたわけです。それらを自分の都合で売却しておきながら、今になって 「米国車が日本で売れないのは非関税障壁のせいだ」と主張する鉄面皮ぶりはある意味たいしたものです。

 米国のビッグスリー(ただし1社は伊フィアット傘下)が得意な大型車は、大き過ぎて日本の道路事情には合わず、燃費も悪く、欧州車のようにはイメージ広告にはお金をかけず、販売網も自ら放棄してしまいました。そんな状況では、軽自動車規格がなくなっても米国車は売れないでしょう。代わりに増えるのは日本製の小型車がほとんどで、一部が二輪車と欧州の小型車に回る程度と予想されます。

■それでも軽自動車制度は消える? 
 米国自動車メーカーの本音は、「軽自動車で文句を言っておけば、ドル箱の米国トラック市場を高関税で守り続けることができる」であり、米国通商代表部(USTR)は「軽自動車を突いておけば、農産物や保険で日本の譲歩を期待できる」と考えているようです。

 しかし、米国の主張自体にも一理あって、軽自動車優遇制度の意味は薄れています。軽自動車規格は、日本が貧しかった頃に国民に安価な自動車を提供するというコンセプトで360ccから始まりました。それが排気量が660ccと増え、車体は大きく重くなり、中にはターボ車まであり、車重に対してエンジンが小さすぎて燃費が小型車よりも悪いものが多いという現状では、軽自動車を優遇し続ける理由がありません。

 もちろん軽自動車業界からは、「何台も車を所有する地方では軽自動車は欠かせない」「軽自動車は地方の雇用を支えている」「軽自動車の保有者は所得が少ない層が多い」という声も出ています。ただ、これらには反論も多く、「軽自動車優遇がなくなれば小型車になるだけ」「いずれにしろ車を購入するなら雇用には無関係」「軽自動車が少ない都市部はサラリーマンが多く、所得がほぼ完全に捕捉されているだけ」とも言われます。

 政府・与党から見れば、「エコ」「内需拡大」「国際競争力強化」「税収の確保」「公平性」「選挙への影響」といった様々な観点から、TPPと米国の外圧を利用して、軽自動車の制度をなくす、あるいは大きく変更する可能性もありそうです。

■軽自動車のこれから:3つのシナリオ
 2015年10月に消費税が10%になる時点で、自動車取得税は廃止、重量税は減税となる方向です。また、車の所有者が支払う自動車税・軽自動車税については、現行1000ccの小型車が29,500円、軽自動車が7200円(乗用・自家用)と4倍もの差がありますが、環境性能に応じた課税方式に変更される方向が総務省より示されています。これにTPPを含めた国家戦略の観点を入れると、軽自動車の今後は以下の3つのシナリオがありそうです。

●シナリオ1:外圧を逆手にとって軽自動車が国際戦略車に
 軽自動車の小さな車体は、細い道が多い新興国では大きなニーズがあり、実際にスズキはアルトに800ccのエンジンを積んだ車をインドで製造・販売しています。日本の国際競争力を増すという意味では、軽自動車の車体大きくして、エンジンを800cc程度にすればそのまま国際戦略車になります。
 軽自動車税の上げ幅を数千円に抑えて、米国の外圧をそらしつつも軽自動車優遇を続け、同時に税収も増えて、軽自動車メーカーの国際競争力も増すという一石三鳥のシナリオです。
 このシナリオならば、スズキ、ダイハツや最近軽に注力しているホンダなどに投資妙味が出てきそうです。

●シナリオ2:TPPで攻めに出て軽自動車廃止
 米国がダメモトで軽自動車を攻撃しているなら、逆手にとって軽自動車をサプライズ廃止すれば、米国が日本車にかけている関税(乗用車2.5%、トラック25%)の撤廃時期が早まる可能性があります。乗用車は2.5%の関税がなくなれば、数量が多いだけに輸出車からの利益が大幅に増えます。
 また、トラックといっても映画に出てくるような巨大トラックだけでなく、利幅の大きいピックアップトラックやミニバン、大型SUVが含まれるので、日本メーカーにとってはぜひ攻略したい市場です。また、日本政府は軽自動車廃止を農業の聖域5品目を守る取引材料に使うこともできます。
  一方、国内市場では自動車保有にかかる軽自動車優遇を止める代わりにガソリン税を上げれば、燃費のよい車が売れて環境に優しく、かつ税収も確保できる一挙両得の政策となります。軽自動車は軽トラックなどの実用性の高い車は売れ続けるものの、多くは小型車に置き換わるでしょう。
 そうなると、トヨタ、日産、ホンダ、富士重工は輸出も儲かり、国内の小型車売上も増えるのでメリットが大きい一方、ダイハツやスズキにはマイナスとなると予想されます。

●シナリオ3:政治的な配慮で軽自動車優遇据え置き
 一票の格差のために、地方の声は大きく政治に反映されます。このため、地方に多い軽自動車ユーザーや販売店の声を無視できず、軽自動車優遇が「なんちゃって変更」だけでそのまま残る可能性もあります。
 この場合、米国とのTPP交渉では守勢に回り、農産品聖域5品目や米国市場の日本車への関税撤廃交渉で日本は不利な立場になります。
 このシナリオで投資を考えるなら、自動車産業は脇に置き、農産品輸入拡大と国内農業テコ入れに絞って農業機械、種苗会社、豪米からの輸入品を多用する外食チェーンなどに注目することになると思われます。 (土居 雅紹)


12月11日(水) 「特定秘密保護法案」成立

スパイ天国日本と云われるが、ようやく見直し機運がでてきた。
これも安倍政権のおかげだろう。民主党政権のときはダダ漏れだったという。
採決時議長席に詰め寄った野党議員の顔ぶれは在日系が多かった。
マスコミ・TVの多くは「国民の知る権利を侵害する」などと批判している由。
保護法成立 賛成130、反対82 臨時国会は事実上閉会 2013.12.7 00:55
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131207/plc13120700570002-n1.htm

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法は6日深夜の参院本会議で採決され、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。
賛成130票、反対82票だった。本会議での採決に先立ち、日本維新の会とみんなの党は退席。
ただ、みんなの一部議員は議場に残り反対した。
民主党は「強行採決を是認できない」(郡司彰参院議員会長)との理由で一度は退席したが、途中で議場に戻って反対票を投じた。

 情報保全に関する統一したルールが定められるのは初めてとなる。
 森雅子少子化担当相は、成立を受けて記者団に対し「政府としてありとあらゆる手段を使って、国民に法律の必要性と、懸念に対する説明を丁寧にしていきたい」と述べた。

 6日が会期末の今臨時国会は、8日まで2日間の延長が決まった。ただ、7日未明に参院本会議が散会したことで事実上閉会した。
 民主党は6日、安倍内閣不信任決議案を衆院に提出したが、不信任案は同日夜の本会議で自民、公明、日本維新の会などの反対多数で否決された。
 与党は直後に参院本会議を再開させ、民主党提出の中川雅治参院国家安全保障特別委員長(自民)の問責決議案を否決。民主党が先に参院に提出していた森氏問責決議案も、午後の本会議で否決された。

