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落葉松亭日記(2015年5〜6月)


ニュース・評論のスクラップ、凡夫の日々雑感

6月25日(木) 終戦時、朝鮮半島にいた日本人の運命

最近、終戦時のGHQの検閲の実態が明らかになってきている。
これもその一つだったか・・・

メルマガ 西村眞悟の時事通信 平成27年6月25日(木)
http://www.n-shingo.com/

知られざる朝鮮半島における日本人の運命

先日、西村に伝えておきたいことがあると、青森に先祖代々住んでおられる方が来られた。 その伝えておきたいこととは、 昭和二十年八月十五日前後に朝鮮半島にいた日本人の運命である。
この青森の方の奥さんのお母さん(故人)は、 我が国の敗戦後に朝鮮半島から引き上げてきた方で、その状況を次のように語っていた。

敗戦後、満州から歩いて朝鮮に入ると、 朝鮮人の兵隊(武器を持った人)に、婦女子だけ集められて収容所に入れられた。
その収容所には二百四十人がいた。 その二百四十人のうち、日本に帰れたのは八十人だけで、残りの百六十人は帰っていない。
朝鮮人に千円を渡せば日本に行く船に乗れると言われて、 千円を渡して収容所を出ていった人は、一人も帰っていない。
彼女らは、もんぺの中に現金を縫い込んで満州から逃れてきていた。

アメリカ在住のヨーコ・カワシマ・ワトキンズさんは、 十一歳の時、朝鮮半島の最北部にある羅南から日本に引き揚げた。
その体験を赤裸々に 「日本人少女ヨーコの戦争体験記 竹林はるか遠く」(ハート出版) という本に著してアメリカで出版した。

それは、 「大戦末期のある夜、小学生擁子(11歳)は、『ソ連兵がやってくる』とたたき起こされ、 母と姉・好(16歳)との決死の朝鮮半島逃避行が始まる。
欠乏する食料、同胞が倒れゆく中、 抗日パルチザンの執拗な追跡や容赦のない襲撃、民間人の心ない暴行をかいくぐり、祖国日本をめざす。
日本人引き揚げ者が味わった壮絶な体験記である。

この青森の方の話とヨーコ・カワシマさんの著書に接して、私(西村)は、 一年前の平成二十六年五月、ストックフォルムに於ける日朝局長級会談での合意文書の中に、 朝鮮半島からの日本人引き上げ者が体験した知られざる運命に符合する文言が入っているのに気付いた。
それは、 「1945年前後に、北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、 いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む総ての日本人に関する調査」 という文言中の 「1945年前後に、北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人」である。
日本側が、日本人引き揚げ者の実体解明に関する明確な意欲を以て、この文言を使ったのかは不明ながら、 北朝鮮側が、この文言を受け入れた動機は明確である。

それは「遺骨ビジネス」だ。
即ち、北朝鮮は、 日本人の遺骨一体に対して金○○円を受け取るならば、 膨大な額の外貨を日本から獲得できると判断したのである。
即ち、膨大な人数の日本人が、終戦後の引き上げ途上で殺されて北朝鮮内に埋められているということだ。
そして、北朝鮮は、この事実を日本から金を引くために、 ストックフォルムで先行自白(語るに落ちる)したのだ。

また韓国域内のことであるが、 私の友人のお父さんは、戦前、韓国域内で教員をしており、戦後引き上げてきた。
そして、後年、韓国の教え子達が同窓会を開いてくれた。
このような良好な環境のなかにあっても韓国域内から引き上げるときは、 愛読書の森信三著「修身教授録」しか持参できなかった。
他の総ての財産を放棄して引き上げてきたのである。
また、私は、北朝鮮域内のように抗日パルチザンからの攻撃はなかったとはいえ、 韓国域内から日本に引き揚げる前に、目の前で父親が金槌で殴り殺される経験をした人を知っている。

以上のように、朝鮮半島からの日本人引き揚げ者には、苛酷な運命が待ち受けていた。
しかし、その全容が明らかにされているシベリア抑留者と比べて、 何故、朝鮮半島からの引き揚げ者の運命は蓋をされたように知られていないのだろうか。

この疑問を解明する鍵は、 我が国を軍事占領した連合軍総司令部(GHQ)が、戦後直ちに実施した言論の検閲である。
GHQの検閲事項の第8項は、「朝鮮人への批判」を禁じているのだ。
これが、現在に至るも、朝鮮半島の日本人が如何なる境遇におかれ、 一体何万人が殺されたのか一切蓋をされて伝わらない理由である。

現在の韓国の大統領は、就任以来、朝から晩まで日本を非難してきた。そして、 「加害者と被害者の関係は、千年経っても変わらない」 と化け猫の怨みのようなことを言っている。

従って、日本は、こういう日本非難を聞き流さず、 朝鮮半島に於ける知られざる日本人同胞の悲惨な運命についての関心を喚起し、 今こそ、その歴史の実相を解明しなければならない。



6月23日(火) 韓国一転「日本の世界文化遺産登録に協力」

従軍慰安婦問題や強制連行等々、嫌みタラタラを世界に発信する韓国が、一転して「日本の世界遺産登録に協力する」という。
「千年の恨み」がそうたやすく瓦解するものとは思えない。
裏になにか罠でもあるのではと懸念される。
記事に依れば条件付きで、韓国の被害者意識、上から目線は相変わらず異常。
韓国“急転”「世界遺産」登録に協力 背景に「無策」「外交的孤立」の世論  2015.06.22
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150622/frn1506221830013-n1.htm

写真:安倍首相と会談した韓国の尹炳世外相(左)。ついにすり寄るしかなくなったか=22日午前、首相官邸【拡大】

 日本と韓国が国交正常化を実現した日韓基本条約の締結から、22日で50年を迎えた。両国関係が悪化するなか、安倍晋三首相と韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は同日、官邸で会談した。これに先立ち、岸田文雄外相と尹氏は21日、外相会談を行い、「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録について、韓国の推薦案件とともに、両国が登録に向けて協力することで一致した。慰安婦問題は先送りされた。外交的孤立や国内外の反発を恐れる朴槿恵(パク・クネ)政権としては、世界遺産問題では「完敗」を認めざるを得なかったようだ。

 「日韓は隣国であるが故にさまざまな問題、課題がある。だからこそ、お互いに胸襟を開いて話すことが重要だ」「私は朴大統領とともに、次なる半世紀に向けて、さらに関係を改善してきたい」

 安倍首相は22日午前、韓国の外相として4年ぶりに来日した尹氏との会談でこう語り、朴氏との日韓首脳会談を実現する意欲を示した。首相は同日午後、東京の韓国大使館が開く国交正常化記念行事に出席する。

 一方、韓国大統領府報道官は同日午前、朴氏が同日夕、ソウルの日本大使館が開く記念行事に出席し、「歴史問題の重い荷を下ろし、未来志向的な両国関係発展のために相互に協力していこう」などと祝辞を述べ、歴史問題の解決を促すことを明らかにした。

 注目された21日夕の日韓外相会談は夕食会を含めて約3時間に及んだ。まず、懸案の1つ、世界文化遺産登録問題が話し合われた。

 韓国側はこれまで、「戦時中に朝鮮人労働者が強制徴用された非人道的な施設が含まれている」と反発。尹氏や国会議員が世界遺産委員会のメンバー国を回るなどして、大々的な反対運動を展開していた。

 明治維新と戦時中では時代が大きく異なるが、日本側は歴史的な事実関係の範囲内で「徴用工」について明示すると説明。韓国も「百済の歴史地区」の世界文化登録を目指しており、岸田氏は会談後、「両案件が登録できるよう協力することで一致した」と語った。尹氏も「協議を通じて円満に解決するとの共通認識を持ち、緊密に話し合うことにした」と記者団に述べた。

 韓国が土壇場で折れた背景には、朴政権が置かれた厳しい立場がありそうだ。

 韓国メディアの多くは最近、安倍首相がインドネシアでのバンドン会議で2度目の日中首脳会談を実現させ、4月の訪米で日米同盟を強化させたことを受け、傍観するだけで孤立化しつつある韓国外交を厳しく批判していた。加えて、朴政権の経済政策や、MERS(中東呼吸器症候群)対策への批判も高まっており、日韓首脳会談の早期実施を求めていた。

 米国の存在もある。尹氏は先週初め、ワシントンを訪れ、ブリンケン米国務副長官やラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)と会談した。米国務省は「北東アジア地域の懸案も話し合った」としており、日韓関係の改善に向けて“圧力”をかけた可能性もある。

 峨山(アサン)政策研究院の世論調査では、「安倍首相による(戦後70年)談話が不十分な内容でも韓日首脳会談を開催すべきか」に、56・3%が「すべきだ」と回答した。尹氏の訪日は世論対策という側面もあった。

 ただ、最大の懸案である「慰安婦問題」は先送りとなった。

日韓関係筋によると、事前に行われた日韓の外務省局長級協議で、日本は韓国に対し、
(1)慰安婦を「性奴隷」と呼ぶことの中止
(2)ソウルの日本大使館前の慰安婦像の撤去
(3)他国での反日活動への韓国政府の関与停止
(4)慰安婦問題で合意を図る場合、両政府が問題を終結させると宣言し、韓国政府が民間団体に蒸し返しをさせないと保証する
-などを要求したという。

 これに対し、韓国は日本が法的責任を認めることを前提に、
(1)首相による韓国への謝罪
(2)駐韓日本大使による元慰安婦への謝罪
(3)政府出資による元慰安婦への金銭支給
-が問題解決の条件だとしている。

 決着の展望が見えないため、21日の日韓外相会談では、慰安婦問題については「外務省局長級で協議を継続していく」ことで一致した。

 韓国情勢に詳しいジャーナリストの室谷克実氏は「今回の尹氏来日で『どちらの言い分が通ったか』という視点で見れば、勝敗は明らか。日本外交の勝利だ」といい、続ける。
 「韓国は先日まで、『明治日本の産業革命遺産』の世界文化遺産登録に反対運動をしていたが、これを取り下げた。『慰安婦問題の解決が日韓首脳会談の条件』とも言っていたが、ウヤムヤになった。韓国は、国内向けには違ったニュアンスの発表(=朝鮮人強制徴用の反映に事実上合意した)をしているようだが、日本側としては『大きな心で受け止める』ということだろう。朴政権としては国内外とも手詰まりの中で、『日韓首脳会談への道筋をつくった』という光明を見つけ、万々歳ではないか。尹氏もこれで帰国できる。ただ、慰安婦問題での攻撃は今後も続くだろう。日本は覚悟して対応すべきだ」

韓国の真意を測りかねる自治体・・・
されど遺産登録はやりたし
韓国側の“条件付き”協力に自治体困惑 「外交問題、自治体でできることはない」 2015.6.23 05:00更新
http://www.sankei.com/politics/news/150623/plt1506230002-n1.html

 「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録阻止を訴えてきた韓国が、日韓外相会談で一転して協力する方針を示したことに、関係自治体からは「一歩前進した」との声が上がった。ただ、朝鮮半島出身者が働いていたことなどを明示することに対し、韓国側が指摘する7施設を抱える自治体は「外交問題になっている」と困惑している。

 「軍艦島」として知られる端島炭坑などがある長崎市の担当者は、「登録に向けて一歩前進した。懸念材料がなくなり、地元は登録に向けてさらに盛り上がるだろう」と話す。

 ただ、韓国側の主張を一部反映させることに担当者の口は重い。「報道を見ているだけで政府からの情報は何もない。外交問題なので自治体としてできることはない。国にお任せするだけ」と漏らす。韓国の市民団体が今月初め、朝鮮半島出身者に対する慰霊祭を行うために軍艦島への上陸を試みたことで、市民から非難の電話が市役所などに多数寄せられた経緯もあり、今後の進展を注視する。

 三池炭鉱・三池港がある福岡県大牟田市と熊本県荒尾市。大牟田市の担当者は「(各自治体が)統一した見解で進める必要がある」と話す。荒尾市の担当者は「これまでもこれからも、国の指導のもとで進めていくだけ」と話す。

 官営八幡製鉄所がある北九州市の担当者は、「国から情報が来ていないので対応はこれから。政府には幅広い理解を得られるように進めてもらえると思う」と前向きに捉える。

 産業革命遺産を管理するある民間会社幹部は「1企業としてできることはやっており、国の方針に任せてきた。そこに口を出されるのは悔しい。韓国は遺産登録に反対だったのになぜ、今になって登録に協力的になったのか。韓国に譲歩はしたくないが、遺産登録の機会を棒に振るわけにもいかないし…」と、韓国側の真意を測りかねていた。

 韓国側の指摘とは直接関係のない自治体は一様に安堵(あんど)している。静岡県伊豆の国市世界遺産推進課の秋山貴宏係長は「海外の方にも韮山反射炉の存在を知ってもらえるよう、さらにPRしていく」と意気込む。橋野鉄鉱山・高炉跡がある岩手県釜石市の「釜石観光ボランティアガイド会夢ふれあい隊」事務局長の工藤利明さん(73)は「『ますます忙しくなるぞ』とガイド一同、やる気は十分」と気持ちを新たにした。

韓国難癖に違和感「被害ばかり強調」 「『朝鮮の人』への差別なかった…」 89歳元炭鉱社員が証言
【活気あった炭鉱物語】2015.6.21 11:30更新
http://www.sankei.com/life/news/150621/lif1506210035-n1.html

朝鮮半島関係者が証言 強制でなく「職探しも」
【活気あった炭鉱物語】2015.6.21 11:40更新
http://www.sankei.com/life/news/150621/lif1506210037-n1.html


6月21日(日) 講演『憲法と安保法制』要旨

【安保法制】西修・駒沢大名誉教授「安保関連法案、明白に憲法の許容範囲」 06月20日 06:23産経新聞
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/sankei-plt1506200004.html

 西修(にし・おさむ)駒沢大名誉教授(憲法学)が19日、日本記者クラブで「憲法と安保法制」をテーマに講演した。要旨は次の通り.

 9条で自衛権の行使は認められている。集団的自衛権は個別的自衛権とともに主権国家の持つ固有の権利だ。
安保関連法案は限定的な集団的自衛権の行使容認であり、明白に憲法の許容範囲だ。

 集団的自衛権の行使を認めないということは主権国家ではないということなのか。
憲法上、許される必要最小限度の行使は有り得るのではないかという根本的な疑問に十分答えないまま何十年も過ごしてきたのが現状だ。
 国民の負託を受けている国会は自衛権行使の範囲、態様、歯止め(制約)、承認のありようなどについて審議を尽くすべきだ。

 厳しい国際情勢を冷静に分析することが肝要だ。
安保関連法案は『戦争法案』だというレッテル貼りはやめよう。
内容は『戦争抑止法案』だ。

 集団的自衛権の方が自国のみの防衛よりはるかに安全で安上がりだ。
北大西洋条約機構(NATO)が欧州で戦争を抑止してきた冷厳な事実に目を向けるべきだ。
 スイスは集団的自衛権を否定しているが重武装で徴兵制を敷く。
集団的自衛権禁止派はこのような国防体制を望んでいるのか。

 学説とは人数の多寡ではない。
PKO協力法案が審議された際に学界は反対だった。私の学説は少数派だった。
しかし現在、PKOに反対の方はどれほどいるか。
メリット、デメリットを公正に報道していただきたい。
細かな点よりも本質は何かをマスコミは考えていく必要がある。

 (混乱を回避するため)憲法9条を誰が読んでも自衛戦力さえ持てない非武装条項に改めるか、誰が読んでも自衛戦力(軍隊)を持てる条項に改めるか、二者択一の国民投票の実施を提案したい。


【安保法制】日本大の百地章教授「9条に集団的自衛権禁ずる明文規定ない」「学者の意見はあくまで私的解釈」 06月20日 06:28産経新聞
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/sankei-plt1506200005.html

 百地章(ももち・あきら)日本大教授(憲法学)が19日、日本記者クラブで「憲法と安保法制」をテーマに講演した。要旨は次の通り。

 憲法解釈変更は過去にも行われている。
集団的自衛権の行使を限定的に容認した政府の対応は、従来の不自然な見解を改め、国際標準に近づけるものだからむしろ理にかなっている。
 憲法9条には集団的自衛権の行使を禁止したり、制約したりする明文の規定は存在しない。 日本が国際法上、行使し得ることは明らかだ。

 刑法の「正当防衛」は急迫不正の侵害が発生した場合、「自分」だけでなく一緒にいた「他人の権利」を防衛することができる。
個別的自衛権と集団的自衛権を不即不離のものと考えるのが自然だ。

 憲法審査会で憲法学者は「従来の政府見解の枠を超える」として安全保障関連法案が違憲だと述べた。
しかし、「憲法の枠を超える」ことへの説明が見当たらない。
学者の意見表明はあくまで私的解釈であり、政府や国会を法的に拘束しない。
拘束するのは最高裁判例などの有権解釈だ。

