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句集「雑詠」3‐6

万葉紀行

山の辺の道 を歩く 昭和五六・四・一九 雨後晴れ
花椎や  わずかに見える  古寺の屋根
桃の丘  大和三山  そろい見ゆ
まほろばの  青垣山や  椎の花
地の底へ  三輪山映す  春の池
葛城古道 を歩く 昭和五六・七・一九 晴れ  同五八・五・一五 雨
雲の峰  神話の森の  背に伸びる
おろがめば  白雲峰に  鶯の声
時鳥  鳴けよ古道の  花卯木
飛鳥川・檜隈・を歩く 昭和五八・二・二〇 晴れ
明日香川  せせらぎ響く  梅の花
万葉の  石橋の跡  はだれ雪
明日香路は  棚田つづけり  風花す
吉野山 を訪ねて 昭和五八・二四 晴れ
み吉野の  花に浮かべる  蔵王堂
み吉野の  入野にシヤ莪の  花群るる
散る花へ  鈴蘭芽吹く  神の庭
西行庵を訪ねて
苔むしし  庵に花の  名残かな
葉桜や  二上山を  遙にす
とくとくと  今も湧き水  おそ桜
月を背に  下る吉野の  おそざくら
紀の国への道・巨勢・まつち山 を行く 昭和五八・四・一七 雨
万葉の  つらつら椿  道飾る
落椿  掃き残しけり  庵の主
降る雨に  色蘇る  落椿
幻の  白石楠花と  如来かな
山吹や  霧雨けむる  行宮跡
天平の  天女の壁画  花の雨
大和三山 を歩く 昭和五八・六・一九 晴れ
わくら葉や  うねびの山の  宮の跡
神酒早苗  神に供えて  植えはじむ
大極殿跡  映して広き  植田かな
藤原の  宮跡行くや  揚げ雲雀
埴安の  池は田となり  合歓の花
落ち雲雀  明日香の風に  したがいて
風吹き返す 多武峰 を行く 昭和五八・七・一七 晴れ
萓草に  風吹きあぐや  尾根行けば
宮跡の 極まる崖に  野萓草
慈悲心鳥  抱き合いたもう  石仏
草深の都跡・鹿背山恭仁京を行く 昭和五九・六・二四 晴れ
鶯や  和束の墓は  茶の山に
鹿背山(ならやま)の  木立ちの繁み  時鳥
大極殿跡  ゲ‐トボ‐ルや  風薫る
二上山を訪ねて 昭和五八・一〇・一二 晴れ
山口に  海の幸・山の幸  秋祭り
野仏に  渡来の花の  アワダチ草
展望台に  辿り着き妻  汗入るる
二上山  映れる池や  竹の春
皇子おわす  二上山に  時雨来る
紀の国へ  続く山なみ  黄葉初む
返り花  蝶のとまりて  動かざる
竜田路を行く 昭和五八・一一・一三 晴れ
古池の  朽木にそよぐ  草紅葉
古宮の  紅葉に空の  青さかな
山の背ゆ  湧きいづる雲  黄葉映ゆ
鳰鳴いて  黄葉の波の  輪をひろぐ
宇陀・阿騎野を行く 昭和五八・一二・四 晴れ
等高線の  如き棚田や  ひつじ萌ゆ
雪冠むる   岳より迫る  遠紅葉
夕月よ  いでよ阿騎野の  冬桜
青空へ  積む大根の山  洗い揚げ
殻竿の  豆打つ音や  里の秋
大滝から六田へ 昭和五九・一・二二 晴れ後雪
こうぞ打つ  軒端に雪の  落つる音
茜消え  六田の宮跡  千鳥鳴く
滝河に  木々より落つる  雪の音
倉橋・忍阪山(おさか)を歩く 昭和五九・二・二六 雨
鳰二つ  倉橋山の  影くだく
杉玉を  吊るす酒蔵  寒の雨
春雨や  薬師の胸は  ふくよかに
高円・田原の里を行く 昭和五九・四・一五 晴れ
鶯や  雪に傷める  茶の畑
代掻きの  始まる里や  あせび咲く
土筆摘む  子に一本を  貰いけり
飛鳥寺を訪ねて 昭和五九・五・六 晴れ
れんげ田を  吹く風に乗る  古寺の鐘
陽炎や  れんげに浮かぶ  飛鳥寺
沙羅双樹の  若葉を抜けて  鐘の声
生駒山『直越え』の道をゆく 平成一・四・九 晴れ
かたくりの  花やこえゆく  きしきしに
御手洗に  花揺れ写り  溢れたり
震えつつ  胡蝶の如し  花辛夷
蕉翁の  ゆかりの祠  花散れり
椿咲く  『暗峠』  越えにけり
以上は、万葉の里『犬養先生の選定‐万葉の旅大和路十二コ‐ス』を訪れたときの吟詠である。