 特定秘密保護法は、防衛や外交、テロ活動などに関し、漏洩(ろうえい)すると国の安全保障に著しく支障を与える情報を閣僚ら行政機関の長が「特定秘密」に指定する内容。
これらを扱う公務員らが漏らした場合に最高10年の懲役を科す。一部の特定秘密を除き最長で60年以内に公開することも明記されている。
与党と日本維新の会、みんなの党の4党協議で、情報保全に関する第三者機関を内閣府に設置することでも合意している。
 野党は「知る権利」が侵害されるなどと批判した。



特定秘密保護法案 要旨 2013.12.6 10:23
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131206/plc13120610240013-n1.htm

 特定秘密保護法案の要旨は次の通り。

 ■法の目的
 国際情勢の複雑化に伴い、国と国民の安全確保に関わる情報の重要性が増大している。一方、高度情報通信ネットワーク社会の発展により、漏洩(ろうえい)が懸念される。国の存立に関わる安全保障に関し、特に秘匿が必要な情報を的確に保護する体制を確立した上で収集、整理、活用することが重要だ。特定秘密の指定や取扱者の制限を定め、情報の漏洩防止を図り、国と国民の安全を確保することを目的とする。

 ■特定秘密の指定
 閣僚ら行政機関の長は防衛や外交、「(スパイ行為などの)特定有害活動」の防止、テロ活動防止などに関する事項のうち、公になっておらず、漏洩が国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるため、特に秘匿が必要な情報を特定秘密に指定する。特定秘密の範囲を明らかにするため、文書や電磁的方式などにより情報を記録する。

 ■指定の有効期間
 特定秘密指定の有効期間は5年以内とする。期間満了時に5年を超えない範囲で延長できる。30年を超えて指定する場合は内閣の承認を得る。有効期間は60年を超えることはできない。ただし(1)武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(2)現に行われている外国政府または国際機関との交渉に不利益を及ぼす恐れのある情報(3)情報収集活動の手法や能力(4)情報源に関する情報(5)暗号(6)外国政府などから60年を超えて秘密指定することを条件に提供された情報(7)政令で定める重要情報-は60年を超えて指定できる。
 閣僚らは、特に秘匿する必要のなくなったときは、有効期間内でも速やかに指定を解除する。

 ■特定秘密の提供
 閣僚らは、この法律と同様の秘密保護を講じる外国政府や国際機関に特定秘密を提供できる。(1)衆参両院が秘密会などにより公開しない場合(2)刑事事件の捜査、公判維持のために裁判所に提示する場合(3)誰も情報開示を求めることができないとの条件で情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合-で、安全保障に著しい支障がないと認めたときは特定秘密を提供するものとする。

 ■取扱者の制限
 特定秘密の取り扱い業務は、閣僚らが実施した適性評価により漏らす恐れがないと認められた者に限る。首相や閣僚、内閣官房副長官、副大臣、大臣政務官、首相補佐官らは適性評価が不要。

 ■適性評価
 閣僚や都道府県警本部長は、特定秘密を取り扱う行政機関職員や警察職員、行政機関との契約により特定秘密を扱う民間事業者らが情報を漏らす恐れがないかどうか適性を評価。評価から5年を経過し、引き続き特定秘密を扱うことが見込まれる者や、評価後に特定秘密を漏らす疑いが生じた者は再度、適性評価する。

 適性評価では(1)「特定有害活動」や「テロ活動」との関係、家族や同居人の氏名、生年月日、国籍、住所(2)犯歴や懲戒の経歴(3)薬物の乱用(4)精神疾患(5)飲酒の節度(6)経済状況-などについて同意を得た上で調査する。適性評価を実施したときは結果を評価対象者に通知する。情報を漏らす恐れがないと認められなかったと通知するときは、適性評価の円滑な実施を妨げない範囲で理由を通知する。

 評価対象者は書面で苦情を申し出ることができ、閣僚らは誠実に処理して結果を通知する。苦情を申し出ても不利益な扱いは受けない。閣僚らは特定秘密保護以外の目的で、評価結果や個人情報を利用してはならない。

 ■特定秘密の指定などの運用基準
 政府は特定秘密の指定と解除、適性評価の実施に関し、統一的な運用基準を定める。首相は基準の策定や変更の際、有識者から意見を聴いた上で案を作成し、閣議決定を求めなければならない。
 首相は毎年、秘密の指定と解除、適性評価の実施状況を有識者に報告し、意見を聴かなければならない。首相は秘密指定などに関し、行政各部を指揮監督する。必要があるときは閣僚らに特定秘密情報の資料の提出を求め、改善を指示できる。

 ■国会への報告
 政府は毎年、特定秘密の指定と解除、適性評価の実施状況を国会に報告し、公表する。

 ■国民の知る権利
 法律を拡張解釈して国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道・取材の自由に十分配慮しなければならない。
 出版・報道に従事する者の取材行為は専ら公益を図る目的があり、法令違反または著しく不当な方法でない限りは、正当な業務行為とする。

 ■罰則
 特定秘密の取り扱い従事者が特定秘密を漏らしたときは10年以下の懲役とし、情状で10年以下の懲役および1千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取り扱いに従事しなくなった後でも同様とする。未遂は罰する。過失により情報を漏らした者は2年以下の禁錮または50万円以下の罰金に処する。
 国会の秘密会や裁判などで秘密の提供を受けた国会議員、裁判官ら公益上必要で秘密を知った者が漏らした場合は5年以下の懲役とする。過失で漏らした場合は1年以下の懲役に処する。
 外国の利益や自己の不正利益を図る目的で、人を欺く行為、暴行、脅迫、窃取、施設への侵入、不正アクセス行為などにより特定秘密を取得した者は10年以下の懲役とし、情状で10年以下の懲役および1千万円以下の罰金に処する。未遂は罰する。
 特定秘密の漏洩を教唆、扇動した者は5年以下の懲役とする。

 ■付則
 公布の日から1年以内に施行する。施行から5年経過後、特定秘密を保有したことがない行政機関は秘密指定機関から除く。ただ5年以降に保有する必要が新たに生じた機関は政令で定め、特定秘密を指定できる。政府は、秘密指定の基準などが安全保障に資するかどうか独立した立場で検証し、監察できる新機関設置を検討し、措置を講じる。国会に提供した特定秘密の保護方策は国会で措置を講じる。

 ■別表(特定秘密の対象)
 ▽防衛に関する事項
 (1)自衛隊の運用、運用見積もり、計画、研究(2)収集した電波情報、画像情報、その他の重要情報(3)情報収集能力(4)防衛力整備に関する見積もり、計画、研究(5)武器、弾薬、航空機などの種類、数量(6)通信網や通信方法(7)暗号(8)武器、弾薬、航空機などの研究開発段階の仕様、性能、使用方法(9)防衛施設の設計、性能

 ▽外交に関する事項
 (1)外国政府や国際機関との交渉のうち、国民の生命の保護、領域保全など安全保障に関する重要なもの(2)安全保障のために実施する貨物の輸出入の禁止措置やその方針(3)国民の生命の保護や領域保全などに関する重要情報や条約、国際約束に基づき保護が必要な情報(4)情報収集能力(5)外務省本省と在外公館間の通信や暗号

 ▽特定有害活動防止に関する事項
 (1)特定有害活動防止の措置や計画、研究(2)国民の生命の保護に関する重要情報や外国政府、国際機関からの情報(3)情報収集能力(4)暗号