 中国が南シナ海に侵出し、東シナ海や尖閣諸島までうかがっている。
北朝鮮の核ミサイル発射のおそれもある。
他方、オバマ政権は「米国は世界の警察官ではない」と宣言した。
いざというときに米国が駆けつけてくれるのか非常に不安だ。
米国の戦争に巻き込まれるという説もあるが、(関連法案は)米国を日本の防衛体制に巻き込むために必要だ。

 政府の説明は細かすぎてよく分からない。
木の説明ばかりで肝心の森の説明がなく、国民がもどかしい思いをしている。
国際情勢などに基づき説明すれば国民は必ず理解してくれる。

 野党も揚げ足取り的な批判が多い。自衛官のリスクを共産党まで心配してくれる。
そんなに心配ならばもう少し自衛隊法制の整備に協力していただきたい。
軍隊になれば自らの安全を守ることができる。
建設的な批判や対案を出すべきだ。

橋下氏、対案提出を容認=「明確なメッセージを」―安保法制 06月20日 20:17時事通信
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-150620X315.html

写真:安全保障関連法制に関する勉強会で、あいさつする維新の党の松野頼久代表(右)と橋下徹最高顧問。政府の安保関連法案の対案として維新がまとめた独自案を批判していた橋下氏は対案の国会提出は容認=20日、大阪市【時事通信社】

 維新の党は20日、松野頼久代表、橋下徹最高顧問(大阪市長)らが出席して安全保障法制に関する勉強会を大阪市内で開いた。政府の安保関連法案の対案として維新がまとめた独自案を批判していた橋下氏は、「明確なメッセージとともに、それが分かるものを出すべきだ」と注文を付けたものの、対案の国会提出は容認した。執行部は22日以降、独自案の手直しを検討するとともに、各党との協議に向けた調整に入る。

 維新の対案は、集団的自衛権行使の対象となる「存立危機事態」での武力行使の要件を厳格化する内容。橋下氏はこれについて「他国の防衛ではなく、わが国の防衛が目的だということがもっと明確になる表現に変えなければならない」と対案の文言の修正を求めた。

 また、「周辺事態」での後方支援に関し、橋下氏は「地理的な歯止めが見えにくい」と指摘。自衛隊派遣の国会承認については、外交・安保に精通した議員が、政府側から十分な情報を得て判断できる仕組みを整えるよう求めた。

民主は対案もなくただ反対していた・・・
民主・辻元氏、安保対案「出さない」と明言 06月19日 22:48産経新聞
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/sankei-plt1506190056.html

 民主党の辻元清美政調会長代理は19日夜のBSフジ番組で、安全保障関連法案に関する対案や修正案を出さないと明言した。「憲法に抵触するかどうかをまだ議論している。根本がまだ不明だ」と理由を語った。岡田克也代表は19日午後の記者会見で対案の提出について「まだ決めていない」と述べていた。

公明・浜地氏、辻元氏に「バカか」とヤジ 安保特別委 06月19日 22:26朝日新聞
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASH6M6RSLH6MUTFK01H.html

 安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で19日、公明党の浜地雅一衆院議員(比例九州)が、質問中の民主党の辻元清美衆院議員に「バカか」とヤジを飛ばしていたことが分かった。浜地氏は同日、事実関係を認め、辻元氏に直接会って陳謝した。

 公明幹部らによると、同日午前、辻元氏が徴兵制について質問していた際、民主議員が「バカか」というヤジを聞いた。公明の遠山清彦理事に確認を求めたところ、浜地氏がヤジを認めたという。辻元氏は朝日新聞の取材に「残念だ。徴兵制は国民の関心が高い。与党は触れてほしくないからヤジを飛ばすのか」と語った。
 5月28日の同特別委では、安倍晋三首相が辻元氏に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばし、審議がストップしたケースがある。



6月17日(水) 米中軍事衝突の可能性

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成27年(2015)6月17日(水曜日)通算第4579号
http://melma.com/backnumber_45206/

南シナ海で、もし米中軍事衝突が起こるとすれば
  米国専門家が三つのシナリオを提示


 保守の論客アービン・クリストルが創刊した『ナショナル・インタレスト』誌は、『フォーリン・アフェアーズ』と並んで全米のマスコミがしばしば引用する有力なメディア(日本では後者しか知られていないが)。
かつてはフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』も、この雑誌に連載された。2004年から発行元はナショナル・アフェアーズ社からニクソン・センターに移管した。

 この『ナショナル・インタレスト』誌最新号に『米中が南シナ海で軍事衝突にいたる三つのシナリオ』が提議されている。執筆はロバート・ファーレイ(パターソン・スクール準教授、海軍戦略専門家)。

 「いまや米中は南シナ海の埋め立て工事をめぐって言葉の戦争状態、日々、緊張が増大している。かといって中国の軍事態勢、その装備、準備具合などから勘案して、すぐに戦争状態に突入するとは考えにくい」としながらも、以下の三つのシナリオが描けるとする。

 第一の想定は小競り合いによる軍事衝突への発展であり、
(a)は中国の人工島建設と軍事施設の完成がなされ、航海の自由をかかげる国連の立場からも、米軍は島外海域のパトロールを実行することになる。
 したがって米軍偵察機、あるいは米艦船に対して中国が妨害し、それが米側の損傷をともなく場合、当然だが米軍の報復がなされる。

 (b)米軍の対潜水艦哨戒機P3Cオライオンが、中国側に補足され、緊張が高まった事件があったように、機体とパイロットの返還に数週間を要した。
 つまり米軍の哨戒飛行への嫌がらせによる偶発的衝突が起こりうるだろう。

 (c)このシナリオは嘗てのKAL007便が『領空侵犯』を問われ、ソ連のミサイルで撃墜されたように、民間機の撃墜がなされるとすれば、米軍の報復があるだろう。なぜなら中国は南シナ海にも、一方的にADIZ(防空識別圏)を設定しようとしているからである。

▲偶発戦争というのは稀にしか起こらないが。。。

 第二は潜水艦の偶発事故によるケースである。
 冷戦時代、ソ連原潜ならびに通常の潜水艦と西側NATOの潜水艦にニアミスがよく起こった。
往時のソ連の海軍力と比べると中国海軍の潜水艦戦力はまだ完成の域にはないが、その戦闘意欲は旺盛であり、また潜水艦をますます増加させている傾向にあり、近未来にニアミスが起こりうるだろう。

 第三は習近平の謳う『軍事外交』である。
いまや中国は後戻り出来ない地点に来ており、その政権維持をかけて軍事力の誇示は、かの政権の政治命題である。

 偶発戦争は起こりえない可能性が高いものの、危機を危機と認識できない指導者が、党内権力闘争の生き残りをかけて軍事突出にでてくる場合、それは起こりうる危険性に繋がるのである。

西村眞悟の時事通信 平成27年6月15日(月)
http://www.n-shingo.com/

座して死を待っているではないか

当たり前のことだが、 「座して死を待つ」よりも敵ミサイル基地を撃破して国を守ることができる。
従って、我が国は、その国を守る能力と力を保有しなければならない。

また、本通常国会でも、「座して死を待つ」よりは云々の議論があったようだ。

そこで言っておく、 本通常国会の議論においてもそうだが、「座して死を待つ」事態を、 現実にはない架空の事態を想定したように議論するのはもう止めたらどうか。

学者ではなく、国会で政治家・為政者として議論しているのなら、 何故、現実を直視した議論ができないのか。
与党においても具体的な問題意識がないから、 政府与党が提出した法案を「違憲です」と答える学者を、 こともあろうに、与党が参考人として呼んでしまうのだ。
また、野党も、アホな学者に「違憲です」のスイッチを押されて、 一挙に先祖返りして思考停止するのだ。

さらに言う。 我々は、まさに今、現在、 「座して死を待つ事態」 もしくは、 「座して死を待たせる事態」 を、観て観ぬふりをして、放置し続けている。

(一)南シナ海で中共が人工島を造成して軍事基地を建設しているではないか。 これに無関心であることは、 海洋国家として「座して死を待つ」ことではないのか。
我が国は、主体的に如何に対処するのか。
観て観ぬふりを続けるな。
現実を直視せよ。
中共の軍事基地建設に明確に反対して埋め立て中止を要求しているアメリカが、 アメリカの空海軍が人工島から十二海里以内を航行する「海の自由作戦」を発動すると中共に警告している。
我が国がこのアメリカと共同行動をとるならば、 集団的自衛権行使はその共同行動と不可分の前提ではないか。

(二)二年半前のアルジェリアのイナメナスで、テロ組織に拘束された日本人技術者十名に対して、 我が国政府は、「座して死を待たせた」ではないか。
さらに、本年一月のことを既に忘れているのか。
IS(イスラム国)に日本人二人の身柄を拘束されて「言うこと聞かなければ殺す」と脅された日本政府は、 為す術無く彼ら二人を、首を斬られるまで「座して死を待たせた」。
レバノンでも報復爆撃をしたのだから、日本政府も何か報復を決断するのかと思ってみていたが、 日本の政府と国会は、喉元過ぎて、ケロリと「忘れた」。

(三)北朝鮮に拉致された同胞を如何に救出するのか、 この切実で緊急を要する国家的課題に対して、 何故、無関心なままで 「安全保障法制議論」ができるのか。
この切実な課題に無関心な者達が呼んだんだから、 呼ばれた参考人も無関心なのだろう。

しかし、政治家が拉致被害者救出に無関心で、どうして任務が果たせるのか。 また国家の安泰と国民の人権保護を定める憲法を研究するべき憲法学者が、 どうして切実な拉致被害者救出に無関心なのか。
日本政府と国会が一丸となって、 早急に、北朝鮮の金体制崩壊への圧力を強化して 今こそ、拉致被害者救出への突破口を開けるべきではないか。

このままでは、多くの拉致被害者そして多くの両親と家族を 「座して死を待つ状態」に起き続けることになるではないか。

以上の通り、現在の我が国政治状況は、 南シナ海、テロとの戦い、そして、拉致被害者救出という国家的課題に関して、 座して死を待つ状態にある。
しかし、当事者にその自覚がない。

従って、「座して死を待つ」、この惨めな国政を変革する為に、 安倍晋三総理は、 八月解散総選挙を決断するべきである。

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com
http://www.n-shingo.com/

憲法改正で戦後が終わる
九州「正論」懇話会、阿比留編集委員が講演 2015.6.16 13:23更新
http://www.sankei.com/west/news/150616/wst1506160056-n2.html

写真:九州「正論」懇話会で講演する産経新聞の阿比留瑠比・政治部編集委員

 福岡市中央区のホテルニューオータニ博多で15日に開かれた九州「正論」懇話会。産経新聞の阿比留瑠比・政治部編集委員の講演の主な内容は次の通り。

 昨夜、3時間にわたり、大阪市の橋下(徹)市長、(安倍晋三)首相、菅(すが)(義偉(よしひで))官房長官、松井(一郎大阪府)知事の4者が会談をされました。
 なぜ首相は橋下さんとこれほど親しくしているのか。橋下さんは大きなメッセージ力を持ち、維新(の党)に強い影響力を持つ人物です。その人が明確な首相支持、憲法改正に賛成を示すことが、国民運動としての憲法改正に、非常に大きな役割を果たすということを首相は強く意識しており、今後に期待しているということです。

 安全保障法制が、現在進行形で審議されています。国会を見て、つまらない、ばかじゃないかと思うことばかりです。野党議員が現在の法律で何ができるかを全然理解しておらず、新しい法律でいきなり全てができるようになるような決めつけで質問している。

 また、(野党議員は)全然、国際情勢を意識していない。南シナ海ひとつとってみても簡単にわかる話です。中国大陸からはるか離れた場所にある岩礁に、中国は埋め立てをして滑走路を敷き、砲台まで設置している。これは現在進行形の侵略です。(日本に近い)東シナ海に目を転ずれば、尖閣諸島の周辺海域に毎日のように中国の公船が訪れている。「なぜ今なの?」なんていう国会議員は、バッジを付ける資格がありません。

 ただ、政府の言い方もどうかなと思っています。特に「リスクが増えることはない」というが、(自衛隊にとってリスクが増える)可能性はある。

 こういう風にいったらどうでしょうか。
 「今回の安全保障法制によって、国民のリスクを減らすために、自衛隊員の諸君には、場合によってはリスクが多少、上がることもある」

 (9月の)自民党総裁選は無投票で安倍首相の再選となる可能性が大きい。問題は今後、リベラル左派との戦いの中で、憲法改正をどう実現するかです。
 GHQ(連合国軍総司令部)が作った憲法を、そのままにしておくわけにはいかない。憲法9条を変えるのは、今の情勢ではハードルが高いが、安倍政権は必ずやるでしょう。

 (政権の)課題は目の前にたくさんあります。教育再生や税制、農協改革は緒に就いたばかりです。とはいえ、安倍政権の究極の目標は憲法改正です。憲法を日本人自身の手に取り戻すことによって、戦後が終わり、新しい時代が開ける。
 まさにそのために安倍政権は存在しているんだと思います。これだけ(一部の)メディアが悪口を連日垂れ流そうと、5割の国民は安倍内閣を支持している。メディアの力の限界を示すと同時に、国民の良識も示しているんじゃないかと思います。



6月14日(日) 『昔の名前で』安保ハンタイ

メディアの記者を一堂に集めて会見すれば便利。
先日は村山/河野談話コンビが記者会見した。
今回は、安倍政権安保法案批判に、年齢が74〜82、引退した元派閥オーナーが集まったとか。
山崎拓氏ら、安保法案批判会見のウラ 浅川博忠氏「勝算は低い」 2015.6.13 21:00
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/150613/plt15061321000015-n1.html

 自民党の山崎拓元党副総裁(78)らが、安倍晋三政権に揺さぶりをかけようと動き出した。無所属の亀井静香元金融担当相(78)らと記者会見し、安全保障関連法案の今国会成立への反対をブチ上げたのだ。「昔の名前」の政治家らが唐突に出てきた印象が強いが、背景には、最近批判を浴びた「あの記者会見」との連携があった。

 「今の自民党はことごとく戦争を知らない世代だ」「安倍政権の権力にひれ伏している」

 12日午後、東京・内幸町の日本記者クラブで会見した山崎氏は、自民党の現状への強い不満を繰り返した。会見には、山崎、亀井両氏と、武村正義元官房長官(80)、藤井裕久元財務相(82)が顔をそろえたほか、当初は自民党の古賀誠元幹事長(74)も出席を予定していた。

 このなかで、政局的な動きが際立つのが山崎、古賀両氏だ。政界引退後も派閥のオーナー然とした言動が目立ち、「安倍政権に一矢報いようと考えている」(自民党中堅)とされる。

 日本記者クラブといえば、今月9日、村山富市元首相(91)と河野洋平元衆院議長(78)が、互いの「談話」を持ち上げ合った会見を開き、「無責任」「国益を損ねた反省がない」「ひどいすり替え」などと酷評された。実は、山崎氏らの動きとも連携しているという。

 関係者によると、山崎氏と河野氏は連絡を取り合っており、「河野氏らの会見を先に行った方が、世論に与える影響が大きい」という計算で一致したとされる。安保関連法案だけでなく、安倍首相が今年夏に発表する戦後70年談話を牽制する狙いもありそうだ。

 ただ、山崎氏らが、自民党内に影響力を及ぼせるかは見通せない。

 政治評論家の浅川博忠氏は「安倍内閣の支持率が急落すれば、山崎氏らが総裁選に対抗馬を立て、党内のリベラル派を動かそうとする可能性はある。ただ、初入閣を狙う中堅議員らは安倍首相に反旗を翻しにくく、現時点では勝算は低い」と分析している。

「今の自民党はことごとく戦争を知らない世代だ」と宣ったが、戦後七十年、有権者の殆どがそうなった。同盟国、仮想敵国もそうなっている。
長い間続いた冷戦構造も終わると、またぞろ今度は中共が軍拡に励むようになった。
人間の習性かもしれない。
戦争は嫌だけど身を守るためには致し方ないのではないか。

■安保関連法案を閣議決定 読売:2015年05月15日 08時00分
集団的自衛権を限定容認
http://www.yomiuri.co.jp/feature/matome/20150515-OYT8T50121.html

■安全保障関連法案 要綱要旨 読売:2015年05月15日 08時30分
http://www.yomiuri.co.jp/feature/matome/20150515-OYT8T50141.html


6月12日(金) 『イラネッチケー』

気に入らない新聞は止めれば済むが、TVはそうはいかない。
受像器があれば、NHKから受信料請求がきて強制徴収される仕組みになっている。
「皆様の受信料で運営されております」とは云っているが、交付金とか委託金(国際放送)の形で税金も使われている。
インターネットの普及とともにNHKの偏向がよく知られるようになり、当方も「えーっ、よくもそんな嘘吐きやがって、自分だけならともかく、幾千万所帯にそんな情報を垂れ流していいのか」と思うようになった。
老母がいなくなりTVが不要になった(母もあまり見ていなかったが)、受像器を処分し契約解除にした。年間一万数千円ではあるが・・・