「霞たなびく大和三山」・近鉄橿原神宮西口駅‐安寧陵‐畝火山口神社‐畝傍山へ登山・北へ下りる‐近鉄 畝傍陵駅‐本薬師寺跡‐藤原宮大極殿跡‐なき沢の森(都多神社)‐香久山中腹‐大宮大寺跡‐飛鳥浄御原 跡‐飛鳥御原伝地‐甘橿丘‐豊原‐バスで近鉄橿原神宮駅(10・5キロ)

「せせらぎ響(とよ)む飛鳥川・檜隈」・近鉄橿原神宮駅からバスで,かやの森へ‐カヤナルミノ命神社‐ 南淵請安の墓‐稲淵、雄綱の橋を渡る‐平田か峠越え‐於美阿志神社・檜隅寺跡‐文武天皇陵‐高松塚‐近 鉄飛鳥駅(7・5キロ)

「風吹き返す多武峰・飛鳥」国・近鉄桜井駅からバスで多武峰へ‐談山神社‐山を下り小原・鎌足生母大伴 夫人墓‐飛鳥浄御宮伝承地‐甘橿丘を尾根歩き養護学校脇へ‐天武持統合葬陵‐近鉄飛鳥駅(約9キロハイ キン型)

「神さぶる三輪・山のの道」A‐国・近鉄桜井駅からバスで景行天皇陵‐檜原神社‐大神神社‐志貴坐神社 御県神社‐つくば市跡‐初瀬川‐桜井駅(9キロ)B‐初瀬川‐忍阪の〔じょ明陵〕‐鏡王女の歌碑・墓‐ 大伴皇女墓‐バスで桜井駅(Aに追加約11キロ)

「人恋うる奈良山・佐保路」近鉄西大寺駅からバスで秋篠寺へ‐神功皇后陵‐孝謙天皇陵‐平城宮跡‐歌姫 神社‐仁徳皇いわき姫陵‐コナベ・ウワナベ古墳‐海竜王寺‐法華寺‐バスで奈良駅へ(8キロ)

「み魂しずまる高円・田原の里」近鉄奈良駅からバスで田原御陵前へ‐志貴皇子田原西陵‐陵の左から裏へ ‐此瀬大安万呂墓‐光仁天皇田原東陵‐日笠からバスで尾上町へ‐近鉄奈良駅(7キロ)

「水たぎつ吉野宮滝」近鉄吉野駅‐蔵王堂竹林院‐蔵王堂‐道標をたどって喜佐谷へ‐稚児松地蔵‐桜木社 ・象(さき)の小川‐吉野川・宮滝‐バスで近鉄上市(8キロ)

「紀へゆく道巨勢・まつち山」国・近鉄吉野口駅‐巨勢寺跡‐吉野口駅から国鉄大和二見駅へ‐大和街道を 犬飼山転法輪寺‐まつち山の山頂・歌碑‐まつち川・神代の渡り場(昔の動力小屋)‐橋本市隅田の歌碑‐ 国鉄隅田駅(5キロ)

「玉かぎる二上山」近鉄上太子駅‐竹内街道‐孝徳天皇陵‐河内の飛鳥川‐鹿谷寺跡‐二上山雄岳山頂・大 津皇子墓‐鞍部‐当麻寺‐近鉄当麻駅(一〇キロ)

「白雲立つ葛城古道」国・近鉄御所駅からバスで風の森峠‐高鴨神社‐高天彦神社‐朝妻の村‐一言主神社 ‐御所駅(10キロ)

「往きかえる竜田路」国鉄河内堅上駅‐青谷金山彦神社‐ブドウ畑を留所の山(万葉の小鞍の峠)‐峠の森 ‐高山‐龍田大社‐国・近鉄王子駅(7キロ)

「かぎろひ立つ宇陀・阿騎野」近鉄長谷駅‐狛峠越え‐笠間(桜実神社を右へ)‐口今井‐小附(こうづけ )‐迫間‐阿紀神社‐長山・万葉歌碑の丘‐大宇陀町からバスで近鉄はい原駅(11キロ・桜井駅からバスで 中女寄‐笠間から7キロ)

以上のコ‐スの実施は、サンケイ奈良支局と奈良交通で企画され、日時が決定せられ、特別の事情が無いか ぎり、気候や天候に関係なく実行された。

当日は犬養先生外和田・山内・清原等の諸先生が担当参加者と共に歩いて解説して下さった。参加して歩い て居ると、自然や風物が万葉の心で見えるような気がするから不思議である。『萱草が生えて居る』とする それが00の宮跡に咲いて居ると、何か心が違う様に見えるのだから・・・

   宮跡の 極まる崖に 野萱草

又万葉の時代から今日迄の移り変わりに・・先生方の講義を聞いて・・思いに耽る・・そんな時に・

   埴安の 池は田となり 合歓の花

平成元年十月三日肺嚢ホウの手術をしてから山歩きが出来なくなり残念でならない。
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