 ▽テロリズム防止に関する事項
 (1)テロ防止の措置や計画、研究(2)国民の生命の保護に関する重要情報や外国政府、国際機関からの情報(3)情報収集能力(4)暗号

中共の反応
駐中公使、「秘密保護法案を批判するなら、中国こそ軍国主義国家」と反論
http://www.epochtimes.jp/jp/2013/12/html/d72200.html

【大紀元日本12月10日】中国共産党機関紙人民日報傘下の環球時報は7日、同社主催のシンポジウムで日本の堀之内秀久公使が「日本の秘密保護法案を批判するなら、中国こそ軍国主義国家だ」と発言し、日中関係をめぐって中国の専門家と激しく応酬したと報じた。

 シンポジウムには日中両国の70人以上の専門家が参加した。堀之内公使は「中国が一方的に東シナ海の現状を変えた」、「やり過ぎだ」と防空識別圏の設定を非難し、「軍事衝突ばかりを強調すれば、不安ばかりが煽られる」と好戦的言論を繰り返す環球時報を暗に批判した。さらに、「日系企業は中国に利益と雇用をもたらしたにもかかわらず、反日デモで襲撃された」との不満も口にした。

 また、秘密保護法案についても言及し、「日本を軍国主義へ導くためのものではない」と述べた。
日本で公開された情報量は中国より「はるかに超えている」としたうえで、「これで日本が軍国主義に走る危険性があると批判するなら、中国はすでに大きな軍国主義国家になっている」と反論した。

 公使の発言について、中国戦略文化促進会の羅援事務局長は「日本が警告弾を発射する可能性を示し、衝突の危険性を高めたため、中国はやむを得ず防空識別圏を設定した」と応酬した。
(翻訳編集・高遠)


12月8日(日) 大東亜戦争・開戦記念日

戦後教育を受けた者の多くは、先の大戦を『太平洋戦争』と呼んでいる。
自分もそうであったが、現代史を少し囓ると『大東亜戦争」と呼ぶのが妥当と思うようになった。
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第131号(12月7日)
http://melma.com/backnumber_190875/

大東亜戦争

 12月8日は真珠湾攻撃の日として語られるが、1941年(昭和16年)12月8日、日本はハワイだけでなくマレー半島でも作戦を開始したから、真珠湾攻撃の日としてだけ語られるのは間違いである。

 ではこの日は何の日なのか?太平洋戦争開始の日?しかしハワイは太平洋にあるが、マレー半島は南シナ海とインド洋に挟まれており太平洋にはない。
 そもそも太平洋戦争という呼称は敗戦後、占領軍に強制されたものであり、開戦当時は大東亜戦争と呼称されていた。だとすればこの日は大東亜戦争開戦の日としか呼びようはあるまい。

 今年は大東亜会議70周年にあたる。大東亜会議とは戦争中の1943年(昭和18年)11月にアジアの各国の政治指導者を集めて東京で開催されたアジア初のサミットである。日本が戦争に踏み切った直接の理由は英米が石油を禁輸したためである。ジャワ島には油田があったが、当時欧米の植民地であり、英米の禁輸命令に従い日本に石油を売ろうとしなかった。つまり経済封鎖を打破するために開戦したのだが、そもそも経済封鎖が可能になるのはアジアの各地域が欧米の植民地であるためである。

 従って日本が生存するためにはアジア各国が独立してくれるのが一番いいわけで、かくて大東亜会議を開催しアジア各国の独立と解放を宣言したのである。第2次世界大戦において植民地の解放を謳ったのは実は日本だけであり、米国やソ連も当時、植民地帝国であった英国の同盟国であるから植民地解放を言っていない。
 日本は戦闘に敗れ米軍に占領されることになったが、アジア各国は独立を果たしたから戦争目的は達成されたわけである。日本が戦後、経済発展を遂げることになったのも、アジア各国が独立したためである。

 こうしてみるとあの戦争を愚かな戦争とみなすのは間違いだと分かる。もし戦争に踏み切らなかったならば、アジアの植民地は継続し、日本は絶えず欧米から経済封鎖を受け続け、繁栄どころか生存も危うかっただろう。してみれば軍事的には敗北したものの経済的な勝利を勝ち取ったといえるであろう。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。
1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。
2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。


12月6日(金) 南アフリカのマンデラ元大統領死去

マンデラ元大統領については映画「インビクタス/負けざる者たち」で知り感動した。
(クリント・イーストウッド監督 モーガン・フリーマン主演)
南アフリカのマンデラ元大統領が死去、95歳 2013.12.06 Fri posted at 08:32 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35040996.html?tag=top;subStory

(CNN) 南アフリカで同国初の黒人大統領となり、ノーベル平和賞も受賞したネルソン・マンデラ氏が5日夜、ヨハネスブルクの自宅で死去した。95歳だった。
ズマ大統領はテレビを通じてマンデラ氏の死去を発表した。

マンデラ氏は1918年7月18日、南アフリカ中東部トランスカイの村に生まれた。父親は王族の相談役を務めていた。国内では出身氏族を示す「マディバ」の愛称で知られた。
42年に大学を卒業し、法律事務所に就職。44年に黒人解放組織、アフリカ民族会議(ANC)に加わり、青年部のリーダーとして活躍した。
52年、友人と共に南ア初の黒人による法律事務所を設立。同年以降、ANCによる非暴力の反アパルトヘイト(人種隔離)政策闘争を率いた。

56年にはANC幹部らとともに国家反逆罪に問われた。60年、警察がデモ参加者ら69人を殺害する「シャープビル虐殺事件」が発生し、政府はANCの活動を禁止して非常事態を宣言。マンデラ氏らには翌年、無罪の判決が下りた。
同氏は「民族の槍」という武装組織を設立し、ゲリラ闘争に向けて動き始めるが、62年に逮捕され、懲役5年の判決を受けた。64年にはさらに終身刑を言い渡され、アパルトヘイト廃止に踏み切ったデクラーク政権によって90年に釈放されるまで、27年以上にわたり収監された。

釈放直後に世界各国を歴訪し、英国のサッチャー首相や米国のブッシュ大統領と会談。翌年ANC議長に就任し、93年にはデクラーク大統領とともにノーベル平和賞を受賞した。
94年、南ア最初の民主選挙で初の黒人大統領に選ばれた。99年に退任した後も、ブルンジ内戦の調停やブッシュ米政権批判の発言で注目を集めた。05年には息子がエイズで亡くなったことを公表し、患者に対する偏見の解消を呼び掛けた。

国連は09年、同氏の誕生日を「ネルソン・マンデラ国際デー」と定めた。

10年に開催されたサッカーのワールドカップ(W杯)以降、公の場には姿を見せず、肺の感染症やヘルニア手術、胆石除去などで入退院を繰り返した。
今年4月、国営南ア放送協会(SABC)が自宅療養中の映像を放送したことに対し、与党のANCが同氏を政治的に利用しているとの非難が集中した。その後、肺感染症の再発による入院が伝えられていた。
ネルソン・マンデラ氏が残した名言 2013.12.06 Fri posted at 17:55 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35041033.html?tag=top;mainStory