『イラネッチケー』とは面白いネーミング。関東圏だけのようだが、NHKをカットするフィルターらしい。NHK嫌いの怨念がこもっているような製品だ。
NHKだけ受信しない装置「イラネッチケー」 約130個売れる 2015.06.11 11:00
http://www.news-postseven.com/archives/20150611_327969.html

【NHKだけ受信しない装置「iranehk(イラネッチケー)」】
 放送法において〈協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者〉はNHKに受信料を支払わなければならないと定められている。NHKの姿勢に疑問を抱いて視聴しなくなっても、「テレビがある世帯は受信料支払い義務がある」と求められる根拠だ。

 そこで登場したのが、NHKだけを受信しない装置である。直径21ミリ、長さ75ミリの筒状の装置はその名も「iranehk(イラネッチケー)」。筑波大学システム情報系准教授・掛谷英紀氏の研究室が開発した。

 テレビ背面にあるアンテナ入力端子などに取り付けるとNHK総合とNHK教育の周波数をカットする「地上波用」がネット通販で7965円で購入できる(「BS用」は7587円)。イラネッチケーを使えばNHKの放送が見られる〈受信設備〉ではなくなるから、受信料を払う必要はないという理屈だ。掛谷准教授はこういう。

「NHKの放送では公共性を疑わせる事案が数多く発覚しています。NHKは予算こそ国会承認が必要ですが、監視が十分とはいえず、公共性を担保する仕組みがありません。それならば国民にNHKと契約しない自由は保障されてしかるべきと考えました。地上波用、BS用合わせて約130個が売れています」

 受信料の支払い拒否を巡る訴訟はこれまで全国各地で起きているが、6月1日にはフリージャーナリストが「イラネッチケー」を使ってNHKに請求されている受信料は発生していないという債権不存在訴訟を起こした。司法判断はこれからだが、NHKが「みなさま」を向かない報道を続ければ、こうした動きはますます広がるだろう。
※週刊ポスト2015年6月19日号

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さて、この装置を使って債権不存在訴訟を起こしたというが、司法の判断によっては爆発的に売れるかも。


6月10日(水) 村山/河野談話・反省無し

村山富市元首相(1924生)、河野洋平元衆院議長(1937生)がそろって記者会見し安倍首相の戦後70年談話に注文を付けた。
村山氏は社会党、河野氏は自民党と相対する立場の筈だが、そろって記者会見するのは、何らかの意図があると見える。
記者席には中韓のメディアもいたという。中韓にとってはまだまだ賞味期限内なのだろう。
従軍慰安婦問題で朝日新聞は謝罪したが、村山・河野談話のご本人は反省もなく意気軒昂。
朝日新聞のように営業しているわけでなし、食うに困らない。
政治生命をかけてきたのだから、当たり前かも知れない。
脳内に反省する余地はなく、もし反省するとすれば精神に異常を来した時かも。
村山、河野両氏が対談 互いの談話たたえ合う 反省示さず
【歴史戦】2015.6.9 20:52
http://www.sankei.com/politics/news/150609/plt1506090040-n1.html

写真:対談する河野洋平元衆院議長(左)と村山富市元首相=9日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ(栗橋隆悦撮影)

 村山富市元首相と河野洋平元官房長官が9日、東京都千代田区の日本記者クラブで対談した。対談で両氏は、日本の「植民地支配と侵略」を謝罪した「村山談話」(平成7年)と、証拠資料も信頼に足る証言もないまま慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」(5年)について互いにたたえ合った。さらに「河野談話発表後、日韓関係は前進していたのに現政権が寝た子(韓国)を起こした」(村山氏)などと安倍晋三首相を批判した。

 約300人の報道陣が詰めかけた会場には、中韓の主要メディアの姿もあった。村山談話について、河野氏は「村山氏のリーダーシップで作られた、バランスのとれた立派な談話だ」と持ち上げた。

 これを受け、村山氏も「(慰安婦の)事実を明らかにし、韓国に謝罪したのは河野談話が初めて。日韓和解の起点を作った歴史的な文書だ」と絶賛。河野談話については昨年6月の政府の検証報告書で信頼に足る証言がないことが明らかになっているが、村山氏は「調査には限界がある。問題にする必要はない」とかばった。

 村山氏はまた「安倍晋三政権が河野談話を見直さなければこんな問題にならずに済んだ。なぜ蒸し返すのか不思議でならない」と主張し、河野氏は「日韓関係は非常にスムーズに進んでいたのに、ここ数年で残念な状況になった」と述べた。

 両氏は互いの業績をほめ合ったが、村山、河野両談話が出た後も、中韓は歴史問題を提起し続けているのが実態だ。一方、両氏は韓国の李明博(イ・ミョンバク)前大統領による竹島(島根県隠岐の島町)上陸や、中国の海洋における膨張政策などの日韓、日中関係悪化の要因には何も言及しなかった。

 両氏はまた、安倍首相が今夏に発表する戦後70年談話にも言及。村山氏は「村山談話を継承すると談話の中に明記し、国際社会の誤解を解消することが大事だ」と強調した。

 河野氏の矛先は慰安婦問題に関する報道にも向けられた。

 「ジャーナリストの仕事は真実を追究することだ。細かい点をもって事実を認めなかったり、『他国もやっていた』という言い方をしたりすることが、どれだけ日本の名誉を傷つけているか。私は怒っている」

 だが、河野談話発表時の記者会見で、談話の趣旨も政府調査の結果も踏み越えて強制連行を認める発言をした自身への反省は示さなかった。 (田中一世)


「植民地支配」「おわび」明示を=70年談話で村山・河野氏 06月09日 19:03
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-150609X652.html

 村山富市元首相と河野洋平元衆院議長は9日、日本記者クラブでそろって記者会見し、安倍晋三首相が今夏発表する戦後70年談話について、「植民地支配と侵略」「心からのおわび」を盛り込んだ戦後50年の村山談話などを継承する姿勢を明確にするよう求めた。

 村山氏は「(首相は)村山談話を継承すると言っているが、それなら談話に素直にはっきり明示した方がいいのではないか」と強調。河野氏も「歴代内閣が継承してきた談話から、誰が見ても『後退だ』と思われるような談話を出してはいけない」と述べ、首相にくぎを刺した。

 河野氏はまた、「70年目だからといって談話を出す必要があるのか」とも語り、談話自体の必要性に疑問を呈した。



6月9日(火) G7・中共南シナ海埋め立てに「反対」明記

【独エルマウサミット】中国の南シナ海埋め立てに「強い反対」明記 首脳宣言採択し閉幕 2015.6.8 22:05
http://www.sankei.com/world/news/150608/wor1506080031-n1.html

写真:G7で各国首脳らとの記念撮影に臨む安倍晋三首相(右端)=8日、ドイツ南部エルマウ(AP)

 【エルマウ=宮下日出男、桑原雄尚】ドイツ南部エルマウ城で開かれていた主要国首脳会議(サミット、G7)は8日午後(日本時間同日夜)、2日間の成果をまとめた首脳宣言を採択して閉幕した。中国による南シナ海の岩礁埋め立てに関し「現状の変更を試みるいかなる一方的行動にも強く反対する」と明記し、中国の野心的な海洋進出を牽制(けんせい)した。

 首脳宣言は、前文で自由や民主主義、法の支配、人権の尊重といった原則を確認。その上で「主権および領土の一体性の堅持に一致団結する」とした。

 中国の海洋進出をめぐっては、東シナ海、南シナ海での緊張状態に懸念を表明。国際法に基づく海洋秩序の維持や平和的紛争解決などの重要性を強調した。

 7日夜(日本時間8日未明)の討議で、安倍晋三首相は「東シナ海や南シナ海で緊張を高める一方的な現状変更の試みは放置してはならない」と指摘した。

 首脳宣言はまた、ウクライナ情勢について、ロシアによるクリミア半島の併合を改めて非難し、ロシアを含む全ての当事者が今年2月の停戦合意を完全に履行するよう要請。ロシアが停戦合意を完全履行するまで対露制裁を継続する方針も確認した。ウクライナによる構造改革への支持も表明した。

 安倍首相が討議で提起した北朝鮮の核・ミサイル開発の継続と拉致問題に関しては北朝鮮を強く非難。イラン核問題では、今月30日の期限に向け、イランと欧米など6カ国による包括的解決への努力を支持した。

 8日午前(日本時間同日夕)の討議では、地球温暖化問題で、年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向け、途上国支援などを議論。安倍首相は2030年度に温室効果ガスの排出量を13年度比で26%削減する温暖化対策目標を表明した。

 また、イラクなど関係3カ国首脳を招き、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」らによるテロ対策をめぐり意見交換。外国人戦闘員の流入や資金源遮断などを協議し、安倍首相は「テロが生み出される土壌への対策が非常に重要だ。若者が希望を持てる社会を実現すべきだ」と述べた。

 首脳宣言にも「テロとの戦いは全ての国際社会にとって優先課題だ。野蛮なテロ行為に苦しむ全ての国や地域とともに結束する」と明記した。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成27年(2015)6月9日(火曜日)通算第4569号 
http://melma.com/backnumber_45206/

中国の「軍事外交」に反対の波、世界に広がる
マレーシアもボルネオ沖の中国軍の侵略に抗議へ


 G7(15年6月、ドイツ・エルマウ)の首脳共同声明では、強く「南シナ海の埋立てに反対」と、これまでになかった文言が盛り込まれた。
すなわち「東シナ海、南シナ海での緊張を懸念し、大規模な埋立てを含む現状の変更を試みる一方的行動に強く反対する」。
この論調の色彩の変化は注目しておく必要がある。

 安倍晋三首相のリードにより、会議における討論の40%が、南シナ海が議題になったという。ほかにロシア批判、自由経済の推進、環境問題で議論が伯仲した。
しかし南シナ海問題を殆ど報じないのは中国とロシアのメディアだった。中国は南シナ海への言及に関して反論し「G7が介入する権利はない」と開き直ったが。。

 2014年6月のブリュッセルサミットでは、「東・南シナ海の緊張を深く懸念し、航行飛行の自由、法の支配の重要性」が強調された。
 15年4月の「海洋安全保障に関する外相宣言」で、ようやく、「東、南シナ海の状況を注視し、大規模埋立てを含む一方的な現状変更に懸念、力による領土、海洋の権利主張の試みに強く反対」という文言だった。この色彩がG7首脳サミットで「正式」に採択された。

 それも米国の姿勢が次第に懸念表明から現実の脅威となり、米国内の中国批判を背にしてペンタゴンが強硬な発言を繰り出すようになったからだ。
 2015年5月8日、ペンタゴンの報告では「中国が南シナ海で進める岩礁の埋立てが拡大している」とし、同月27日、ウォレン報道官は「米軍機を22キロ以内に侵入させるのが次の段階」とした。

 これに反応して中国は「米国の偵察飛行は偶発的な衝突を起こしかねず、強烈な不満を表明する」(中国外交部報道官)とした。

 5月30日、カーター国防長官が「ある国は他の国よりも埋立てを迅速に進めている。あまりにも早く行っている。それは中国だ。全当事者が即時かつ永続的に埋立てに注視すべきだ」と発言すると、中国は「人口島は軍事防衛の需要を満たすためだ」と、孫建国副参謀長が明確に「軍事目的」を認めるに至った。

 日本は「一方的な現状変更の試みを放置してはならない」と国際社会の共同を呼びかけた(6月7日、サミットで安倍首相)。

 ▲こうした環境で氾長龍が訪米へ

 中国の軍事委員会副主席(事実上のトップ)である氾長龍が米国を訪問し、カーター国防長官と会見する。中国軍トップの訪米団はワシントンのあと、キューバを訪問する予定である(「氾」には草冠)。

氾長龍は、5月の習近平モスクワ訪問にも随行したが、習の進める「軍事外交」の「開局者」といわれるようになった。習の外交思想の実践をまっさきに展開する軍人ということである。  そして随行団に注目する必要がある。

 氾長龍訪米に随行するのは、孫建国・副参謀長、総政治部副部長の晃昌徳、北京軍区司令の宋普選。
なかでも孫建国は「ミスター潜水艦」といわれる海軍出身で、先般のシャングリラ対話で、強硬意見を繰り出した。マレーシアなどは、こうした中国の硬直した姿勢を目撃して以来、穏和路線を転換し、ボルネオ沖のマレーシア領海における中国の埋めたてに「抗議」した。

 ここに大事なニュースが入った。
 「中国主導のAIIBで、中国は拒否権を持つことがわかった」(ウォールストリートジャーナル、6月9日)。



6月5日(金) フィリピンの熱い視線

中共の横暴には、もうウンザリ。
南シナ海周辺国はそう思っているのではないか。
中共が最も恐れるのは、これらの国の連携だろう。
比大統領、安保法案に「強い尊敬の念」 中国の海洋進出で連携呼びかけ 2015.6.3 20:44更新

http://www.sankei.com/politics/news/150603/plt1506030029-n1.html

 来日中のフィリピンのアキノ大統領は3日、参院本会議場で演説し、政府が今国会で成立を目指す安全保障関連法案について「国会審議に最大限の関心と強い尊敬の念を持つ」と評価した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)や南シナ海で軍事的圧力を強める中国を念頭に「日本との関係は地域の自由を確保するための最前線にある」と述べ、対中政策で連携を呼びかけた。

 アキノ氏は「両国が最も大きな声をあげて、脅威にさらされている地域の安定を擁護するのは当然の流れだ」と指摘。中国が進める南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁埋め立てを念頭に「国際法で明確に付与された範囲の外側で、地理的境界や権原(領域支配の根拠)を書き換える試みによって、海洋や地域の繁栄が損なわれる危険にさらされている」と危機感をあらわにした。

 安保関連法案については「日本は平和維持のため、国際社会に責任を果たす上でより積極的な立場を取っている」と理解を示した。

 アキノ氏は、日本が戦後フィリピンに大規模な政府開発援助(ODA)を行ったことに触れ「日本は過去の傷を癒やす義務を果たす以上のことを成し遂げ、真に利他的な意志を持って行動した」と謝意を示した。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第190号
http://melma.com/backnumber_190875/

*武器供与せよ!

 フィリピンのアキノ大統領が来日し安倍総理と会談した。フィリピンは現在、ベトナムと並んで中国の海洋侵略に最もさらされている国である。中国は南シナ海を埋立て人工島を建設し軍事要塞を構築しようとしている。
 完成すれば南シナ海の制空権と制海権は中国に帰し、フィリピン、ベトナム、台湾を含む沿岸国は中国の軍事覇権下に入ることになる。太平洋とインド洋の交通路が遮断されることから米軍は日本に駐留するメリットを失い日本から撤退し、日本は太平洋に孤立するしかなくなるであろう。
 一口に言えば江戸時代の日本に戻ることになる。当時の人口は約3000万人、1億2000万人の国がいきなり3000万人の国になるとは何を意味するか?現在の繁栄が完全に失われることは確かであろう。かくして南シナ海の状況が日本の重要事態であることがご理解いただけよう。

 さて、その中国の脅威の最前線に立つフィリピンとベトナムが日本に助けを求めている。日本として何ができるのか?
 海上自衛隊には対潜哨戒機P-3Cが約70機あり、順次新型のP-1に代わりつつある。退役したP-3Cは廃棄処分となる予定だが、この退役したP-3Cを廃棄せずに比越両国に供与したらどうか?
 従来は武器輸出3原則の縛りで武器供与は不可能だったが、昨年これは撤廃されている。つまり法的に可能なのである。ただし対潜哨戒機のできることは中国の潜水艦の監視だけであり、しかも制空権を中国に取られれば飛行そのものが出来なくなる。
 どうしても比越両国の空軍力の強化が急務であろう。だが武器供与が許されると言うのであれば話は簡単だ。現在、航空自衛隊にはF-4ファントム戦闘機が約50機ある。これも順次退役しつつある。ならばこれを廃棄せずに両国に供与すればいいのである。

 これに対し、中国が「国際法違反だ」と非難したら、日本は歴史論争を逆手にとって有効な反駁が出来る。かつて日中戦争のとき、米国のルーズベルト政権は中国を支援してフライングタイガーと呼ばれる戦闘機部隊をまるごと中国に供与した。
 中国はこのとき、これを国際法違反などとは決して言わず、ありがたく受け入れている。ならば日本が第3国に武器を供与しても中国がこれを非難する資格はない筈である。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
共著:「総図解よくわかる第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/301310010411/
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成27年(2015)6月5日(金曜日)通算第4565号
http://melma.com/backnumber_45206/

フィリピンへ進出した日本企業はインドを越えた
アキノ大統領来日で、さらに両国関係深まる


 クラーク基地が再開されていたことに驚いたことは述べたが、先月、フィリピン各地をあるいて、日本企業の躍進的な増加にも目を見張った。
 フィリピンへ進出している日本企業は1200社前後で、インドのそれは1070社(14年末)だから、ブームのインドより、近場のフィリピンへの進出が際立っていることになる。

