漢方(中薬または方剤とも表現されます)
病気の種類や、患者さんの状態によっては西洋薬での治療が(または治療を続けることが)難しいことも多いため、そのような場合は積極的に漢方薬(≒中薬)の使用をご紹介させていただいております。
漢方薬は主に自然界に存在する植物や鉱物などを使用します。その基本作用は病邪(西洋医学でいうところのウィルスや細菌、熱・寒冷・乾燥・湿度などの外部要因やストレスなどの内部要因)を取り除き、病因を消し去ることです。(鍼灸も根本的な考え方は同じです。)
例えば、腰が痛いから痛み止めが欲しいということで処方される西洋薬の鎮痛剤は、非ステロイド系鎮痛剤やステロイド系鎮痛剤、オピオイド系(非麻薬系)鎮痛剤などがあります。冷えて痛くても、炎症があって熱をもって痛くても細かく使い分けがなされていないことが多いです。漢方薬の場合は、冷えが原因なのか?炎症が原因なのか?そこまで考えて処方します。ただし、漢方薬で全てが解決できるわけでもないため、西洋薬とどちらが(または両方)その患者さんに適切な治療法なのかを説明させていただき処方します。
(図:八綱弁証イメージ)
鍼灸
獣医3-E針法(Veterinary 3-E Acupuncture System:V3-EAS)による、できるだけ患者さんに負担の少ない針治療をご提供させていただきます。
3-E針法とはEconomy(精簡)、Efficient(快速)、Effective(実効)の3つの頭文字を指します。簡単に言うと、患者にリラックスしてもらい、少ない刺針で最大限の効果を期待する方法です。
患者さんは、すでに病気で苦しんでいます。その患者を更に苦しめることのないよう心がけています。
西洋医学的なアプローチとは異なるため、問診に時間がかかrる場合があります。そのため予約診療時間を設けておりますので、お急ぎでない方はそちらの時間帯でのご予約・ご来院をお願いしております。
その患者さんに合った治療方法をご家族と一緒に考えたいと思います。
撮影に協力していただきました大阪市在住クレアさん、お疲れ様でした。
鍼灸の応用
その他、皮膚の腫瘤(いわゆる”イボ”)など、局所治療も行っております。
適応範囲は限られておりますので治療前にはご相談ください。(例:周囲の細胞に広がりやすい悪性腫瘍などには積極的に用いることはできません)
昔から小さなできものがあるけど、よく出血するから取りたい。でも高齢だから麻酔はかけたくない。
そのような時はご相談ください。
地域の動物病院(いわゆる’掛りつけ医’)として、日頃の健康管理や内科全般に対して対応しております。皮膚疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、肝胆道系疾患、内分泌疾患、血液・免疫疾患、泌尿器疾患、神経疾患、運動器疾患、問題行動など。特殊な検査、例えばCTやMRIなどが必要になる場合や、より高い専門知識が必要と判断される患者さんに対しては、相談の上しかるべき施設をご紹介させていただきます。
去勢手術・避妊手術をはじめ、一般外科に対応しております。 胃切開、胃固定、腸切開、腸吻合、膀胱結石摘出、脾臓摘出、一部肝葉切除、会陰尿道漏、眼球摘出、断尾(不必要な新生仔の断尾はお断りする場合があります)、耳道切除など。 技術的高度な手術(脳外科、神経外科、循環器などの胸部外科、整形外科 他)に関しては、専門医をご紹介させていただきます。
当院で行うトリミングは、主に治療を目的とした薬浴や部分的な被毛のお手入れですので美容目的での実施は行っておりません。
浴槽の大きさに限界が御座いますので、20㎏以上の大きな患者さんの薬浴などを行う場合は、お受けできない場合があります。
一部予約制です。事前にご連絡ください。
入院室は、ワンちゃん用として3~4部屋、ネコちゃん用として2部屋御座います。
オゾン療法
原理
生体に存在する有機化合物のなかで特に不飽和脂肪酸(細胞の膜などを構成する成分の一つ)に対し、オゾンの持つ強烈な酸化作用(老化などの原因)が関係していると考えられて
おり、いくつかのサイトカイン(細胞間で情報を伝達し合う物質)を誘発し、生体で起こる防御反応を利用したもの。
過度の酸化ストレスは炎症などの悪化や細胞の死を招くが、適度な酸化ストレスは細胞の防御能を強化する(ホルシミス作用とか適応反応などといわれる)。
その結果生体では免疫、抗酸化作用、解毒作用などが活性化するとされている。
また、一酸化炭素(CO)や一酸化窒素(NO)などの血管拡張物質の産生にも関与し血流の改善も期待できる。
オゾンの曝露により生成される細胞を刺激する物質としてH2O2(短時間型)、4-HNE(長時間型)などがある。
H2O2:赤血球に対し解糖系を促進しエネルギー物質であるATP生成に関与、また他の血白血球、血小板などにも作用し免疫応答に関与する。
4-HNE:全身を循環し末梢の組織に対しても持続的に刺激を与え、抗炎症作用、抗酸化作用、解毒作用を誘発する。
簡単に言うと、適正範囲のオゾンは細胞や組織を少し刺激し、本来生体が持つ防御反応(抗酸化作用、免疫作用、解毒作用、血管拡張作用、神経内分泌系の刺激、神経細胞保護など)を引き出すものと考えられてます。
では、癌患者さんに応用できないか?という疑問も出てきます。
オゾンで刺激したら癌細胞も活性化しそうですがいくつかの作用が相まって抗癌作用を示す可能性も示唆されています。
直接作用:適正濃度では正常細胞への安全性は高く、腫瘍細胞への酸化(壊死)を誘発→曝露部分だけの限定的な作用であることから腫瘍成長率へオゾン単独では不十分な可能性は残る。
間接作用:腫瘍内血流を改善し低酸素量領域への酸素/血液供給を改善させることから抗癌剤を十分に腫瘍細胞へ行き渡らせることが出来る可能性→抗癌剤とオゾン療法を併用することで元々低酸素領域であった腫瘍内部ヘも酸素や抗がん剤を効率良く行き渡らせる。
※腫瘍細胞は嫌気的代謝回路(解糖系)によりエネルギー生産が主に行われており、好気的代謝回路(クエン酸回路など)が活性化されている状態では腫瘍細胞の成長は抑制されることが証明されている。
但し、全身療法である抗癌剤治療に耐えることが出来ない患者さんには腫瘍への直接的なオゾン注入(オゾン化血液または滅菌オゾン水)を考慮。
抗癌剤治療が可能な患者さんには抗癌剤と全身オゾン療法(直腸内注入またはオゾン化血液)が適応となります。
使用方法
・ガス注腸法
・少量自家血療法
・皮下注射
・オゾン水
など
使用禁忌
代表的な疾患として、G6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)異常症があります。
日本人で1/1000~5/1000、わんちゃんで1/3000の割合で異常が見られます。
オゾン療法や高濃度ビタミンC療法などの治療を行うと急性溶血(酸化ストレスに耐えられない赤血球が回復できず壊れて発症)を引き起こすため禁忌とされております。
他に、コントロールされていない甲状腺機能亢進症の患者さんは悪化の可能性が、妊娠初期、出血傾向または血液凝固異常の方へは血液循環の急激な変化などが懸念されるため推奨されておりません。
要注意
心疾患、脱水:血圧低下に注意
頭蓋内疾患:脳圧亢進の可能性
抗酸化サプリなどの服用中など
(図:オゾン発生装置イメージ)