(CNN) 南アフリカで同国初の黒人大統領となり、ノーベル平和賞も受賞したネルソン・マンデラ氏が5日夜、ヨハネスブルクの自宅で死去した。95歳だった。反アパルトヘイト(人種隔離)政策闘争の指導者として活躍した同氏の言葉を紹介する。

「生まれながらにして肌の色や出身や宗教を理由に他人を憎む人は誰もいない。憎しみは後から学ぶものであり、もし憎しみを学ぶことができるなら、愛することも教えられるはずだ。愛はその反対の感情よりも、人間の心にとって自然になじむものだから」

「どこであっても自由への歩みは容易ではない。我々の多くは、望むものの頂上にたどりつくために、死の影の谷を何度も何度も通り抜けなければならない」

「自由や正義への我々の闘争は人々の力を合わせて行うものだ。そこに生きるすべての人のために、より良い世界を作り出すのはあなた自身だ」

「あまりにも長く続いた途方もない人間の苦しみの経験からは、すべての人が誇りを持てる社会が生まれなければならない」

「自由に通じる容易な道が存在しないことは分かっている。単独で行動したのでは成功できないことはよく分かっている。だから国家の和解のため、国家建設のため、新しい世界の誕生のために、一丸となって共に行動しなければならない」

「人権を否定することは、その人間そのものを否定することだ。飢えと搾取の悲惨な人生を強いることは、人間性を奪うことだ。だが我が国ではアパルトヘイトの制度の下、そのような恐ろしい状況がすべての黒人の運命だった」

「監獄で27年も過ごせば人生は無駄になったと人は言うかもしれない。だが政治家にとって最も重要なのは、自分の人生をかけた理念がまだ生きているかどうか、その理念が最後には勝利しそうかどうかだ。そして、これまで起きてきた全てのことが、我々の犠牲が無駄ではなかったことを示している」

「英語とは何と甘美な自己称賛の婉曲表現を進化させてきたのだろう」

「自分がどれほどその習慣に誇りを持っていようと、自分自身の習慣に照らして他者を断罪する権利は一切ないと思うようになった」

「過ちを犯すことと無縁なのは、はたで論評している人たちだけだ。政治的行動に過ちは付き物だ」

「自分が投獄されるまで、頭に入れられる限り尽きることない情報を持てる記憶力をこれほどありがたいと思ったことはなかった」

モーガン・フリーマンは演技、制作総指揮でマンデラ氏の期待に応え素晴らしい映画だったと思う。
モーガン・フリーマン、マンデラ氏を追悼…『インビクタス/負けざる者たち』でマンデラ氏役 2013年12月6日 11時14分
http://www.cinematoday.jp/page/N0058731

 [シネマトゥデイ芸能ニュース] 南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領(享年95歳)の訃報を受け、映画『インビクタス/負けざる者たち』(2009)でマンデラ氏を演じた俳優のモーガン・フリーマンが追悼のコメントを発表した。NY Daily Newsが報じた。

映画『インビクタス/負けざる者たち』フォトギャラリー
http://www.cinematoday.jp/movie/T0008207/photo/003

 モーガンは「今日、世界は偉大な人物を失いました。ネルソン・マンデラ氏は比類ない道義心、何者にも征服できない強さ、不屈の精神を持った人物で、自由、人間の尊厳を尊ぶ全ての人にとっての聖人、そしてヒーローです」とマンデラ氏を称賛。「彼の偉業を思い出すとき、わたしたちはどこまで達成できたのかだけでなく、どこまで達成しなくてはいけないのかを考えさせられます。マディバ(マンデラ氏の愛称)はもうわたしたちと共にはいませんが、彼の旅はわたしたちと共に続くのです」と追悼した。

 『インビクタス/負けざる者たち』は、反アパルトヘイト運動に尽力し、南アフリカ共和国大統領となったマンデラ氏と、同国のラグビー代表チームのキャプテン(マット・デイモン)との人種を超えた友情を描いた、クリント・イーストウッド監督作品。モーガンはマンデラ氏と1990年代より親交があり、そもそも二人の友情の始まりは、マンデラ氏が「もし自分の伝記映画が作られるならモーガンに演じてもらいたい」と会見で語ったことがきっかけだった。

 モーガンのほか、マンデラ氏の伝記映画『マンデラ:ロング・ウオーク・トゥー・フリーダム(原題) / Mandela: Long Walk To Freedom』(2013)で主演を務めたイドリス・エルバも「マンデラ氏を演じられたことを誇りに思います。安らかにお眠りください」と故人をしのんでいる。(編集部・市川遥)


11月30日(土) 偏向報道NHK敗訴

「差別的言葉で名誉毀損」NHKに賠償命じる 台湾先住民族ら逆転勝訴 2013.11.28 23:05
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131128/trl13112823060006-n1.htm

日本の台湾統治を扱ったNHKの番組内容で名誉を傷つけられたとして、出演した台湾先住民族のパイワン族や視聴者ら計42人がNHKに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁は28日、「人間動物園」という言葉が台湾先住民族の女性に対する差別的表現で、名誉を傷つけたと認定、100万円の支払いを命じた。1審東京地裁判決は原告側の全面敗訴だった。

 1審で原告側は計約1億1000万円を請求していたが、原告数の減少に伴い2審では計710万円の支払いを求めていた。

 判決などによると、平成21年4月5日に、NHKスペシャル「シリーズJAPANデビュー」の第1回「アジアの“一等国”」で放送。1910年にロンドンで開催され、パイワン族の生活状況を紹介した日英博覧会の写真に「人間動物園」とテロップを表示し、「イギリスやフランスは植民地の人々を盛んに見せ物にし、日本はそれをまねた」と紹介した。

 賠償を認められたパイワン族の高許月妹(こうきょ・げつまい)さん(83)の父はこの博覧会に参加。高許さんはNHKのインタビューに応じた。
 1審は「人間動物園」の表現について、「過去の歴史的事実として紹介したにすぎず、番組が原告の父親を動物扱いしているものではない」と認定。しかし、2審で須藤典明裁判長は「深刻な人種差別的意味合いを持つ言葉で、パイワン族が野蛮で劣った人間で動物園の動物と同じように展示されたと放送した」とし、1審の判断を覆した。

提訴時の報道
パイワン人も提訴、原告1万人突破 NHK台湾特集訴訟2009.8.12 14:13
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/media/090812/med0908121417000-n1.htm

 NHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」に出演した台湾人などから番組内容に歪曲(わいきょく)があったと批判が相次いでいる問題で、出演した台湾少数民族のパイワン人らが番組で、民族の誇りを傷付けられたとして、NHKを相手取った集団訴訟に原告として加わることが11日、分かった。原告数は提訴後も増え続け、1万人を突破した。
 訴訟に参加するのは、台湾南部のクスクス村のパイワン人出演者ら4人。番組では、1910年に開催された日英博覧会の写真に「人間動物園」の文字をかぶせ、《イギリスやフランスは博覧会などで植民地の人々を盛んに見せ物にしていました。人を展示する「人間動物園」と呼ばれました》などとするナレーションを、パイワン人へのインタビューとともに放送。「日本政府がパイワン人の実演を『人間動物園』と呼んだことはない」(訴状)と批判が出ていた。
 関係者によると、訴訟に加わるパイワン人4人のうち、2人は番組に出演。インタビューの際、「人間動物園」に関する十分な説明を受けておらず、単に写真を見て懐かしいと涙ながらに語ったシーンが歪曲されて伝えられたとしている。残る2人のうち1人は親戚(しんせき)が日英博覧会に実際に参加して、それが今でも自分たちの誇りであるにもかかわらずNHKに「人間動物園」とおとしめられ、名誉を傷付けられたとしている。もう1人はパイワン人の地元名士となる元郷長で、番組でパイワン人の名誉と誇りを傷付けられた-としている。