マニラの豪華ホテルには必ずと言っていいほどに寿司、天ぷら、鉄板焼きのレストランが入居しているではないか。
 クラーク基地を米軍が使っていた頃、アンヘイレスの町は基地城下町、風俗から怪しげなナイトクラブが活況を呈していた。
いま、ここはコリアンタウンに変貌している。そしてクラーク基地の一部は民間空港として再開され、仁川への直行便が飛んでいる。

  さてフィリピンのベニグノ・アキノ大統領が国賓として来日し、国会でも演説、日本企業との歓迎パーティにも出席し、精力的に共同を謳いつつ、中国の侵略的行為を非難して海洋ルールの徹底、公海の安全を訴えた。
珍しく日本のメディアが大きく伝えた。

まずアキノ大統領は6月3日の「アジアの未来特別セッション」で記念講演に立ち、「中国はスプラトリー岩礁の埋立てを再考するべきであり、領土の主張は不法である。この懸念は日本も欧米も共有している」と名指しで中国を批判し、「米軍の存在は不可欠であり、フィリピンは日本の安保法制を理解し、支持する。公海の航行の自由と法の支配」を強調した。

ひきつづき6月4日、日比首脳会談が迎賓館で開催され、「南シナ海に於ける深刻な懸念」を共有するとして、「物理的変更をともなう一方的行動の自制を(中国に)もとめる」とする共同宣言を発表した。

南シナ海の一方的行動をやめない中国は、国際社会で四面楚歌になりつつある。



6月2日(火) 西村眞悟氏『(南シナ海シーレーンは)我が国の「個別的自衛権行使」の領域』

南シナ海の状況に対する認識度は政治家、マスコミ、ジャーナリスト、国民で温度差がある。
万が一、有事に発展したとき、吃驚仰天するようなことがないよう、心の準備は必要だろう。
西村眞悟の時事通信 平成27年6月1日(月) http://www.n-shingo.com/

「ミュンヘンの宥和」の教訓を実践する時が到来している

今まさに、東アジアの状況の中で、 歴史の教訓としての戦争を生み出した「ミュンヘンの宥和」を思い起こし、 同じ轍を断じて踏まないと決断し行動に移さねばならない。

先日、本通信で「目を外に転じよ」と題して、
中共の南シナ海スプラットリー諸島での人口島建設を「侵略」であると警告した。
しかし、その時は、中共はまだ、人工島建設の目的を漁業のためとか資源調査のためとか説明しており、「平和を守るため」として軍事の為、即ち、南シナ海における軍事力増強の為とは認めていなかった。

ところが、五月三十一日、シンガポールのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)において、 中共の人民解放軍副総参謀長である孫建国は、南シナ海の人工島建設を、 軍事、防衛上のニーズを満たすためだ、と説明し、明確に軍事目的であることを認めた。

これは、我が国が、中共の南シナ海における人工島建設に対する対処を一変させる転機である。 即ち、我が国も、中共の「明確になった軍事目的」を、「明確に阻止する」行動を開始するべきである。
仮に、中共が明確にした軍事目的達成のための人工島建設を、 我が国が今までのような態度を続けて見守るだけなら、 それはつまり、我が国が、中共に「宥和」し、 果ては中共の東アジア海域に対する「侵略」を追認することになる。

アメリカのカーター国防長官は、人口島の十二海里以遠で偵察飛行を続けながら、十二海里以内を航行する方針を明確に打ち出し、シンガポールでの同会議において、五月三十日、中共に人工島建設の即時中止を要求した。
このアメリカの要求に対して、中共の孫副総参謀長は、翌三十一日、明確に「軍事目的である」と認めたのだ。

よって、我が国は、 このアメリカの要求に対する中共の明確な軍事目的表明を受けて、 その中共の軍事目的を阻止する行動を開始するべく、 アメリカおよびアセアン諸国またオーストラリアとニュージーランドに、 「東アジアの海の自由を守る作戦」実施を呼びかる時が来た。

再度明確に言っておく。
南シナ海のシーレーンを守ること、南シナ海の航行の自由を守ることは、 我が国の存立に直接影響を与える、我が国の「個別的自衛権行使」の領域である。

国会において、現在、ちんたらと行われている「安全保障体制議論」に、 総理大臣を付き合わせている時ではない。 次の経過から学べ。

一九三六年(昭和十一年)、ナチスドイツのヒットラーは、 ベルサイユ条約で非武装地帯と定められたラインラントに武力侵攻した。
イギリスなど各国はそれを阻止しなかった。
一九三八年(十三年)、ヒットラーは、オーストリーを併合した。
次いで、ヒットラーは、チェコスロバキアのズデーデン地方の割譲を要求する。

同年九月、ミュンヘンにイギリスやフランス首脳が集まり、ヒットラーの要求を認める(宥和)。
イギリス首相チェンバレンは、ミュンヘンから帰国して、空港で、 「私は平和を持ち帰った」とイギリス国民に告げる。

ところが、 一九三九年八月、独ソ不可侵条約締結(モロトフ・リッペントロップ協定)、 同年九月一日、ドイツ、ポーランド侵攻、 九月三日、イギリス・フランス、ドイツに宣戦布告・・・第二次世界大戦勃発。
つまり、チェンバレンが持ち帰ったのは、平和ではなく戦争であった。
これが、独裁者との宥和が生み出した結果である。

イギリスの戦時首相ウインストン・チャーチルは、「回顧録」で述べる。
「第二次世界大戦は、防ぐことができた。
融和策ではなく、早い段階でヒットラーを叩きつぶしておれば、 その後のホロコーストもなかっただろう。」

アメリカのジョン・F・ケネディ大統領のハーバード大学時代の研究テーマは、 「ミュンヘンの宥和」であった。そして、「何故、イギリスは眠ったのか」という論文を書いた。
当然、ケネディは、チャーチルがミュンヘンの宥和に対して何と言ったかは知っている。
よってケネディは、この「ミュンヘンの宥和」から得た教訓に基づいて、 一九六二年(昭和三十七年)十月十四日〜二十八日の「キューバ危機」において、 「早い段階で叩きつぶす」決断をしたのだ。
即ち、ケネディは、断固としてキューバを海上封鎖して第三次世界大戦も辞さずとの姿勢を示し、 ソ連がキューバに核弾頭ミサイルを運び込むのを阻止し、ソ連に既に運び込まれたミサイルの撤去を要求した。
この時アメリカ軍は、 B52戦略爆撃機が常時空中待機するデフコン2(最高度に準じる防衛体勢)に入った。
この結果、ソ連のフルシチョフ首相は、キューバからのミサイル撤去を表明する。
ケネディが、「ミュンヘンの宥和」からの教訓に基づいた、 相手の意図を「早い段階で叩きつぶす」措置を決断していなければ、 アメリカは現在も、喉元に核ミサイルという短刀を突き付けられたままだったろう。

そこで現在、 中共が埋め立てて人工島を造っているスプラットリー諸島(南沙諸島)は、 フィリピンが領有権を主張している諸島であり、 同じく中共が奪った西沙諸島は、ベトナムが領有権を主張している諸島である。
また、尖閣諸島は、我が国固有の領土である。

このように中共が領有を主張している所は、総て他国の領有するところである。
つまり中共は、他国の島を武力で奪い、これから奪おうとしているのだ。
これ即ち、中共は、 ラインラントに進駐し、オーストリーを併合し、ズデーデン地方を奪った ナチスドイツのヒットラーと同じである。

振り返って、チャーチルが言う「早い段階でヒットラーを叩きつぶす」べき時は、 ヒットラーの「ラインラント進駐」の時であった。
これを現在の東アジアに置き換えれば、 南シナ海における中共の「ラインラント進駐」が、 現在進行中のスプラットリー諸島埋め立てである。

我が国は、「ミュンヘンの宥和」からの教訓に基づき、 フィリピン、アメリカと連携して、 フィリピンのスービック及びクラーク基地に哨戒機と戦闘機とイージス艦を進出させ、 アメリカ海空軍と協働して、 中共のスプラットリー諸島軍事基地化を阻止するための作戦行動を開始すべきである。 事態は、既にこれほど深刻である。

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com



6月1日(月) 軋轢高まる南シナ海

中共の南シナ海での横暴で周辺国との小競り合いがエスカレートしている。
人工島建設で既成事実化し、防空識別圏まで設定する可能性がある。
南シナ海は日本にとっても中東から石油資源を運ぶ重要なシーレーン。
そこが塞がればどうなるか。




「南シナ海緊張高まれば致命的紛争」ASEAN、対中不信深く アジア安全保障2国間会談 【南シナ海問題】2015.5.31 22:55更新
http://www.sankei.com/world/news/150531/wor1505310035-n1.html

写真:31日、シンガポールのアジア安全保障会議で講演する中国人民解放軍の孫建国副総参謀長(英国際戦略研究所提供・共同)

 【シンガポール=吉村英輝】シンガポールで31日まで3日間にわたって開かれたアジア安全保障会議と並行して中国は2国間会談を積極的に行い、南シナ海での人工島建設への批判の広まりを抑えようと努めた。だが一部加盟国が領有権で対立する東南アジア諸国連合(ASEAN)側は、明確な説明をしない中国に対する不信を募らせている。

 「もし南シナ海の緊張が高まれば、私たちの時代で経験する最も致命的な紛争になる」。今年ASEANの議長国を務めるマレーシアのヒシャムディン国防相は5月30日の講演でこう語り、紛争回避へ向け中国と協議中の「行動規範」の策定を急ぐ必要を訴えた。

 中国がスプラトリー(中国名・南沙)諸島の人工島に火砲を構えたとの米国の情報は、昨年5月に中国の石油掘削強行をめぐり衝突したベトナムには看過できない事態だ。会議に参加したベトナムのグエン・チー・ビン国防次官はロイター通信に、「本当なら、複雑な状況にある南シナ海にとって非常に悪い兆候」と述べた。

 中国人民解放軍の孫建国・副総参謀長は5月30日、ベトナムと2国間会談を開き関係改善を模索。だがカーター米国防長官は31日、ベトナムを訪問し、軍事協力などの関係強化を進める。

 シンガポールのウン・エンヘン国防相は31日の最終討論会で、南シナ海の現状を「相互信頼が生まれておらず、不安定化している」と指摘。2002年にASEANと中国が合意した「行動宣言」にも行動自粛が盛り込まれており「守られていれば、それだけで緊張は緩和する」と訴えた。

 さらに孫氏が「今後の行動で信用してもらう」と述べた発言を引用し、「とても良い言葉だ。約束通りの実行を期待する」と中国にクギを刺した。

期待集まる海自P3Cの哨戒活動、壁は航続時間 【南シナ海問題】2015.5.31 20:10更新
http://www.sankei.com/politics/news/150531/plt1505310014-n1.html

写真:シンガポールのウン・エンヘン国防相(右)と会談する中谷防衛相=31日、シンガポール(共同)

 31日に閉幕したアジア安全保障会議(シャングリラ対話)では、中国が人工島を築く南シナ海の問題に焦点が当たった。会議に出席した中谷元(げん)防衛相もこの問題に積極的に関与する姿勢を示したが、自衛隊の警戒監視活動には限界もある。限られた能力でいかに貢献するか-。スプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)をめぐる米中対立が過熱する中で、日本政府の模索が続いている。(杉本康士)

 「日本も地域の平和と安全に貢献していく」

 中谷氏は31日に会談したシンガポールのウン・エンヘン国防相に対し、こう強調した。ウン氏も、中国の人工島開発を名指しで批判した中谷氏の前日の講演を高く評価した。・・・

■フィリピンは3月30日、国連の常設仲裁裁判所に提出した4000ページの意見陳述書の中で、九段線が無効だと主張
中国が主張する南シナ海の「九段線」、フィリピンが挑戦状 By Andrew Browne
2014 年 4 月 2 日 19:32 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303348104579476973339539140

 【北京】満州人が中国を支配していたとき、そこは南海と命名された。漁師の避難場所となった小島や環礁、礁湖が点在する海域だ。
 今日の地図で南シナ海と呼ばれる海は、国際水路機関(IHO)が1953年に刊行した「大洋と海の境界」で英語の名称が付けられ、位置が定められた。それは世界経済にとって決定的に重要な意味を持っている。
 世界の海上貿易の半分以上がこの海を通って行われる。急成長を遂げているアジア太平洋諸国と欧州や中東、アフリカの市場を結びつけるルートで、膨大な石油埋蔵量があるともみられている。
 しかし、中国を統治している満州帝国の継承者がそのほぼ全部を自分たちが誇らしげに復活させている古代国家の一部だとますます強引に主張していることは、中国の周辺国のみならず米国も驚かせている。

 彼らの歴史的な主張に基づく境界は、9本の境界線「九段線」で記されている。これは中国南部の海南島から遠くはインドネシア北岸近くまで伸びる線で、だらりと垂れた大きな舌のように、輪を描くように下がっている。
中国は1947年の国民党政権が発行した地図に基づき、「九段線」内の領有権を主張しているが、正確な場所を示す座標を公表したことはない

 「九段線」はこれまで常に不可解なものだった。旧中国国民党政権が台湾に逃れる前の内戦終戦前の混沌とした時期である1946年に描かれたものだ。実際、当初は9本ではなく11本だった。勝利を収めた共産党員がこの線を採用した後、1953年にそのうち2本が削除された。地図作成者は規模と正確さを尊重するが、九段線は正確な位置を示していない。太くて黒いマジックペンで書き足されたように見える。

 さらに、中国政府がこの九段線の意味を適切に説明したことはない。この線の内部に点在する領域の要所に対する「疑う余地のない主権」という中国の主張は、この線自体から発生しているのだろうか。あるいは、その逆で、この線は領域の要所と周辺の海域から発生しているのだろうか?
 フィリピンやベトナム、ブルネイ、マレーシアといった領有権問題で対立する中国の周辺諸国は、想像することしかできない。
 こうした理由のため、国際法に従えば、九段線の正当性が認められる可能性はほとんどないだろうというのが、欧米の法学者たちの一般的な見解だ。

 ほどなく、この問題がはっきりする可能性がある。フィリピンは3月30日、国連の常設仲裁裁判所に提出した4000ページの意見陳述書の中で、九段線が無効だと主張した。こうした主張はこれまでで初めて。九段線に法的強制力がないと判断されれば、国連海洋法条約に基づいて設定された排他的経済水域(EEZ)内の沖合いのエネルギー資源や漁業資源の開発が可能となる。中国はこれまでのところ、法的手続きを行っていない。
 フィリピンの今回の画期的な行動には中国の反発というリスクが伴う。中国政府は既に、フィリピン政府との政治的関係をほぼ凍結している。ここ数日間、南シナ海のアユンギン(中国名・仁愛)礁への物資運搬をめぐり、中国船とフィピリン船舶がにらみ合うことになった。
 しかし、もっと重要かつ、戦略計画レベルに発展する可能性のあることは、米国がそれまでの外交的慎重姿勢を止め、九段線を批判する勢力に加わっていることだ。

 米国務省東アジア太平洋地域担当のダニエル・ラッセル次官補は2月の議会証言で、米政府は主権問題ではっきりした見解を示していないが、中国が九段線によって領有権を主張しているため、「不確かさや不安感、不安定さ」が増していると指摘した。同次官補はその上で、米国は「国連海洋法条約に従い、中国が九段線の主張を明確にし、調整することを歓迎する」と述べた。

 中国外務省の報道官は、「南シナ海での中国の権利と国益は歴史的に形成され、国際法で保護されている」と述べたが、それ以上の詳細には触れなかった。
 米国家安全保障会議で以前に中国・台湾・モンゴル関係を担当したPaul Haenle氏は、米国の姿勢転換につながったのは、昨年11月に中国が尖閣諸島などを含む東シナ海上空に広い範囲の防空識別圏(ADIZ)を設定したことだとの見方を示した。
 米政府はそれ以降、中国政府に対し、南シナ海で同じことを行わないよう明確に警告している。Haenle氏は米国は「ある朝目覚めて、この地域全体が変わっていること」を恐れていると指摘した。

 しかし、米国が示唆するように、九段線を変更することは中国政府にとっては政治的に不可能かもしれない。中国はフィリピンの行動をあまりにも傲慢だとみなしている。習近平国家主席のいわゆる「チャイナ・ドリーム」に対する侮辱だと受け止めているからだ。
 この件に関する国連仲裁裁判所の判断は明らかでないが、フィリピン政府の主張が認められる場合には、中国はその判断を単に無視し、以前と同じことを続けるだろう。最も簡単な解決策は、当事国すべてが領有権問題を棚上げし、同地域の天然資源の共同開発に焦点を絞ることだ。
 しかし、これは中国帝国が伝統的に物事に対処してきた方法ではない。ここ数日間、フィリピンなどの小さな諸国は、中国を頂点とする階層の底だという身の程を知ることになった。フィリピン政府がその秩序を乱すのを中国が黙認するとは考えにくい。

