句集「鎮魂」2
昭和53年(1978)以降
昭和53年
慰霊碑開眼 七句
灼け雲や ああ忠烈と 慰霊塔 8月5日
秋燕や 此の碑の便り 託してん 8月5日
戦友の 霊連れ帰れ 春燕 8月5日
開眼の 読経始まり 鉦叩 10月3日
心経の 繰り返されて 法師蝉 10月3日
納経の 遺族黙せし 彼岸花 10月3日
昭和55年
巫女舞いて 亡き戦友へ 散る花か 5月5日
戦友の 碑を掃く友も 老いにけり 5月5日
歳旦の 試筆は写経と 定めけり
燕来る 流れる雲に 乗りて来る
原爆忌 テレビに膝を 正しけり
平成1年
亡き戦友の 供養の写経 盂蘭盆会 8月15日
戦友の 一人又逝き 五月雨 9月15日
戦友の訃報 受話器を 寒く置く 12月15日
年賀欠礼 戦友少なく なりしかな 12月15日
平成3年
彼岸花 供えてありぬ 慰霊祭 9月25日
平成7年
香焚いて 霊やすかれと 盂蘭盆会 8月30日
五十周年記念慰霊祭
祭文に 合わせて啼くや 法師蝉 9月25日
英霊に 菊の献花の 列つづく 9月25日
七百余の 英霊供養 天高し 9月25日
五十年祭 止めの献花の 菊を手に 9月25日
紅の菊や 英霊の碑を 覆う 9月25日
五十年祭 献花の菊の 碑に映える 9月25日
記念祭 終えて人去る 蝉の声 9月25日