【安藤慶太が斬る】NHKこそ「人間動物園」ではないのか 2010.5.23 18:05
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100523/trl1005231808000-n1.htm

 迷走を続ける鳩山内閣の新たな火種が「口蹄(こうてい)疫」への対応である。地元、宮崎県で奔走を続ける東国原英夫知事の血相を変えた真剣な表情とは対照的に、赤松広隆農水相はじめ関係者の表情からは、こうした農家の痛恨を正面から受け止めた厳粛さが伝わってこないのである。
 殺処分を進めて被害の拡大を抑える判断に今は合理性があるといわざるを得ないが、果たして不要不急の外遊に出かけたうえに、選挙応援の街頭で赤松農水相は「口蹄疫ってのはね、人には害がないんです」などと発言したそうである(週刊文春5月27日号)。今に至ってもどこがおかしいのか、といいたげにしか見えない赤松農水相の対応は誰が見ても「?」である。

 ■裁判史上最大規模
 さて、今日の本題はこれではない。先週の金曜日の14日、東京地裁で開かれたNHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー アジアの“一等国”」をめぐる訴訟についてである。
 昨年4月5日に放送された同番組をめぐっては、取材を受けた台湾少数民族・パイワン族や視聴者ら計約1万300人が、番組内容に偏向・歪曲(わいきょく)があったとしてNHKに計約1億1千万円の損害賠償を求めている。
 その第二回の口頭弁論でパイワン族男性が「パイワン族の名誉を徹底的に傷つける放送で、決して許すことはできない」と意見陳述したのである。
 1万300人もの原告数というのはどうやら、日本の裁判史上最大の規模とされている。米軍基地をめぐる騒音や公害など過去様々な事案で原告数がふくらんだ訴訟はあったが、それを上回る規模である。

 ■日本は台湾と戦争はしていない
 俎上(そじょう)にのぼっている番組の問題点を簡単におさらいしておく。番組全体に日本を貶(おとし)める意図があったのではないか、取材した関係者のコメントのうち、自分たちの番組の企画に沿った部分のみが取り上げられ、恣意(しい)的な番組づくりが行われたのではないかーという包括的な疑義があったうえで、「日台戦争」「人間動物園」といった番組で使用された言葉が問題視されている。
 このうち、「日台戦争」という言葉は以下のように使われた。
 《日本軍に対し、台湾人の抵抗は激しさを増していきます。戦いは全土に広がり、のちに「日台戦争」と呼ばれる規模へと拡大していきます》

 台湾と日本の間に戦争をした事実はない。出演した台湾人からも「先住民族の抵抗なら治安の悪化だ」「戦争は言い過ぎ。NHKの誤り」などと抗議があがっている。
 NHKは「日台戦争」という言葉について、日本の大学教授らが使っていると根拠を挙げた。しかし、「平成に入って用いられた造語。確かに『日台戦争』という言葉を一部の大学教授が使っているが原典は戦争の定義もしておらず、治安回復のための掃討戦に過ぎない」(日本李登輝友の会関係者)という。

 ■なぜ問題視されるのか
 学者の造語を番組で使っていけないのか、という人もいるかもしれない。これは若干、説明を要する。
 近現代史をめぐって戦後主要な論点となった「南京事件」「慰安婦」「戦時徴用」などの歴史用語は、いずれも「南京大虐殺」「従軍慰安婦」「強制連行」など、日本を誇大に貶める用語が作り出され、それが喧伝(けんでん)されてきた歴史がある。これらの言葉の源流は、はじめはメディアの報道だったり、小説に始まったものだったりする。学者の造語などをメディアが無造作に使い、教科書に掲載され、入学試験を通じて浸透していくなかでやがて疑うことの許されない事実と化し、取り返しのつかない外交問題にされた。
 学者の造語をすべて否定しているわけではないが、とりわけ近現代史をめぐってわが国を貶める歴史造語が生まれていることも事実である。こうした造語にどれだけわが国が振り回され、すさまじい税金がつぎ込まれ、私たち日本人の名誉が貶められ、国益が棄損されたか。こうした虚構の構図にメディアが加担していることに多くの国民がすでに気づき始めているという自覚もメディアにはあってしかるべきである。
 日本人や日本国が貶められれば、そのツケは結局私たちが負うのである。多くの視聴者はすでに、こうしたうさんくささをかぎつけている。戦争ならば賠償が発生しうる問題となることを忘れてはならない。なぜ戦争もしていない台湾で起こった「掃討戦」「武力衝突」をあえて「日台戦争」などと表現する必然性があったのか。まさかNHKは日本に戦争による賠償金を台湾に払うべきだとか考えているのだろうか。

 ■冒涜されたパイワン人の怒り
 《イギリスやフランスは博覧会などで植民地の人々を盛んに見せ物にしていました。人を展示する「人間動物園」と呼ばれました》
 そして問題点のもうひとつが、この「人間動物園」という表現である。意見陳述したパイワン族の長老、バジェルク・タリグ(華阿財)さん(71)の怒りもここに向けられる。

 NHKは、1910年の日英博覧会のパイワン族の写真に、「人間動物園」の文字をかぶせた。フランスの学者、ブランシャール氏らの共著「人間動物園」などを参考にしたという。
 番組では当時イギリスやフランスでそうした言葉が使われていたのかどうかも明らかにしていない。また日英博覧会には、パイワン族だけでなく、日本の村やアイヌの村、力士も参加していた。
 これを今も栄誉としている村もあり、「日本政府がパイワン族の実演を『人間動物園』と呼んだことはない」(訴状)、「パイワン族に対する人権問題」(出演者)というわけである。
 せっかくの機会なので、バジェルク・タリグ(華阿財)さんの意見陳述の抄録を述べておく。
 《放送を見ると、パイワン人の父祖が民族衣装に正装した写真に『人間動物園』という字幕がついています。しかしパイワン人が動物扱いされたり、見せ物にされた事実は断じてありません。
 この写真の人たちは、パイワン族の伝統を世界の人々に紹介したいという気持ちでイギリスに行ったのであって、踊りをしたり、生活の状況を演じたのは誇りを持ってやったことです。
 仮に動物扱いされたのであれば、相手が日本人であろうが、イギリス人であろうが命を賭して闘うのが、パイワン人の精神です》
 《私たちパイワン族の間では父や祖父の世代がイギリスに行ったことは今でも良い思い出になっています。ロンドンではイギリス人と交流があり、そのときに覚えた英語の歌が今でも歌い継がれているほどです。嫌々ながら連行されて屈辱的な仕打ちを受けたら、このようなことはあり得ません》