南沙諸島:中国海軍がブイ投下…ベトナム海軍撤去  毎日新聞2014年2月8日(土)18:40
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/world/20140209k0000m030027000c.html

 【北京・石原聖】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国が領有権を争う南シナ海で、ベトナムが実効支配する南沙(スプラトリー)諸島の砂州「東景宏島」(中国名・染青沙洲)付近に3日、中国海軍の船が海面にブイを投下したが、ベトナム海軍が即座に撤去した。中国メディアが8日、ベトナムメディアの報道を引用して伝えた。

 中国は南シナ海の図面上に九つの破線「九段線」を記してほぼ全域に主権・主権的権利があると主張。今年1月からこの海域で操業する外国漁船に中国当局の許可取得を義務づけるなど漁業権の制限を強めた。直後には、中国の監視船がベトナム漁船を取り締まる事案が2件発生した。

 また、マレーシアの排他的経済水域(EEZ)にあり、中国が最南端の領土と主張する南沙の暗礁「ジェームズ礁」(中国名・曽母暗沙)近海では中国の艦艇3隻が甲板の上で「主権宣誓式」をした。

 中国は管轄権を行使し、南シナ海の領有権主張を国内外に浸透させる動きを加速させている。

■中共の妄想「九段線」とは(Wiki)↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E6%AE%B5%E7%B7%9A
■海洋法に関する国際連合条約(Wiki)↓
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E6%B3%95%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E6%9D%A1%E7%B4%84&redirect=no


5月29日(金) 2015年癌統計予測

国立がんセンターの予測に拠れば、2015年は罹患数98万人、死亡者数は37万人となっている。
男性の部位トップ5:前立腺、胃、肺、大腸、肝臓
女性の部位トップ5:乳房、大腸、肺、胃、子宮
となっていた。
年次推移は増加傾向で、主な原因は高齢化。
長生きすれば癌に罹りやすい。つまり細胞の老化で癌が発生しやすいということなのか。

漫才師の今いくよさん(67)、宮川左近ショウの暁照雄さん(78)、俳優の今井雅之さん(54)などの訃報がネットにあった。
まだまだ活躍できる年齢なのに、残念。  合掌


5月28日(木) 二階氏三千人訪中団

小沢訪中団もすごかったが、二階訪中団もその規模が大きかった。
北海道、埼玉、福井、奈良の県知事、財界、観光旅行業者、議員など三千名、メンバーも多彩。
北京では講演会、商談会など賑やかに行われたという。

南シナ海などで軍事拡張著しく、米中冷戦時代に入ったと云われる。
中共は孤立気味と思われたが、二階訪中団で救われたのではないか。
しかし習近平は、歴史問題で釘を刺すのを忘れなかった。
習氏「歴史の歪曲は許されない」 首相の70年談話を牽制 二階氏は習氏に安倍首相の親書渡す 2015.5.23 22:43更新
http://www.sankei.com/world/news/150523/wor1505230054-n1.html

 【北京=沢田大典】中国の習近平国家主席は23日、中国訪問中の二階俊博自民党総務会長と約3千人の訪中団が北京の人民大会堂で開いた中国政財界人との交流式典に出席し、「今年は対日戦勝70年だ。当時、日本の軍国主義が犯した罪を隠すことは許されない。歴史の真相を歪曲(わいきょく)することは許されない」と述べ、安倍晋三首相が今夏に発表する戦後70年談話を牽制(けんせい)した。

 一方、習氏は式典後の面会で二階氏に対し、「このまま戦略的互恵関係を進めていけば、日中はいい結果になると期待している。安倍首相にもよろしく伝えてほしい」と述べて、関係改善に向けて努力する姿勢も示したという。

 交流式典では、二階氏が習氏に首相からの親書を手渡した。習氏は交流式典に先立ち、二階氏と笑顔で握手を交わし、国会議員約20人らとの記念撮影にも応じたという。

「態度軟化」の中国が腹の底で考えていること
まるでデジャブ、15年前の二階訪中団との共通点とは

 2015.5.27(水) 古森 義久
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43880

中国の習主席、日本に友好姿勢示す 歴史認識はけん制
 中国の習近平国家主席が、日本の観光業界関係者約3000人を前にして対日和解の呼びかけとも思える演説をした。
 だが、その言葉の行間には、日本国内で安倍政権への批判をあおるという計算が露骨ににじんでいた。さらに背後には、最近の米国の対中硬化に対応する戦略的な意図も見て取れた。

なにがなんでも「友好」を唱える二階氏
 5月23日、北京の人民大会堂で習主席が行った演説は、中国の対日政策の軟化を思わせる内容だった。だがこの種の演説は多角的な解釈が欠かせない。同主席の言葉をよく吟味すると、日本への従来の批判や圧力はまったく緩めておらず、むしろ日本国内の分断を目論んでいることが分かる。
 人民大会堂に異様なほど多数の日本人が座って、中国の国家主席の壇上からの言葉に耳を傾ける。それは私にとってデジャブ(既視感)のある光景だった。

 産経新聞中国総局長として北京に駐在していた2000年5月、観光交流使節団という日本からの訪中グループ約5000人が、まったく同様に人民大会堂に集まり、江沢民国家主席(当時)の言葉に耳を傾けていたのだ。私もその場にいて一部始終を目撃していた。その15年前の光景と今回の展開とは、気味の悪いほど酷似点が多いのである。

 当時も現在も、日本側の主役は二階俊博(にかい・としひろ)衆議院議員である。二階氏の肩書きは当時は現職の運輸大臣、現在は自民党総務会長と肩書は異なるが、自分の管轄あるいは影響下にある日本側の業界に指示を出し、訪中者を大量に動員するという手法は変わらない。

 二階氏は日本の政界を代表する親中派と言ってよい。中国側の理不尽な言動も一切批判しないという点で「媚中」と評されたこともある。日本と中国との関係を、とにかく中国側が求めるような形で良好に保とうとする姿勢は長年一貫している。
 今回も人民大会堂の会場で習主席と会った際、習氏が単に片手で握手を求めたのに対し、二階氏は両手を添えて相手の手を握り、しかもそのまま相手の手を高く持ち上げようとした。いかにも友好を強調するような、悪く言えば媚びても見える動作だった。

 二階氏は会合での声明や習氏との挨拶でも、日中友好や民間レベルの交流の重要性をもっぱら説いていた。両国間の緊張を高めている中国側による尖閣諸島領海への頻繁な侵入、そして核拡散防止条約(NPT)再検討会議での日本の「各国首脳の広島、長崎訪問」提案を中国側が削除要請したことなど、目前の日中間の課題には少しも触れなかった。なにがなんでもとにかく「友好」を唱えるという姿勢なのだ。

 一方、習主席の言葉は対照的だった。「中日関係発展の重視」を語りながらも、「いまの日本で軍国主義を美化し、歪曲する言動は許されない」「日本国民も戦争の被害者であり、歴史の歪曲には(中国と日本国民が)ともに戦おう」などと述べたのだ。明らかに安倍晋三首相とその政権を日本国民から切り離して、安倍政権だけを非難するという「分断」の狙いがあることは明白だった。
 また、習主席は日本の遣唐使についても述べ、日本が中国への朝貢外交を続けていた歴史を現代の友好というオブラートに包むような形で語るのだった。

江沢民も習近平もサプライズで登場
 さて前述のように、今回の二階訪中団の動きと中国側の対応は、2000年5月に5000人規模の二階訪中団が北京を訪れた時とあまりに似た点が多い。

 まず、日中関係が基本的に冷えこんでいるという状況が重なる。しかも、日本の訪中団の前に国家主席が登場するのは、当時も今回もサプライズだった。2000年も江主席が出てくることは事前に知らされていなかった。おまけに江主席だけでなく、胡錦濤国家副主席(当時)まで登場したので、日本側は大いに驚いた。もちろんその登場は二階訪中団を大いに喜ばせた。

 今回も習主席の出席はほとんどの訪中メンバーに知らされていなかった。やはり訪中団は大いに驚き、そして喜んだのである。
 中国の国家主席が、日本との関係を良好に保つことの重要性を強調する一方、日本側の歴史認識などを非難し叱責するという部分も前回とまったく同じである。訪中団の動きと国家主席の歓迎の挨拶の内容を中国側の官営メディアが大々的に報道したことも同じだった。

2000年と重なる現在の米中関係、日中関係
 類似点は、中国を取り巻く状況についても指摘できる。
 私は2000年5月に、日本からの訪中団の動向と中国側の対応について記事を執筆した。そのなかで、中国側がその時点でなぜ軟化とも呼べる態度の変化を見せたのかについて分析した。記事は、日中関係に詳しい北京の専門家たちへの取材が基になっている。以下がその骨子である。

・中国は日本国内での最近の対中観の悪化を懸念するようになった。
・米中関係が行き詰まった。
・日米関係が強化された。

 当時の江沢民国家主席は1998年の訪日でも、日本側に対して、歴史認識を「正しく持つ」ことを要求し続け、日本国民一般の対中観をかつてなく悪化させていた。
 また米国では当時のクリントン政権が、中国の台湾への軍事恫喝などを理由に中国への姿勢を硬化させていた。同時に日米関係は一段と強固になっていた。
 こんな要因が、中国に日本への融和とも見える姿勢を取らせたという分析だった。

 では、現状はどうか。現在、日本側の反中、嫌中の傾向は激しくなるばかりだと言えよう。中国側としては、ここらでなんらかの予防策を講じておかないと、日本側の反中意識が日中両国間の経済交流にまで悪影響を及ぼしかねないと判断してもおかしくない。
 私自身のうがった見方だが、最近、日本で激増している中国人観光客たちの傍若無人の振る舞いも、日本側の対中認識においてかなりの負の要因になっているようだ。

 一方、米国のオバマ政権は中国に対してソフトな姿勢を保持するよう努めてきた。だが、中国側はそれに応じず、逆に強硬な手段をとった。南シナ海の紛争海域での一方的な埋め立て作業、さらにはフィリピンやベトナムへの軍事威嚇の数々、東シナ海での一方的な防空識別圏(ADIZ)の宣言などが相次ぎ、オバマ政権は対中姿勢を改めざるを得なくなった。そして、現在の米中両国間の摩擦の最大要因として挙げられるのが、南シナ海での中国の無法な埋め立て作業である。オバマ政権はついに軍事艦艇をその至近海域にまで送りこむ構えを見せ始めたのだ。

 中国は米国との関係が悪くなると、日本への非難や叱責を緩めるのが年来のパターンである。アメリカと日本の両方を同時に敵に回すのは得策ではないという判断からだろう。今回の状況は、まさにそんなパターンが当てはまるということができる。

最近の日米同盟の強化で「調整」に?
 中国は基本的に日米同盟を突き崩したいと考えている。日米同盟の絆にくさびを入れることは中国の国家戦略上の長期目標とさえ言えよう。だから中国は、日米共同のミサイル防衛や防衛ガイドライン改定など日米同盟の強化策にはすべて反対する。逆に日米両国が同盟を薄めることには賛成し、日米離反につながる諸策を可能な限り推進しようとする。

 最近の日米関係が、安倍首相の訪米などにより、また一段と強化されたことは明白である。特に安全保障面で日米同盟が顕著に強化されている。安倍首相の訪米で拍車がかかったと言うこともできる。

 中国からすれば、これ以上の日米連携強化は防がなければならない。日本を攻撃して、さらに米国との同盟を強化させることは、当面、自制したほうがよい。いまの中国指導部はそんな対外戦略を考えているとみられる。

 いずれにしても、中国首脳部の日本に対する態度が軟化したように見えても、決して対日政策が根本的に変化したわけではない。あくまでも外交的な戦略、戦術としての一時的な強弱、緩急の調整である。その調整のメロディーに二階氏が伴奏をつけている。そんな構図として捉えるのが適切だろう。



5月23日(土) 加瀬英明氏『戦後の日本の原罪』

■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2015年5月23日 02:05:03JST
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

戦後の日本の原罪

 日本はもう半世紀以上も、国家として原罪ともいうべき、大きな咎(とが)を負ってきた。
 私は筆をとるようになってから、台湾を擁護してきた。
毛沢東政権も、中国3000年のおぞましい政治文化によってつくられた、専制国家だから、心を許してはならないと、説いてきた。

 私は田中内閣が、日中国交正常化を強行した時に、雑誌『文芸春秋』『諸君』などの誌面をかりて、朝日新聞などが安酒に酔ったように中国熱を煽ったことを、非難した。
 翌年、いま中国通の第1人者となっている宮崎正弘氏が働いていた、浪漫社から刊行した著書のなかで、「田中首相が訪中した時の新聞の『秋晴れ 北京友好の旗高く』とか、『拍手の中しっかりといま握手 とけ合う心 熱烈歓迎』という見出しをみると、日独伊3国同盟が結ばれた後に、松岡外相がベルリンの目抜き通りを、パレードした時の新聞の熱狂的な見出しのように思えて、しかたがない」(『新聞批判入門』)と、揶揄(やゆ)した。
 あの時も、新聞はナチスドイツに憧れて、世論を煽り立てた。今度は、毛沢東だった。

 親独派にかわって、親中派が日本の進路を危いものとした。私は日中国交を結ぶのに当たって、日台関係について中国の言い成りになったことに、憤慨した。当時、中国は中ソ戦争がいまにでも起ることに震えあがっていたから、日本を強く必要としていた。
 日本の政財界も、まるで幕末の狂乱のお蔭参りの再現のように中国へ靡(なび)いて、すっかり正気を失なっていた。
中国は日本と国交を樹立するのに焦る必要があったが、日本にはまったくなかった。日中は国交がなくとも、最大の貿易相手だった。

 私は田中首相が北京空港に降り立った時の、朝日新聞の高熱によってうかされた譫言(うわごと)のような記事に、唖然(あぜん)とした。特派員が朝から酒でも呷(あお)っているのではないかと、疑った。
 「その時の重く、鋭い静寂を、何と表現したらいいだろう。広大な北京空港に、いっさいの音を失ったような静けさがおちてきた。1972年9月25日午前11時40分、赤いじゅうたんを敷いた飛行機のタラップを、黒い服の田中首相がわずかにからだを左右に振りながら降りてきた。まぶしそうに空を見上げ、きっと口を横に一文字に結んで、周首相の前にすすんだ」 「‥‥これは夢なのか。いや夢ではない」
「実際には、その時間は1分にも満たなかったはずであった。記者団の群れにまじった欧米記者たちの不遠慮な声もしていたかもしれない。しかし、その時間は、もっと長く感じられた。なんの物音もしなかったと思う。40年も続きに続いた痛恨の時間の流れは、このときついにとまった。その長い歳月の間に流れた日中両国民の血が涙が、あふれる陽光のなかをかげろうのようにのぼっていく――ふとめまいにさそわれそうな瞬間のなかでそんな気がした」

 私は「新聞記者は、どのような状況にあっても、目まいを起こしてはならない。しっかりしてほしい。それに、日本であれ、外国であれ、記者たちはいつも『不遠慮な声』をだしているものだ」(前掲の拙著)と、叱責した。

 中国はそれから40年もたたないうちに、日本へ向かって醜い牙を剥くようになった。
 この時の朝日新聞の社説の「日中新時代を開く田中首相の訪中」も、憤飯物だった。
 「日中正常化は、わが国にとって、新しい外交・防衛政策の起点とならねばならない。日米安保条約によって勢力均衡の上に不安定な安全保障を求める立場から、日中間に不可侵条約を結び、さらにその環をソ連にもひろげる。あるいはアジア・極東地域に恒久的な中立地帯を設定する。そうした外交選択が可能となったのである」

 日本は日台関係を絶って、台湾を放棄した。私は日台は一体だから、台湾が中国によって呑み込まれたら、日本が亡びると説いた。台湾は日本にとって、もっとも大切な隣国だ。
私は米中国交樹立を待って、日中国交を結ぶべきだったと主張した。

 アメリカは日本より7年遅れて、中華民国と断交して、米中国交を樹立した。この時、アメリカは米台間で領事関係を維持することを強く求めたが、中国側が「日本方式(ジャパン・フォームュラ)」しか認めないといい張ったので、従わざるをえなかった。五十年にわたって日本国民だった、台湾人の想いを裏切った、日本の罪は重い。

 しかし、アメリカ議会が台湾関係法(TRA)を制定して、政権に台湾を防衛することを義務づけた。今日まで米台関係は、台湾関係法に基く公的なものとなっている。
 私は国会がアメリカ議会に見倣(みなら)って、日本版の台湾関係法を立法するべきだと、主張してきた。1日も早く、そうしてほしい。
 そうすることによって、日本は原罪を償うことができる。

■台湾関係法(Wikipedia)
台湾関係法(たいわんかんけいほう、英: Taiwan Relations Act、略称: TRA)は、アメリカ合衆国の法律。 台湾(中華民国)に関するアメリカ合衆国としての政策の基本が定められている。 事実上のアメリカ合衆国と台湾(中華民国)との間の軍事同盟である。・・・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/台湾関係法