 ■NHKの傲慢
 《NHKは放送後、ホームページで『当時のパイワン族の人たちがどう感じたかは事実を左右しない』などと開き直っています。これは二重三重にパイワン族の名誉を傷つけるものです。
 『パイワン族は見せ物として動物扱いされながら、そのことを理解できずかえって喜んだ。NHKが客観的な事実を教えてやった今でも理解できず、今でも屈辱的な事実を良い思い出として喜んでいる』というのがNHKのホームページの見解です。
 これほどパイワン族の名誉を貶める意見があるのかと腸が煮えくりかえる思いです。私はNHKがパイワン人に対する人種差別と人権無視の事実を明確に認め、謝罪するまで絶対に許しません》

 補足すると、NHKのホームページには今も「パイワン族の人たち自身が当時どう受け止め、感じたかということは、『人間動物園』の事実を左右するものではありません。こうしたことは台湾の方々にとっても心地よいことでないことはもちろんですが、番組は当時の状況の中でおきた事実としてあくまでも客観的に伝えたものです」と書かれていて、ここをバジェルク・タリグさんは問題視している。実はパイワン人を差別し、見下している、民族の矜持(きょうじ)を踏みにじったのは、日本の過去の人々ではなくほかならぬNHKだ、と突きつけているのである。

 ■「人間動物園」と当時言ったのか
 NHKのいう「客観的事実」というのも、どうにも怪しく、客観的事実だと主観的(独断的)に言っているのではないだろうか。
 百歩譲って英国で植民地の人間を見せ物にする心ない仕打ちがあったとして、 それは日英博覧会での展示とイコールだったのか?
 博覧会で「人間動物園」と表記されていたのだろうか?
 日本がパイワン人を見せ物にしようとしたなら、なぜ日本の力士まで連れていったのだろうか?
 日英博覧会でのパイワン人の展示について当時から人道上の問題が指摘されていたとNHKのホームページには書いてある。帝国議会で、博覧会への参加が「人道上の大失態」だと取り上げられていたというのだが、そこでのやりとりにも「人間動物園」という表現は出てこない。
 また「人道上の大失態」だったとしても、まず問われるべきは英国側であって話は英国側が日本人とパイワン人の名誉を貶めたということを意味しているのではないのだろうか?
 なぜ日本だけを悪者に描くのか?
 裁判所に出された日英博覧会の関係書類には、何よりも博覧会参加にあたって日本側が「本邦(つまり日本、パイワン人の住む台湾も含めている)ノ品位」に意を払っていたとある。
 つまり、日本物品の製作実演もすれば、演劇や手品などもあり、パイワン族ばかりではなく、アイヌ人もその生活ぶりを見せるために普通に寝泊りしていたのである。戦いの踊りや戦闘の真似事もその中の一つで、日本の品位を損するような「余興」は「一切之ヲ許容」しなかったともある。パイワン族はむしろ「本邦ノ品位」を示すものとして披露されていたと書かれているのだ。
 後世の学者の後づけによる歴史解釈を無理筋でつなぎ合わせた番組だったのではないか。歴史への悪意はNHKにあったのではないか。こういう疑念は強まる一方である。

 ■後講釈による歴史断罪の怖さ
 最後にもう一言。こうした歴史を遡っての断罪が許されるなら、TV自体が将来「人権侵害装置」のごとく不当な断罪を受ける恐れは十二分にあるということだ。人を盛んに見せ物にする、それが「人間動物園」という後講釈が成り立つのであれば、NHKこそ「人間動物園」ではないのか。例えば毎週日曜日に全国各地で行われているのど自慢。司会者が「さあ、次は元気な若手消防団の皆さんです!」。
 「○番、仮面舞踏会!」と始まり、派手なコスチュームとアクションを伴い、途中まで張り切り過ぎた歌を聞かされ、あえなく鐘が「か〜ん」。再び3人が大袈裟にずっこけ、会場がドーっと沸きかえる。「元気な仲良し3人組でしたあ」と淡々とコメントして次へ、といった具合である。
 いい笑いものである。「アジアの一等国」としてこんな痛い映像を見せられる(それでいて結構見ていたりする)のだが、これは「人間動物園」ではないのか?
 もしかして「消防団の皆さんがどう受け止め、感じたかということは、『人間動物園』の事実を左右するものではない」のか。
 どーもくんのかぶり物を着せられた方も実に気の毒なものである。ノッポさんに至っては長寿番組の最後にわずかに発言が許されるという酷い仕打ちだし、大河ドラマにいたっては殺戮(さつりく)映像のオンパレードになりかねない。
 改めて問うがJAPANデビューの今回の番組は、自分たちで描いたストーリーで歴史を両断するために、言葉を弄びつつ歴史を通り過ぎていった多くの人々の営みや尊厳というものを軽んじ、踏みにじっていないだろうか。こうした冒涜(ぼうとく)が許されるなら、今のNHKだって後世、“不当”な断罪を受けてもおかしくはないということである。それがNHKの矜持に照らして受け容れられる類のものかどうか。よくお考えいただきたいものだし、とりわけパイワン族の方々に自分たちがやっている仕打ちがいかなるものか、ぜひもう一度問い直していただきたいと願っている。
(社会部専門職 安藤慶太)


11月28日(木) 『第1Rは中共の負け』

中共の無謀な「防空識別圏」の設定の裏には中共のいろんな思惑、背景ががあるようだ。
・プーチンのベトナム訪問とベトナムへの戦闘機供与
・ロシア空軍機の沖縄接近
尖閣・沖縄盗りだけでなく、露越の対中包囲網の形成に対する牽制もあるとのこと。
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第129号(11月27日)
http://melma.com/backnumber_190875/

*中国空軍の敗北

 中国が防空識別圏の設定を宣言した。2月に中国軍の羅援少将が設定を提案していたが、その時点では軍上層部は羅援の提案を無視していた。それが何故この時期に採用されたかと言えば、16日、17日と二日連続でロシアの空軍機が沖縄に接近するという事件があったからだろう。
 この二日とも中国軍機がロシア機に対応する形で沖縄に接近しており、その飛行経路は今回設定した防空識別圏と重なるのである。実は12日にロシアのプーチン大統領はベトナムを訪問しており、ロシアの最新戦闘機の供与について話し合われたという。
 今のベトナムにとって最大の脅威は中国であるから、この露越の動きはどうみても対中包囲網の形成である。その上でロシア軍機の東シナ海進出である。中国は反射的に防空識別圏の設定を宣言したのであろう。要するにロシアを牽制したのである。

 しかし中国が防空識別圏を設定するとなれば、中国が領有を主張している台湾や尖閣、そして韓国の一部も含まれることになる。設定を宣言した23日、中国の情報収集機が飛行し、そこは日本の防空識別圏でもあるから、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進し中国機に接近し監視した。
 言うまでもなく中国から見ると中国の防空識別圏を日本の戦闘機が飛行しているわけだから、中国の戦闘機が緊急発進して日本の戦闘機に接近して監視しなくてはならない。ところが中国の戦闘機は緊急発進しなかった。
 そもそも防空識別圏とは戦闘機が緊急発進する範囲を指す。戦闘機が緊急発進しない防空識別圏など何らの実効性を持たない、言わば絵に描いた餅でしかない。それを見た米軍はB52爆撃機を飛行させ、やはり中国戦闘機は発進せず、中国が宣言した防空識別圏は八方破れの陣となった。