5月22日(木) 西村眞悟氏『ポピュリズムは日本を滅ぼす』

メルマガ「 西村眞悟の時事通信」より
西村眞悟の時事通信(ポピュリズムは日本を滅ぼす 平成27年5月21日号)
http://www.n-shingo.com/

ポピュリズムは日本を滅ぼす

 五月十六日夕方、堺で若い人でつくる自衛隊協力会で国防問題を語った。  その話が終わってからの懇親会で、一人の参加者が、「ぼく、大阪市内なんですが、『都構想』の賛否どうしようか迷っています」と言うので、「迷ってはならん、断固反対せよ」と言った。

 あの投票は、大阪市を解体して区にするか否かの賛否を問うものだ。
 賛成多数なら大阪市がなくなるのだから、旧大阪市民の支払った税金は、堺市が使えることになる。
 堺市としては、おおやれやれ、ということであるが、大きな経済力のある単位としての大阪市の解体は、日本経済に大きなダメージを与えるだろう。
 二重行政解消というのが彼らの芸能プロダクション的「売り」だが、何が二重で何が二重でないのか。
 大阪市立大学と大阪府立大学があるのが二重で税金の無駄か。
 そうなら東京六大学で野球の大会をしているのは六重の無駄か。
 かつて「仕切り」に熱中して各種制度の削減をしていた民主党の無責任な馬鹿と同じ馬鹿が、 こんどは大阪市解体に熱中していると思えばいいのだ。

 五月十七日の日曜日の午後、東京で西村塾が開かれ、一時間余、現在の状況について話した。
その最後に、「大阪では、『都構想』で騒いでいる。今日の大阪市民の投票結果は、反対多数で否決だとみている」と述べた。
 深夜、大阪に帰ると「都構想否決」との報道があった。

 昨年の冬、雪の東京で都知事選挙があった。
 元総理大臣の細川護煕と小泉純一郎が、「原発反対」を掲げて選挙運動をしていた。

 思えばこの二人、ポピュリズムの象徴だった。
 細川護煕は、改革、改革、日本維新を掲げて「小選挙区制」を実現した。
 小泉純一郎は、日本をぶっつぶす、構造改革、郵政民営化を掲げて、その民営化を実現した。
 何故、これらが実現したのか。
 それは、一年前に原発反対を叫んでいた彼らが、それぞれ同じ手口で、「改革をすればバラ色の未来が開ける」、「小選挙区制はその改革である」、「構造改革は郵政民営化であり、郵政民営化は構造改革である」と叫んで民意をそこに流し込んだからである。

 そして、・・・、何かいいことがあったのか。
 小選挙区制では、選挙の度にチルドレンが泡のように生まれて政治が劣化している。
 郵政民営化で、何かいいことがあったのか。
 田舎の郵便局が無くなったのがいいことか。
 彼らに共通しているのは、この結果の点検には全く無関心で、今度は東京都知事選挙で「反原発」を叫んでいたことである。
 しかし、落選した。
 東京都民は、彼らのポピュリズム的な手法に、もはやかつてのような反応をしなかったのだ。

 そこで、今度は西の大阪で起きたのが、都構想騒動というわけだ。
 大阪市長、大阪府知事そして府会議員と市会議員が、大阪市を解体すれば、明るい繁栄する大阪が実現するという例の手法で大騒動したのに、大阪市民は、それを否決した。

 一年前の東京都知事選挙において、二人のあの程度(低級)だった元総理が演出した「反原発」に東京都民が動かなかったとき、ポピュリズムの衰頽の兆候を少し感じた。
 一年後のこの度の西の大阪市民による都構想否決が、我が国の政治におけるポピュリズム的手法の衰頽の始まりを示すものであることを切に願う。

 何故なら、ポピュリズムは、一種の「全体主義」であり「思考停止」であり「マインドコントロール」であり「ガン細胞」であり、我が国を確実に滅ぼすからである。

 明日は、猪苗代湖畔のホテルで、地元の有志の皆様と会合を開く。
 そこで、田母神俊雄さんと二人で話をさせていただく。

 主催者からは、私に四月八日と九日の、ペリリュー島における天皇皇后両陛下の英霊の慰霊について話して欲しいとの要請があった。
 そのご提案は、実に嬉しい。
 何故なら、我が国で一番大切なものは、天皇であるからだ。
 我が国は、天皇を戴くから日本なのだ。

 そうであるのに、郵政民営化にしろ都構想にしろ「仕分け馬鹿」にしろ、論者には我が国が天皇を戴く国家であるとの認識はない。
 彼らは、税金節約に関して国民受けすると思えば、宮中の伝統的儀式を「税金の無駄使い」と言い出しかねない。

 私は、尊皇の志なく、国家や地方の「制度」を解体すれば日本はよくなるという論者や民主党の税金の無駄をなくすと言って「仕切り」に熱中していた馬鹿どもに、嫌悪感を感じる。
 私には、彼らは、旧来の制度をブルジョアジーのものとして、それをぶっつぶしてプロレタリアの支配体制を確立すれば、バラ色の未来が開けるというプロパガンダによって、世人を惑わせ惨害をもたらした無責任なアジテーターの現代版に思える。
いつもながら、歯切れのいい論説。
郵政民営化はそれほど悪いとは思わない。
宅配便とのサービス競争が起き、郵便局も頑張っているなと感じている。


5月21日(木) 加瀬英明氏『日本の理想を実現した大東亜会議とAA会議』

■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2015年5月20日 02:02:51JST
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日本の理想を実現した大東亜会議とAA(アジア・アフリカ)会議

 4月に、インドネシアのジャカルタにおいて、アジア・アフリカ会議60周年記念首脳会議が催された。バンドン会議、あるいはAA会議とも呼ばれた。
 安倍首相が日本が引き続きアジアにおける平和の構築と、アジア・アフリカの成長に貢献してゆくと、演説したが、堂々としていた。
 会議には、アジア・アフリカから約100の国と、地域の首脳が参集した。

 第1回バンドン会議は昭和30(1955)年に、29ヶ国の代表が参加して開催された。日本がサンフランシスコ講和条約が発効して、独立を回復してから、はじめて出席した国際会議となった。

 この時、私の父・俊一は政府次席代表として、会議に出席した。
 私は高校3年生だった。父がインドネシアへ出発する前に、私に「今度の会議は重光(葵)と、わたしが苦労した大東亜会議につぐ、有色民族の2回目の歴史的な会議となるものだ」と、感慨深げに語った。

 50年前のAA会議に当たっても、10年前の50周年記念会議、今回の60周年会議の時にも、日本のマスコミが大東亜会議を引き合いにだすことが、まったくなかった。残念なことである。
 大東亜会議は昭和18(1943)年に、東京にビルマ、フィリピン、インド、タイ、満州国、中国(南京政府)の首脳が、一堂に会して催された、人類はじめての有色民族のサミットだった。
 当時、東條内閣の外相だった重光葵と、政務秘書官として側近だった父が、東京・麹町の重光私邸で大東亜会議の構想を幾晩も徹夜して練って、首相に提案したものだった。

 日本は開戦の御詔勅にあるように、「自存自衛」のために戦っていた。しかし、戦争目的が自衛のためというと消極的であるから、大東亜会議は日本の役割を歴史に残すために、アジアの諸民族を解放することを、宣明することをはかったものだった。
 重光は敗戦後、A級戦犯として実刑判決を受け、日本が独立を回復した後に釈放されたが、鳩山内閣がAA会議の前年に成立して、外相に復帰した。

 父は出発する前に、「重光に晴れ舞台を踏ませたかったのに、来れないのは何とも残念だ」といった。重光外相が首席代表となるところだったが、国会会期中だったために、首相と親しい実業家の高碕達之助経済審議庁長官が、起用された。
 日本はインドネシアを敗戦の年の9月に独立させることを、決定していた。インドネシアは日本が連合国に降伏した直後の8月17日に、独立を宣言した。

 第1回AA会議は、大戦が終結してからまだ10年しかたっていなかったために、反植民地感情が奔騰するなかで開催された。父もその熱気に、あらためて驚かされた。
 会議が始まると、新興アジア・アフリカ諸国の代表たちが日本代表団の席にくると、日本が帝国主義勢力をアジアから駆逐して、民族解放をもたらしたことに対して、つぎつぎと感謝の言葉を述べた。
 昭和31(1956)年3月8日に、重光葵外相が参院予算委員会で、「太平洋戦争によって、日本は東南アジア諸国の独立に貢献した」と述べた。
 いま、岸田外相が同じ発言を行うことが、できるだろうか。
 だが、日本が先の大戦を戦ったことによって、人種平等の世界が招き寄せられたのだった。

 昭和天皇は敗戦の翌年に、側近者に対して先の戦争をもたらした原因について、つぎのように述べられている。
 「この原因を尋ねれば、遠く第一次世界大戦后(ご)の平和条約の内容に伏在してゐる。(大正8年のパリ講和会議において)日本の主張した人種平等案は列国の容認する処(ところ)とならず、黄白の差別感は依然残存し加(カリフォルニア)州移民拒否の如きは、日本国民を憤慨させるに充分なものであった。
 かゝる国民的憤慨を背景として、一度、軍が立ち上つた時に、之を抑へることは容易な業(もの)ではない。(『昭和天皇独白録』)

 平成12(2000)年に、拓殖大学が創立100周年を祝った。拓殖大学は明治33(1900)年に、海外で開拓に当たる人材を育成するために、創立された。
 今上天皇が記念式典に、行幸された。その時のお言葉のなかで、「校歌には青年の海外雄飛の志とともに、『人種の色と地の境 我が立つ前に差別なし』と、うたわれています。当時、多くの学生が、この思いを胸に未知の世界へと、大学を後にしたことと、思われます」と、述べられた。
 父・天皇の想いを、語られたにちがいない。

 大東亜会議とAA会議は、日本の理想を実現したものだった。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成27年(2015)5月19日(火曜日)通算第4544号
◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ◎BOOKREVIEW◆
http://melma.com/backnumber_45206/

加瀬英明『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』
(ベスト新書、KKベストセラーズ)

インドもインドネシアも、日本の軍事作戦に支えられ、
次々と独立を達成し、深く日本に感謝した事実経過を知ろう

 アジアの覚醒と解放、アジア諸国を武力で侵略し、植民地として、横暴な搾取を繰り返した、人種差別政策を実行した欧米列強に正面から挑戦した日本は、破れこそしたが多くのアジア諸国から感謝された。
 ところが肝心の日本が自虐史観の罠に嵌り、そのことを自覚しないまま、アジアとりわけ中国と韓国に謝罪し続けてきた。その背後に、じつは米国があった。米国は知られて貰っては困る自らの犯罪が明るみに出ないためにも、中国・韓国の反日策動に同調し、日本を貶め続けることを黙認している。
 都合の悪い諸事実とは、いまさら言うまでもないが、フライングタイガー、フランクリンルーズベルトの狂信的個性、廣島・長崎ばかりか東京大空襲など殺戮の数々。真相の隠蔽。。。。。。

 「シェンノートは、蒋介石政権に戦闘機と、アメリカ陸軍航空隊の現役パイロットを、義勇兵として、偽装して派兵する案を、ルーズベルト政権に提出した。大統領はこの案をただちに承認した。これは、重大な国際法違反だった」(39p)。
 こればかりではない。日系アメリカ人を拘束して砂漠の掘っ立て小屋に収容した。ドイツ人にそんなことはしなかった。明らかな米国の「憲法違反」で、人種差別だった。
 捕虜となった日本兵を機関銃で殺戮したり、人道上の犯罪をアメリカ兵はくるったように各地で展開した。
 こうした不都合が事実が山のようにあるが、戦後日本はこれらのことで米国に抗議したりはしなかった。まさか、捕虜を虐待するなどと、日本の伝統的武士道からは考えられないことだった。
 結局、ルーズベルトの罠にはまった日本は対米開戦に誘導され、各地で日本兵は武士道精神を発揮して闘い、アメリカ兵を畏怖させた。
 しかしアジア諸国は独立し、日本にふかく感謝した。こうした経過を加瀬氏は淡々と、乾いた文体で、歴史家の目をもって叙している。



5月20日(水) 大阪都構想・否決

橋下大阪市長がかねてから提案していた大阪都構想についての住民投票が行われたが、僅差で否決された。
当方は他府県の者で、その詳しい真意は解らないが、市と府の二重行政の無駄をなくすためと聞いていた。
ただ評論家池田信夫氏のコラムが目に付いた。
既に高齢化社会を迎えているおり示唆に富んでいる。大阪だけの問題ではなさそうだ。
変化を好まない高齢者(自分もそうだが)が多数派になると、改革は難しくなるという怖いお話。

大阪で見えた「老人の老人による老人のための政治」
小さな改革を拒否すると大きな破局がやってくる

2015.5.19(火) 池田 信夫
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43827


5月19日(火) 中東・東欧の激変

2003年イラク戦争は米軍が撤退した後、イラクは内部抗争が激化した。
イスラエルも米とは敵対的に・・・
世の移り変わりは激しい。
メールマガジン「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成27年(2015)5月18日(月曜日)通算第4543号
http://melma.com/backnumber_45206/

中東地図の激変にもっと注目する必要がある
  サウジの反米、イスラエルのロシア、中国接近。そして・・・


 ボタンの掛け違えとして済まされる問題ではない。
サウジアラビアは米国への依存度を急激に減らし、ロシアと中国へ異様な接近をみせている。サウジへ中国は最新鋭ミサイルを供与した。イランを射程にできるスグレモノで、これにより旧式のミサイルを軍事パレードで公開した。

とはいえサウジアラビアは、イランを脅威としてパキスタンに核開発をさせ、いつでもイラン向けに核シェアを可能とする密約が存在するというのは専門筋の一致した見方である。
なぜならあのパキスタンの核開発費用の胴元はサウジであるからだ。

サウジアラビアはそのうえ、シリアのアサド大統領を支援しており、欧米のシリア攻撃には不満を募らせてきた。
ケリー国務長官、オバマ大統領がサウジを訪問しても嘗てのような熱狂的歓迎の風景はなくなった。
そしてついにサウジは米ドル基軸一辺倒から離脱し、一部に人民元、ルーブル決済をみとめる動きを見せている。

 イスラエルが変わった。
 オバマ大統領はイスラエル擁護という米国の伝統的外交政策を変更し、イスラエルに敵対的でさえある。
この点ではアラブ諸国の支持があるが、これによって、いまではオバマとネタにニヤフ首相とは犬猿の仲となり、同時にイスラエルはロシアとの関係の濃度を深めた。

もとより冷戦終結後、夥しいロシア移民がイスラエルになだれ込み、道路標識はヘブライ語、英語、ロシア語併記となっているくらい、じつは両国関係は深い。
 そのうえ、最近、イスラエルは海底油田が発見され、資源戦略に余裕が生まれる。

 中国とイスラエルも武器輸出で中国との間に秘密協定が存在するように、最新鋭ミサイル、戦車技術などを中国へ供与している。
 またイスラエルへの直接投資は欧米に並んで中国企業の進出が急増している。

 ▼オセロゲームのように、いやドミノ逆理論のように
 もうひとつの重要な変化はアラブの春の過熱ムードと、頓挫。ベンアリ亡命後のチュニジアではテロが不気味にうなり、リビアはカダフィ亡き後の無政府状態、エジプトはイスラム原理主義政権が誕生し大混乱のはてに軍事政権が誕生した。
 米国はシシ軍事政権を支持せざるをえず、またロシアがエジプトへ再接近を果たした。

 イラクはどうか。
 結局、イラクは米国が望んだ安定、親米政権どころか、反米シーア派が政権をおさえ、スンニ派を弾圧し、その結果が旧バース党をしてイスラム国との共闘関係をうみ、無政府状態となった。
 イラクはいずれ三分割されるだろう。
 そのイラク北方イスラム国で密輸される石油は中国へ流れている。ちなみにイランの石油は中国が最大の買い手となっている。

 こうした動きをみていて、やおら腰を上げたのはトルコだった。
 トルコはNATOの一員として欧米につくし、しかしユーロに加盟してもらえず、シリアとイスラム国の跳梁によって百万の難民が押しかけたため、基幹産業の観光が総崩れとなった。

 エルドアン大統領はトルコ全土の大学構内にモスクを建設し、世俗主義から原理主義への傾斜を濃厚とした上で、対欧米路線を転換した。
 つまりトルコは東へ姿勢を変えて、欧米に背を向け始めたのである。

 この千載一遇のチャンスをロシアが見逃すはずがあろうか。
 ロシアはすかさず対欧向けのパイプラインをトルコ経由とした。現在アゼルバイジャン、グルジアを経由するパイプラインがあるが、これに加えてトルコ経由を新設する。