 おそらく航空自衛隊のF15が緊急発進したのを見て中国空軍の戦闘パイロットは二の足を踏んだのであろう。中国にはJ10やJ11などF15に一応対抗できる機種はある。しかし稼働率が異様に低く墜落率が驚くほど高いと言われる。当然訓練も儘ならず、パイロットの練度も低い。
 一口にいえば、空自のF15が出撃した瞬間に中国空軍は敗北したのである。中国が防空識別圏を設定したとの報を受けても動揺せず通常の手続きに従って緊急発進した空自のパイロットや現場指揮官の勇気は称賛に値する。
 これが民主党政権だったら、岡田幹事長みたいのが、中国を刺激するなとか言って緊急発進を中止させたに相違なく、そうなれば中国の防空識別圏は公式に承認されたものとなり、中国空軍は台湾、尖閣、韓国に勢力を広げていた。安倍政権は東アジアを救ったとも言えるであろう。

 中国の制服のトップ、軍事副主席の許其亮は空軍出身である。中国の権力闘争は昨今いよいよ激化しているから、許は責任を問われて失脚するかもしれない。失脚を免れるためには失敗を糊塗していよいよ強硬策に出ることも考えられる。たとえば1996年に台湾近くに軍事演習と称してミサイルを次々に打ち込んだが、形勢挽回、窮余の一策として有り得る。
 東アジア戦争の第1ラウンドに我々は勝利したが、戦いはまだ終わってはいないのである。



11月27日(水) 中共の「防空識別圏」は無視

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成25(2013)年11月27日(水曜日)貳 通巻第4075号
http://melma.com/backnumber_45206/

(速報)
米軍長距離爆撃機B52,中国の「防空識別圏」に進入
中国海軍は空母を当該海域に派遣、欧米各紙は一面トップ


 グアムを飛び立ったB52長距離爆撃機二機が26日、中国が一方的に宣伝した「防空識別圏」に進入し、尖閣諸島上空の飛行を続けて、グアムへ帰還したと米軍が発表した。
 欧米各紙はトップ扱いで伝えた。
 中国は空母「遼寧」を東シナ海へ派遣したが、米軍の行動がこのタイミングを狙ったかどうかは不明。
 また日本の航空各社は中国の要求した「飛行計画」をいったんは「安全飛行を担保するため」中国当局に提出したが、国土交通省の猛烈な「行政指導」をうけて提出しないことを決めた。


米戦略爆撃機B52、中国の防空識別圏を飛行―事前通知せず 2013年 11月 27日 07:35 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303735804579222482605659654.html?mod=WSJJP_World_Left_JapanLatest_New

 【ワシントン】米政府当局者は26日、米戦略爆撃機「B52」2機が中国当局に事前通知しないまま、東シナ海の尖閣諸島周辺上空を飛行したと発表した。中国は最近、同上空を防空識別圏に設定したと発表しており、米軍機による飛行は中国に対する直接的な挑戦である。
 米当局者によれば、2機のB52はグアムの空軍基地から飛び立ち、米ワシントン時間25日午後7時(日本時間26日午前9時)ごろ中国が新たに設定した防空識別圏内に入った。
 中国政府は先週末、尖閣諸島周辺の上空を防空識別圏にすると発表していた。日本が管理している尖閣諸島は中国では釣魚島と呼ばれ、同諸島の領有権をめぐる日中間の意見対立で緊張が高まっている。

飛行計画の提出取りやめ=中国の防空圏通過機―政府の要請受け・航空各社(産経新聞)
http://news.goo.ne.jp/topstories/politics/168/516ae04a4f8fd99e88d3c164282643ef.html

 全日本空輸や日本航空など国内航空各社は26日、中国が東シナ海に設定した防空識別圏を通過する航空機について、中国当局への飛行計画の提出を取りやめることを決めた。国土交通省が同日発表した。中国の程永華駐日大使が斎木昭隆外務事務次官に対し、「民間機の飛行の自由を妨げない」と表明したため、国交省は民間機飛行の安全が確保されると判断し、計画提出中止を各社に要請した。
 国交省は航空各社への要請文で「政府として民間航空機の安全確保にしっかり対応する」と表明するとともに、防空圏設定を認めない日本政府の方針に官民一致して取り組むよう求めた。計画提出をやめたのは全日空、日航のほか、ピーチ・アビエーションと日本貨物航空の計4社。
(時事通信) 2013年11月27日 00時19分


『国内の危機を海外に転嫁するという中国政府の「伝家の宝刀」』 という論説
「防空識別圏」の背後に青島爆発事故か 死者100人超の説も
http://www.epochtimes.jp/jp/2013/11/html/d86883.html

【大紀元日本11月25日】中国国防省は23日、沖縄県の尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したと発表し、この空域を飛行する航空機に対し、中国当局に飛行計画を報告することや、中国国防省の指示に従うことなどを義務づけ、従わない場合、武力による緊急措置をとるなどとしている。これに対し、日本外務省は「全く受け入れられない」と中国側に抗議し、米政府も同日、「緊張を高める一方的な行動」と中国を非難した。すでに尖閣諸島問題で日中関係が冷え込んでいるなか、「関係防空識別圏」の発表はまさに火に油を注いだ。このタイミングの挑発行為の背後に、先週起きた青島市爆発事故が影響しているとの見方が出ている。

 中国国内で22日、山東省青島市で石油パイプラインが爆発し、25日現在55人が死亡、9人が行方不明、136人が負傷と中国石油史上最大の惨事が起きたばかり。香港紙「蘋果日報」は現地住民の話として、死者が100人を超えている可能性があると報じた。石油パイプラインの修復作業に当たった河北省に本社がある「万田公司」だけで13人の従業員が死亡した。米VOAも死者が政府発表より多いとの目撃証言を伝えた。

 パイプラインを管理する中国石油化工(シノペック)は2年前から危険と知りながら対策を取らなかった。また、27年前に「郊外」に設置されたパイプラインは都市建設の拡張とともに、一部のパイプラインは住宅地から10メートルしか離れておらず、今や「市内」の地下を張り巡らせている。石油パイプラインが破裂した早朝3時から爆発が起きた午前10時まで7時間あったにもかかわらず、周辺住民を避難させなかったなど、事故は「人災」との声が上がっている。

 さらに、事故翌日、現地主要新聞紙はいずれも事故を取り上げていない。事故の視察に訪れた習近平主席の指示も目立たないところで掲載されただけだった。政府メディアはこぞって救助活動に現れた「心温まる美談」を宣伝している。「人命軽視、体面重視」の政府対応に市民らは「不幸がよくも慶事になった」と強い不満を口にした。被害の全容の解明と事故責任を求める市民の不満をそらすため、ミニブログ(微博)で「また釣魚島(尖閣諸島の中国名)を利用する手口を持ち出した」との書き込みが投稿された。

 今回の爆発は事故によるものと言えるかもしれないが、最近、不満を持つ市民による爆発事件も多発している。ウィグル族人による天安門広場での突入爆発事件、山西省太原市共産党本部前で起きた爆発事件などなど。そして、党内では共産党政権の存命を図るために腐敗取り締まりに力を入れている習近平主席は既得利益層との闘争に激しさを増している一方だ。国内の危機を海外に転嫁するという中国政府の「伝家の宝刀」は再び抜かれた。
(高遠)