 オバマは、こうした動きに無知なのか、鈍いのか、あるいはFDR時代のように彼の周りには或る戦略の下にアメリカ外交を変えようとする勢力があるかのように、西側の利益とは異なる外交を展開している。
 中東が激変しているのである。



5月17日(日) 米国の人種差別

2009年オバマ氏が米国初の黒人大統領として登場した。
人種差別が顕著な米では画期的なことと印象的であったが、実はその人種差別が相変わらずだという。
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2015/05/13
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

戦後70年を経ても変わらない米国の人種差別

 戦後70年に、日米戦争の原因について考えたい。その1つが、人種差別にあった。
 昭和天皇が敗戦の翌年に、対米戦争の原因について、つぎのように述べられている。
 「この原因を尋ねれば、遠く(大正8年のパリ講和会議に)日本の主張した人種平等案は列国の容認する処(ところ)とならず、黄白の差別感は依然残存し加州移民拒否の如きは、日本国民を憤慨させるに充分なものであった。
 かゝる国民的憤慨を背景として、軍が立ち上つた時に、之を抑へることは容易な業(もの)ではない。
(『昭和天皇独白録』)

 平成12(2000)年に、拓殖大学が創立100周年を祝った。
 今上天皇が記念式典に臨席された時のお言葉のなかで、「校歌には青年の海外雄飛の志とともに、『人種の色と地の境 我が立つ前に差別なし』と、うたわれています。
当時、多くの学生が、この思いを胸に未知の世界へと、大学を後にしたことと、思われます」と、述べられた。
 父・天皇の想いを、語られたにちがいない。

 太平洋戦線で、アメリカのほとんどの部隊が日本人を蔑視して、投降する兵や、負傷兵を見境なく虐殺した。
 そう聞かれると、驚く読者もおられようが、チャールズ・リンドバーグの『第二次大戦参戦記』(学研文庫)、マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョン・ダワー教授の『容赦なき戦争(ウォア・ウィズアウト・マーシー)』(平凡社)をはじめとする、多くの著作に克明に描かれている。
 アメリカ兵が沖縄戦で住民を虐殺したことが、イギリスの歴史作家M・ヘイスティグスの『日本との戦い 1944―5年』(ハーパース、未訳)に、取りあげられている。

 ノース・カロライナ大学のG・ホーン教授の新著『人種戦争(レイス・ウオア)』(6月に祥伝社から刊行)によれば、トルーマン大統領がホワイトハウスで「神は白人を土から創り、黒人(ニガー)を屑から創った。その残りが、シナ人(チャイナマン)だ。神はシナ人(チャイナマン)とジャップが大嫌いだ。私もだ。人種差別だが、私は黒人(ニガー)はアフリカへ、黄色(イエローメン)のはアジアにいるべきだと強く主張する」と語った。

 アメリカは日本について、まったく無知だった。そのよい例が、戦争中にアメリカ政府の委託によって、人類文化学者のルース・ベネディクトが、日本の国民性について研究した『菊と刀』である。
 ベネディクトは日本語もできず、日本を訪れたこともないが、日系アメリカ人を拘禁した収容所をまわって調査し、西洋が内面の「罪の文化」であるのに対して、日本は外面だけを飾る「恥の文化」だと、結論づけた。
 私の母方の祖母は、会津若松の武家の血を享けていたが、少年時代に祖母から「心に心を恥じる」とか、「自分の心を証人として生きなさい」と、教えられた。
 日本でベネディクトの『菊と刀』を崇める向きが少なくない。自国について蒙昧なのだ。
 アメリカの日本知らずは、今日も変わらない。

 ベネディクトが似非(えせ)学者なら、日本にもその男版がいた。
 私は有斐閣の昭和47年初版の『六法全書』を、所蔵している。我妻栄東京大学教授が編集代表として、編纂したものだ。日本が独立を回復して20年後に刊行されたというのに、憲法篇の扉にアメリカ独立宣言文が、全文、英語と日本語で載っている。
 「われわれは、次の真理を自明なものと考える。すなわち、すべての人間は、平等に造られている。彼らは、その造物主によって一定のゆずり渡すことのできない権利を与えられている‥‥」から、始まる。

 アメリカ独立宣言は、アメリカ3代大統領となったトマス・ジェファーソンが起草したが、南部の荘園主で、奴隷主だった。「すべての人間」というのは、白人だけのことだ。 アメリカ独立宣言文は、鞭打たれる黒人たちの悲鳴を聞きながら、書かれたものだった。

Andyの国際ニュース解説 2015/05/16
http://melma.com/backnumber_53999/

No.541 アメリカは差別社会

長い旅行から戻ってきて五日目、まだひどい時差ボケが解消してい ない。一時間の時差を直すには一日かかると言われているが台湾と ロスには15時間の時差があるから時差ボケを直すには15日かかる わけだ。

アメリカに戻ってすぐに感じたことはアメリカが差別社会であるこ と、そしていろいろな差別はオバマが政治的に拡大したと思われる。 オバマは差別問題を政治と選挙に利用して本来からあったアメリカ 社会の二極化を更に大きくしたと思う。

ちょうど「頂門の一針」3660号に加瀬英明氏の「相変わらず米国の 人種差別」という記事が載っていたが、米国の差別問題は人種問題 だけでない。現在の差別問題は黒人主義者のオバマが大統領になっ てから差別を政治に利用するからである。

来年の選挙を控えてオバマと民主党は選挙対策として人種だけでな くいろいろな差別を政治的に利用する傾向がある。共和党の大統領 候補は差別問題よりも経済、国際問題、テロなどを討論しているが、 民主党側の唯一の候補者ヒラリー・クリントンは女性問題や黒人差 別、貧富の格差などを挙げている。

●差別問題の重要度
アメリカには差別問題がたくさんあるが、その最たるものが黒人問 題である。ある評論家は差別問題について、アメリカの差別問題は その社会における重要性で6つあると言う:(1)黒人問題、(2) 同性愛者、(3)ラティノつまり南米系移民と違法移民、(4)女性 差別、(5)貧富の格差、(6)最後にユダヤ人とアジア系人だが、 これは殆ど問題ではないという。なぜこれらが問題かというと、オ バマを始め、民主党がこれらを選挙に利用するからだ。

今のアメリカでは黒人とラティノを合わせた人口が白人人口を上回 り、これに同性愛者、女性差別などに迎合する言論を発表すれば選 挙に勝つと言う。白人の発言力が低下しているのだ。

アメリカの政治問題は沢山あるが、社会問題はその一部に過ぎない。
アメリカの大問題は世界的影響力が低下していることだが、民主党 は政権を取ることを優先する、社会問題を先にすれば国民の関心と 選票が得られるとみている。それには差別問題の発言で国民の関心 を買うことである。中間選挙で負けた民主党は差別問題を優先して 国際問題、経済問題は後回しにしている。これに反して共和党の候 補者は国際問題、経済問題などを優先している。

●差別問題の変遷
差別とは社会の違いを作ること、つまり社会を二極化することであ る。黒人問題はその一つ、差別のない社会なら黒人が大統領になっ ても問題は起こらない。オバマが当選したのはアメリカでは黒白の 差別が少なくなっていたからであった。だが大統領になったオバマ は黒人優先主義者だから問題になのだ。フロリダとミズーリで起き た警察が黒人を射殺した事件では明らかに犯人が悪かった。警察は 自己防衛で犯人を射殺したのだった。ところがオバマが黒人の肩を 持つ発言をしたため暴動が起きて長引いたのだ。

大統領の権威は非常に大きい。黒人オバマが大統領になってから黒 人が大いに威張りだして白人は抗議さえできなくなった。大統領が 後ろ盾になっているから黒人が暴動を起こしても我慢している。

アメリカは越境違法入国を取り締まることさえできず、違法入国し た未成年者を送還できず、オバマは違法入国者を特赦して居住権を 与えると言いだした。これは明らかに不公平だが、ラティノはオバ マの違法入国を優遇する処置を歓迎している。オバマの人気取りで ある。国境を守ることが出来なかったら違法入国は増える一方だが、 オバマは国境を守れないからテキサス、アリゾナ、ネバダなどの州 が悲鳴を上げている。

黒人問題と違法入国に次いで問題なのが同性愛者とマリファナの合 法化、その次が女性差別である。民主党は差別問題に迎合する発言 が多く、共和党は差別に無関心だと宣伝する。

●オバマとアメリカの衰退
昔から言われているように、共和党と民主党の違いは、共和党は小 さな政府と自由競争を目指し、民主党は大きな政府を目指す。大き な政府とはすべてが政府主導で、大きな予算と赤字の増大、社会福 祉、増税、金持ちから取って貧乏人に与えるなどである。

黒人には貧困者が多い。社会福祉で金をばら撒けば彼らの支持は集 まるが金を与えただけで貧困は解決できない。アメリカ社会は成功 する機会が多く、個人の努力次第で成功することが出来る。アジア 系の移民は努力して成功するものが多い。福祉に頼ってばかりでは 貧困から抜け出せない。雇用を増やす、教育を普及させるなど基本 的政策が大事である。

オバマは民主党員で社会主義者だが、黒人で成功したことで傲慢に なり独裁的傾向が強い。大統領の権限を拡大し、憲法無視、国会無 視、法制無視、大統領命令を最大限に使うなどと言われている。あ まりにも法を無視するので去年の中間選挙で共和党が上院下院で多 数となりオバマはレイムダックとなった。

オバマは一貫して中東問題をブッシュの責任として攻撃してきたが、 オバマの中東政策でテロがブッシュ時代よりさらに悪化し、ISIS、 タリバン、アルカイーダなどを制御できなくなった。アジア政策も リップサービスだけで中国の横暴な領土拡張を抑えきれず、アメリ カの勢力衰退が明らかである。更にオバマが強引に結んだイランと の非核協定はアメリカだけでなくアラブ諸国も反対している。オバ マは先週アラブ諸国の首長をキャンプ・デビッドに招待して会議を したが、わずか二人の首長が参加しただけで残りは代表を送っただ け、何の結果も得られなかった。

●アメリカは差別の国だが…
確かに加瀬先生の言う通り、アメリカは差別の国であり、人種問題 やほかの差別は今でもある。オバマが大統領になって黒人問題が悪 化し、白人が沈黙したままだから差別がひどくなったのである。

いまの人種差別は白人優先ではない。黒人が威張って白人は小さく なっているのだ。黒人が悪くても暴動が起きれば白人は沈黙してい る。オバマが大統領になったお蔭で黒人たちは大統領がかばってく れると威張りだした。中東外交が失敗してアラブテロの復讐が始ま り、アメリカの国威が衰頽し諸国はアメリカを軽視、ISISがアメリ カに復讐を公言するようになった。

過去30年のアメリカの政治を見れば、カーター、クリントン、オバ マの民主党政権の「大きな政府」は失敗だらけで、アメリカが国際 的にバカにされる時代であった。特にひどい最近の衰退はオバマの 責任であり、国内でいろいろな差別問題が政治的に利用され、オバ マは史上最低の大統領と言われるようになった。これが現代アメリ カの実像である。
差別を政治利用し、逆差別が起きる。
「ヘイトスピーチやめろ」「在日外国人生活保護受給」など、米ほどではないが、その傾向ありではないだろうか。


5月6日(水) 西村眞悟氏『北海道博物館、奇妙奇天烈なり』

メルマガ「西村眞悟の時事通信」より
http://www.n-shingo.com/
5月3日憲法記念日、札幌に於ける講演会の模様。北海道博物館の奇妙な展示。
札幌の憲法記念日と北海道博物館、奇妙奇天烈なり 平成27年5月5日(火)

 例年、五月三日の「憲法記念日」には札幌で、「自主憲法制定」が必要であるとの講演をすることになっている。
 それ故、本年も、三日と四日は札幌にいて、元航空幕僚長の田母神俊雄さんとともに、
 改憲を目指す「次世代に日本を繋ぐ会」主催の講演会に講師として出席した。

「憲法記念日」の翌日の五月四日の北海道新聞朝刊は、一面に「憲法記念日 各地で集会」と大書して、
「札幌でもデモや講演会」(見だし)のもとに護憲派、改憲派双方の団体が集会を開いたと、その様子を報道した。
 その内訳は、護憲派が詳しく報道されており、我々の講演会の様子は簡潔そのもの。
 しかし、要点!は、ズバリ、次の通り書いてあった。

「西村氏は『主権がないときに憲法は制定できない』と述べ、占領下で制定された憲法に正当性がないと主張した」

 これを見た主催者の一人は、「揚げ足取りをするのかな、と警戒していたが、左翼系の北海道新聞にしては、よく書いている」と言った。
 その通り、要点をよく書いている。優秀な記者である。
 それに反して、護憲派の集会のことは、分量が多くても全く書けていない。無能な記者である。
 ノーベル文学賞作家の何とか馬鹿三郎や札幌出身の精神科医や上智大のおかしい教授が、「戦争のための総ての法制に反対する」とか、「今の憲法さえ使いこなせていない政権に、改憲する資格はない」とか、「集団的自衛権行使は他国の戦争に入っていくことだ」とか述べたといくら報道しても、「なにを言うとるのか」訳が分からんではないか。

 ところで、我が日本で、「憲法」を考えるならば、まず第一に次のことを見つめるべきである。

 国家が存在すれば、そのあり方を決定づける根本規範も必ず存在する。
 従って、実質的な「憲法」、国家の姿・実態を決定する「憲法」とは、紙に書かれた文章のなかにだけ存在するのではない。
 「成文法主義」、即ち、「憲法」を紙に書こうとする動きは、つい最近の近代に欧米で起こった流行にすぎない。

 そこで確認しよう。
 我が国の根本規範は、我が国の肇(はじまり)から存在する。
 それは何か。
 天照大神の「天壌無窮の神勅」である。
 この神勅に従って、万世一系の天皇を戴く日本が現在に至っている。
 吉田松陰は、この神勅ある限り日本は永遠なり、日本の将来を悲観することは、神勅を疑うという罪を犯すものと述べた。
 三島由紀夫は、命より大切なものは、「天壌無窮の神勅」と「三種の神器」だと述べた。

 そうだ!
 バターン半島への日本軍の猛攻から部下を見捨てて敵前逃亡し、卑屈な復讐心を秘めてション便を漏らしながら日本に来て占領していたあのダグラス・マッカーサーが、日本を永遠に弱小国に留めおく為に部下に作文させた「日本国憲法」施行の日の五月三日こそ、日本の悠久の国の肇りから現在に連続している根本規範、天照大神の「天壌無窮の神勅」を、三島由紀夫の言うとおり、日本人の命より大切なものとして確認する日であらねばならない。

 さて、北海道を訪れれば、札幌よりも屯田兵の地であり、北鎮の最強師団となった帝国陸軍第七師団創設によってできた街である旭川と、比布や美瑛の上川地方を訪れるのを常としている。
 そして、ここに拡がる大地と山河を眺め、旭川神社の「兵村記念館」と陸上自衛隊の「北鎮記念館」を訪れれば、北海道とは何か、が実感でき、日本人の底力が伝わってくるのである。

 しかし、この度は北鎮師団の地には行けなかった。
 そこで、講演会主催者同志六名とともに、四月十八日に新しくオープンした「北海道博物館」を訪問した。
 驚いた、この博物館で、国民の北海道開拓の歴史を実感できると思いきや、ここは、旭川の「兵村記念館」とは全く正反対である。
 この「博物館」は、南方の「和人」が北方の「アイヌ民族」の地を侵略したことを刷り込む為の展示館であり、軍国主義日本の邪悪なアジア侵略が如何に北海道に及んだかを展示する「館(やかた)」であった。

 この反日館(やかた)には、開館以来数既に十万人以上の人々が訪れたようだが、展示物に関する説明文の中には、さりげなく反日の毒が盛り込まれている。
 これは左翼特有の手法である。
 その結果、ここを訪れた子供達は、入口で、マンモスやナウマン象の巨大な骨格を見上げて、 ワーと息を吞んでから中に誘導され、出てくる時には、自分達「和人」はなんとずるく強欲で、北海道を侵略して「アイヌ民族」に悪いことをしたと思い込んでいることになる。
 これ、南京の南京虐殺記念館を訪問した子供達が刷り込まれるであろう印象と同じだ。

 以下、その館の要所を説明しよう。
 まず、「アイヌ」の説明文と「アイヌの隣人たち」と書かれた大きな地図がある。
 その地図には、北海道全域が「アイヌ」の色に塗られ、その「隣人」は、樺太、沿海州、千島、カムチャッカ、シベリヤの一部に分布しているように塗られている。
 そして、「和人」と記載された地域は津軽海峡の南から日本列島全体となっている。
 色の違いによって「アイヌ」と「和人」は「隣人」ではなく別の地域であるように印象つけられる。
 そのうえで、今、北海道にいる「和人」は「アイヌ」の地を侵略した者と位置付けられる。
 アイヌの説明文は次の通り、
「アイヌは、日本の先住民族です。『アイヌ』とは、アイヌ語で人間という意味です。
アイヌ民族は、この北海道をはじめ、サハリン(樺太)、千島列島などを生活の舞台として、さまざまな文化をはぐくんできました。
 明治政府が北海道を日本の領土に入れ、開拓を進めるなかで、その生活や文化は大きな打撃を受けます。
しかし人びとの歩みはとだえることなく、いまにつながっています。」