11月25日(月) どこまで本気? 中共の領土拡張

紅葉だ温泉だと浮かれている間、中共がとんでもないことを云いだしていた。
中共の防空識別圏の線引き拡張、まるで云いだしたもん勝ちの世界。
しかしこれは、中共が以前から云っている戦力展開の目標ラインであり、対米防衛線である「第一列島線」「第二列島線」のステップだろう。
シナ国内では毎日のように政府批難の暴動発生、日々激化する環境破壊、シナ人民の総意だろうか。
これらの崩壊寸前の国内事情から人民の目を反らすための中共政府の戦略と思われるフシもある。
だが、放置すれば日韓国境李承晩ラインと同様になりかねない。
安倍政権をはじめ従来の政権は、中韓に対して「同じ価値観を有する国々」と云ってきたが、かえって甘く見られているのではないか。中韓の反日政策を目にすると「同じ価値観」とか「戦略的互恵関係」などまやかしとしか思えない。「遠のく関係改善」歓迎、国交断絶がふさわしい。
中国の尖閣防空識別圏設定 警戒強める日本政府 不測の事態に発展も 遠のく関係改善 2013.11.24 00:36 [日中関係]
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131124/plc13112400450001-n1.htm

 日本政府は23日、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したことを受け、警戒を強めた。尖閣を自国領と主張する示威行動の一環とみられるが、軍事組織が直接向き合う空域では海域と比べて衝突に発展する危険性が格段に高い。中国機の尖閣への接近飛行がさらに増加すれば、不測の事態に発展しかねないだけに、政府内に懸念が広がっている。
 安倍晋三首相は23日、米村敏朗内閣危機管理監と兼原信克、高見沢将林両官房副長官補を公邸に呼び、対応などを協議した。政府は今後、警戒監視を強化する方針だ。

 防空識別圏は、各国が防空の必要上それぞれ国内法で設定しており、中国の防空識別圏に日本が従う義務はない。日本も東シナ海に独自の防空識別圏を設定し、自衛隊が地上レーダーや空中警戒管制機(AWACS)などの空中レーダーで空域を常に監視。進入してきた不審機には、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して動向を把握している。
 政府が昨年9月に尖閣諸島を国有化してから、中国機の領空接近は激増している。平成24年度の中国機へのスクランブルは306回に上り、23年度(156回)から倍増した。今年度も4〜9月で149回に達している。
 日中両国の防空識別圏が重なるエリアは、その“主戦場”といえる空域だ。空自の戦闘機などがスクランブルで防空識別圏を飛行中に、中国側が「対抗措置」として戦闘機などを接近させてきた場合、偶発的な軍事衝突にもつながりかねない。

 外務省幹部は「尖閣では海上保安庁が中国公船を防いでいるが、空域でも同じ状況が起きかねない。海と空では不測の事態に発展する危険性が格段に違う」と懸念を表明。自衛隊幹部は「広大なエリアを常に監視するのは簡単なことではない。今後、中国がどう防空識別圏を運用していくつもりか見極める必要がある」と指摘した。
 日中関係をめぐっては、昨年5月を最後に首脳会談が途絶えたまま。中国側の新たな強硬策により、対話はさらに遠のくことになりそうだ。北京の日本大使館も23日、「全く受け入れられない」として、中国外務省に厳重抗議した。外務省の斎木昭隆事務次官は25日に程永華駐日大使を呼び、重ねて抗議するとともに日本側の立場を改めて伝える方針だ。


同じく産経新聞より

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成25(2013)年11月25日(月曜日)通巻第4071号
http://melma.com/backnumber_45206/

中国の一方的な「防空識別圏」の設定は日本への戦争準備完了宣言か
危機を高め、緊張を煽る中国軍ははたして何処まで本気なのだろう?


 2013年11月23日、中国政府は突如、東シナ海上空に戦闘機による緊急発進(スクランブル)をするかどうかの基準=「防空識別圏」の一方的な設定を発表した。しかも同日午前10時(日本時間同11時)から施行した。 この恣意的で身勝手な「防空識別圏」には尖閣諸島(沖縄県石垣市)上空周辺が含まれ、日本が既に設けている防空識別圏と重なり合う。即ち戦争の一歩手前の状態を宣言することに等しく、一触即発の緊張を伴うのが「防空識別圏」であり、軍事的な脅威のレベルが高まる。
 嘗て台湾が「防空識別圏」を設定したとき、たとえば香港行きのJALはフィリピン上空を迂回する羽目に陥った。このため飛行時間が一時間ていど遅れた。JALは、後日「日本アジア航空」を設定した。

  中国が主張する「防空識別圏」は朝鮮半島の南側から台湾の北側まで、日本の南西諸島に沿うように設定されており、この防空識別圏を飛ぶ航空機は飛行計画を中国外務省または航空当局に提出する義務を負うとされている。  日本政府はただちに反駁し、強く抗議した。

  米政府もすぐに反応した。外交と軍事双方のルートを通じて「強い懸念」を中国政府に伝えたが、これは米政府の抗議である。
ケリー国務長官とヘーゲル国防長官、ならびに国家安全保障会議(NSC)は一斉に声明を発表した。
 産経新聞に従うと、「ヘーゲル長官は、防空識別圏の設定を「地域の現状を変更し、不安定化させる試みだ。一方的な行動は誤解と誤算(による不測の事態)の危険性を増大させる」と非難し、「日本を含む同盟・友好国と緊密に協議する」と強調した。さらに、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であることを「米国は再確認する」と中国にくぎを刺し、防空識別圏の設定でも「この地域における米軍の軍事作戦の遂行に、一切変更はない」と警告した。
 米政府は「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象」と繰り返し表明しており、その外交的経緯をまったく無視した中国の防空識別圏設定は「米国と日米同盟へのあからさまな挑戦」(米国ペンタゴン筋)である。つまり米国は、自分の国が馬鹿にされたと怒っているのである。
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 ◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ■ BOOKREVIEW 
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石平『なぜ中国から離れると日本はうまく行くのか』(PHP新書)
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 まさに結論は題名通り、これほどわかりやすい話しはない。平安時代の繁栄と安定は菅原道真が進言し遣隋使・遣唐使をやめたからである。江戸時代の未曾有の繁栄と平和は、徳川家康が「鎖国」という名の貿易を制限し文化的孤立を決断したからである。
平安時代にはカタカナひらがなが発明され、独自の仏教文化が花開いた。世界に冠たる『源氏物語』も世界で一番か二番目に早い憲法も、制定された。
江戸時代には朱子学が御用学問だったが、民間では国学が栄え、いにしえに復帰し、日本の伝統が確立し、芸術のレベルはおそらく世界一だった。
戦後の日本の経済成長も中国と関わらなかった時代が高度成長を成し遂げられた。
かくて本書の石平歴史観は過去二千年の日中関係詞をひもとくという展望のなか、そこに驚愕の法則があることを説明しつつ題名の通りの結論になる。
日本人が書いても、こうした歴史法則はあまり評判にならないけれども、帰化した石さんが再発見のように綴られると、大いに納得できる。    ▽