また館の他の場所には次のような訳の分からない説明文がある。
「女性、アイヌ民族、在日韓国朝鮮人、障害者など、忘れられ後まわしにされてきた立場の人びとの権利の主張は、今どうなっているのでしょうか。」

 この二つの解説を総合すると、この館の主催者は、明治政府が「北海道を領土に入れ」るということが「女性、アイヌ民族、在日韓国朝鮮人、障害者」が打撃を受けたことの原因であると言いたいらしい。

 そして、奇妙なことに、この展示の近くに、村の子供やおじさんそして、かっぽう着姿の奥さんがた五十人ほどが、日の丸を持った二人の出征兵士を囲んだ写真が大きく展示されている。
 この写真の下にさりげなく書かれているこの写真の説明文は」次の通りだ。
 これで、この写真を掲げた意図を推測されたい。
「忘れちゃいけないのは、あの太平洋戦争。
これは十勝の幕別というところの写真なんだけど、私たちがいた村でも同じように兵隊さんを見送ったのよ。」

 そして、次のスペースの展示品は、発掘された縄文時代からの石器や土器そして土偶また刀剣となる。
 すると鮭の燻製や昆布の束や、熊の皮、鷲の剥製などが展示され「アイヌ民族から和人への交易品」と大きな説明文が書かれている。

 以後、うんざりするほど、「アイヌ民族」と「和人」という言葉が使われている。

 特有の文様の法被(はっぴ)の説明文は「アイヌ民族の木綿衣」とある。
 ほー、これも「民族」のものか、と思った。
 では、我が大阪の泉州では、秋祭りの法被ごとに「民族」がいるぞ。
 例えば「岸和田浜町民族の木綿衣」や「堺榎民族の木綿衣」だ。

 いよいよ明治以降のコーナーに来た。
 旭川の「兵村記念館」を上回る規模の開拓の努力が展示されていると思って近づいた。
 すると入口に次の説明文が掲げられていた。

  「20世紀はじめの日露戦争で、日本はロシアに勝利し、南満州に特権をえて、南樺太、朝鮮にも領土を拡大しました。『満州事変』につづく日中戦争のころには、北海道からも多くの人が『満州開拓』のために中国東北の農村にわたりました。また、北海道にも炭坑や土木事業のために朝鮮人が連れてこられました。
 戦争が長引きアジア太平洋に拡大したことが、アメリカによる原子爆弾の投下と日本の敗戦、連合国による占領につながりました。」

   これにはびっくりした。
 北海道は我が国の領土拡大基地で、その為に朝鮮人を連れてきたという設定だ。
 そして突如でてくる原爆投下は、この悪い日本の「和人」がもたらしたと思わせる。
   以後、予想通り「アジアの戦争と北海道」のコーナーである。
 小林多喜二の「蟹工船」、「不在地主」そして「党生活者」の三冊の原本が、ガラスケースのなかに展示されている。
 これで、この館の展示担当者が税金で生活する「党生活者」であることが分かる。

 さらに「小樽湖高等商業学校生徒雪中教練」の写真が掲げられ、次を見ると「取締の対象になった反戦言動」の一覧表が出てきて、「半島人逃亡関係綴・昭和十七年分」が展示され、戦時下のゲシュタポによる暗黒の強権支配時代を暗示させる。

 極めつけは、とうとう「9・7 自衛隊違憲判決を!」と赤字で書いた古い布の襷が古文書のように展示されている。
 その襷を中心に、「戦争反対 全面講和」の旗を掲げた写真、「日米安保と基地問題」の解説文と写真、「矢臼別演習場の2013年の誤射事件略図」さらに、「ナイキ基地計画・防衛庁のたくらみ」という見出しの共産党の機関誌「ほっかい新報」、とくれば、もう分かるやろ。
 この館、おかしい。
 おまえら、党生活者よ、税金で、公の場を利用するな、党費でやれ。

 展示の最後のところで、笑うしななかった説明文が二つあったのでご紹介する。
 ご自由に判断されたい。

「中川郡チロット原野計画図」の地図の下に次の解説の一文があった。
「まっすぐな道路が直角に交わる北海道の農村の景観は、『上から』強い力が働いたことを物語ります」

 次は、矢臼別地方の航空写真の説明文の最後に挿入してある一文。
「航空写真からは、第1、4飛行場の形がよく見えます。
戦争と現在がふしぎにつながっていると思いませんか?」
だとよ。

 この館を出てから、北海道の同志の一人が言った。
 「和人は悪い奴ですねえ」彼らはそれからしばらく、お互いに和人と言い合っていた。
 そういえば、道ですれ違う人は、皆、「和人」であった。

 このままいけば、もうじき、北海道庁や札幌市は公文書で、国民を「和人」と呼ぶことになるかもしれない。
 南の沖縄もけったいなら、北の北海道もけったいだ。

 明日は、旭川神社の「兵村記念館」で実感したことを書くことにする。


明治維新以来、日本人は真の開拓者であった 平成27年5月6日(水)

 昨日に続き、北海道を報告する。
 報告の起点は、北海道の帝国陸軍第七師団創設の地である旭川そして上川地方だ。
 この地が如何にして現在の地になったのかを目の当たりに見れば、「北海道」が分かる。「北海道」が分かると言うことは、「日本人」が分かるということだ。
 日本人こそ、真の開拓者だ。
 では、それを目の当たりに見る場所はどこか。
 旭川神社にある「兵村記念館」である。

 「兵村記念館」を訪れて、最も印象に残ったものは、一枚の写真だ。
 その写真には、背丈の二倍ほどもある巨大な切り株が無数に乱立する中に佇む人びとが写っていた。

 その切り株は、その大地が巨大な樹木の密集する大森林だったことを示している。
 佇む人びとは、その大森林の中に入植した人びとである。
 彼らは、雪が降り積もった真冬に、その大木を切り倒して雪の上を滑らせて運んだ。
 写真は、春が過ぎて雪が融けて大地が現れたときの光景だ。
 そして、佇む人びとは、太陽が届くようになった地面を耕し始めるとともに、残った切り株を掘り出すという重労働を延々と続けた。

 入植して地面に太陽が届くようになるまで、さらに耕して収穫できるまで、一体、この人達は、何を食って働いていたのだろうか。

 伊予からの人びと(伊予団)、讃岐からの人びと(讃岐団)そして近江さらに群馬からの人びとが、力を合わせて、人が耕し住める大地になった比布町鎮守、比布神社の鎌田告人宮司が「兵村記念館」に案内してくれたのだが、はじめに入植した人びとは、数年たって初めて周りに山があることを知ったのだと説明してくれた。
 このようにして、今の旭川、上川の大地が生まれていった。
 若い女性の観光客に愛される美瑛の町も景観も、このようにして生まれたのだ。

 昨日の時事通信で、公務員でありながら札幌の「北海道博物館」を私物化して、無垢な子供達に「和人」としての反日意識を刷り込もうとしている者達の書いた説明文を紹介した。
 矢臼別の航空写真の説明はこうだった。
   「航空写真からは、第1、4飛行場の形がよく見えます。
    戦争と現在がふしぎにつながっていると思いませんか。」

 馬鹿、アホかお前は、では、旭川の航空写真を説明せよ。
 そもそも旭川は、屯田兵と第七師団創設によってできた街なのだ。
 「ふしぎにつながっている」どころか、もともとここは軍と不可分一体だ。
 そして、ここに第七師団がなければ、日露戦争で旅順要塞の203高地は陥落せず、我が国は敗北だった。
 さらに大東亜戦争で、千島樺太どころか北海道全体が、スターリンの支配下に入っていたのだ。

 札幌の「北海道博物館」に巣をつくっている反日野郎、軍とつながりがあるのは、当たり前じゃ、文句あるか。

 大東亜戦争のペリリュー島での戦闘でも明らかなように、アメリカ軍は一師団の六割が死傷すれば「全滅」と判断して前線から後方に引き上げさせる。
 それ故、アメリカの第1海兵師団は、六割が死傷して「全滅」し、島から撤退した。
 しかし、日露戦争の旅順要塞攻撃では、第七師団は一万五千の兵が千名になっても、「師団」として、最後の奉天まで戦闘を継続した。
 旅順での満州軍参謀長児玉源太郎大将と、第七師団長大迫尚敏中将の会話は次の通り。
 「大迫さん、北海道の兵は強いようじゃのう」
 「強うございました。一万五千の兵が千名になりました」

 何故、北海道旭川の第七師団は戦い続けたのか。
 「この戦いに負ければ、日本は亡びる」
 と兵士一人一人が知っていたからである。まさに救国の為に戦い続けた。
 第七師団は第三軍の隷下にあり、彼らは、第三軍司令官乃木希典大将のもとで戦った。
 それ故、先年、乃木希典大将の浪曲をうなれば日本一の松浦四郎若さんに頼んで、比布神社、旭川神社、美瑛神社そして護国神社において、乃木希典を謳っていただいた。
 各神社の宮司のお力で、多くの氏子の皆様が集まっていただいた。
 涙を流す人も多かった(鎌田宮司や私も含む)。四郎若さんは、さすがに喉がかれていた。

 さて、冒頭に、報告の起点は旭川、と言った。従って、ここを起点にして次ぎに続ける。
 昨年の十月、そして本年の四月に行った、サイパン、テニアン、そして、パラオのことだ。
 サイパンとテニアンを訪れたとき、道の回りはみなジャングルだった。
 しかし、そのジャングルの中に、神社があり発電所や製糖工場跡があり、また学校跡があった。
 ある廃墟になった発電所は、今も一番頑丈な建物であり、大型台風が来れば、今も人びとの避難所として使われている。
 これは何を語っているのか。

 その時、遙か南のサイパンで、北海道旭川の「兵村記念館」の切り株の中に人びとが佇む光景を思い出したのだ。
 日本人は、北海道と同様に、熱帯のジャングルを切り開いて畑を造り、街を造り、現地の人びとが学ぶ学校を造り、現地の人びとが働ける産業を興した。
 サイパンでは、全島を一周する鉄道を敷いて機関車を走らせていた。
 そのレールがジャングルの中で、成長する木に一メートルほどの高さまで持ち上げられているのを見た。

 何故、この日本人が開拓した土地がジャングルに戻ってしまっているのか。
 それはアメリカ軍が、日本人が戻れないようにするために街や畑や工場をジャングルの中に沈めたからである。アメリカ軍は、わざと成長が早い「タガン・タガン」というシダ植物の種を空中散布してジャングルに戻してしまった。
 それで今は、現地の人びとの職場である地場産業がなくなり、アメリカの生活保護費に頼るただ観光だけの島になっている。

 パラオの開発も日本人がした。
 現在、パラオ共和国の人口(約二万人)の九割近くが住むコロールの昭和十年代の地図を見れば、整然たる市街地である。日本国内の田舎の城下町のようだ。日本人は、ここでも現地の子供が学べる学校をつくっている。
 この昔の地図で見る日本統治時代のコロールは、戦後アメリカが五十年以上も統治した後の姿である今よりも、よい市街地だ。

 このように、北海道の旭川と、日本時代のサイパンやパラオの符合に気付いたのであるが、さらに思えば、日本人は、朝鮮でも台湾でも満州でも、そこで学校を造り産業を興しそこを豊かにした。
 さらにブラジルのアマゾンでも、同じようにそこを住みよい働ける大地に開拓していったのだ。
 日本人の行くところは、そのように開拓される。

 アメリカ人は、アメリカ西部を開拓したと言われる。
 しかし、日本人の開拓とは違う。彼らの開拓とは、原住民のインディアンを駆逐してその土地を奪うことであり、ゴールドを求めて殺到することであった。
 イギリス人は、インドで、現地のインド人の学校をつくるという発想があったのか、オーストラリアで原住民のアボリジニの学校をつくろうとしたのか。
 オランダ人は、インドネシアで現地の農業を潰してオランダが欲するのもだけを作らせた。
 彼ら白人の開拓は植民であり、現地の富を奪うことが目的だった。

 以上、十九世紀から二十世紀を顧みるとき、日本人こそ、天地に恥じない真の意味の開拓者だった。
 このこと、北海道旭川の「兵村記念館」を起点として教えられた。
 諸兄姉、是非、比布神社と旭川神社、旭川護国神社そして美瑛神社を訪れられたし。



5月3日(日) 第五福竜丸事件

1954年にビキニ環礁で核実験による「死の灰」を浴びた静岡県の漁船「第五福竜丸」の久保山さんが亡くなった。その頃当方は小学生だったが、新聞の一面に写真とともに報道されていたのを覚えている。
だが、このほど久保山さんの直接の死因は「死の灰」ではなく、輸血によって感染した肝炎だった疑いがあることがわかった。清潔な輸血であれば死ぬことはなかったということだ。もっとも、急性の放射線障害のため余儀なく輸血をすることになったので遠因ではあるかも知れない。
長らく信じ込んでいた「死の灰」だったが・・・
第五福竜丸の死因は「死の灰」ではなかった
2015年05月01日(金)11時09分 ニューズウィーク 池田信夫
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2015/05/post-925.php

 今年の日本記者クラブ賞の特別賞に、南海放送(愛媛県)の制作したテレビ番組「放射線を浴びたX年後」が選ばれた。受賞理由は「太平洋での米国の水爆実験による漁船被ばく問題を10 年以上も番組や映画を通じて追及した」となっている。

 地方民放がドキュメンタリーを制作することは困難であり、しかも60年前の事件を取材するのは大変だったと思う。私はその番組を見ていないが、1954年にビキニ環礁で核実験による「死の灰」を浴びた静岡県の漁船「第五福竜丸」の事件を追跡し、その他にも多くの漁船が核実験で被曝した事実を明らかにしたものだ。

 第五福竜丸は水爆実験の立入禁止海域で操業していたため、核爆発によって飛散した大量の放射性物質を浴びた。この結果、乗組員23人に放射線障害が起こり、そのうち無線長の久保山愛吉が半年後に死亡した。これを読売新聞が「死の灰の犠牲者」と報じ、放射能の危険性を示す出来事として、世界的なニュースになった。

 しかし病理解剖によって判明した久保山の死因は肝炎であり、放射線で起こる病気ではない。高田純『核爆発災害』によれば、久保山の肝臓に蓄積されていた放射能は130ベクレル/kgで通常の値(120ベクレル)とほとんど変わらなかった。

 他の22名の船員についても放射線医学総合研究所が長期にわたって追跡調査をしたが、2003年までに死亡した12名の内訳は、肝癌6名、肝硬変2名、肝線維症1名、大腸癌1名、心不全1名、交通事故1名で、ほぼ全員に肝機能障害がみられた。放医研は2005年の年報で、次のように報告している。

船員の被曝した推定線量は1.7〜 6.0Gyであった。最近では平成15年5月に1名が肝癌で死亡、これまでに死亡者12名となった(内訳は肝癌6名、肝硬変2名、肝線維症1名、大腸癌1名、心不全1名、交通事故1名)。肝機能異常が多くの例に認められ肝炎ウイルスの検査では、陽性率が非常に高い。しかし、腹部造影CT検査などでは肝細胞癌などの悪性腫瘍の所見は認めなかった。

 また2008年の年報では以下のように述べている。

私どものこれまでの研究調査の中では、おそらく免疫機能がかなり落ちていた為にウイルス感染に影響していた可能性があると考えていますが、具体的にどの程度影響があったのかという事は私どもの調査では分かっていません。ただ、おそらく可能性として、肝臓障害の比率から輸血による障害の可能性があったであろう、と考えています。

 このように彼らの症状は、輸血が原因だったと推定される。当時は売血された血液を輸血に使い、注射針も使い回していたので、肝炎に感染したものと考えられる。特に急性の放射線障害の出ていた久保山は、全血液を輸血で入れ替えたため、血液感染で肝炎になった疑いが強い。

 南海放送の番組では、核実験の当時マーシャル諸島の近海にいた日本の漁船の乗組員に取材し、操業していた992隻の漁船のうち、548隻が放射性物質を浴びたという。しかし立入禁止区域の中で操業していたのは第五福竜丸だけで、それでも爆心地から150kmも離れていたので、それ以外の漁船にそれほど多くの「死の灰」が降ったとは考えられない。

 しかも500隻以上の船が被災したとすれば、乗組員に多くの癌が発生するはずだが、南海放送の調査した241人の乗組員のうち、死者は77人で、そのうち癌による死者は26人だったという。日本人の3人に1人は癌で死ぬので、これはその平均値に近い。

 アメリカ政府も追跡調査を行なったが、ビキニ環礁の周辺にいた船の中で肝機能障害が大量に発生したのは第五福竜丸だけで、マーシャル諸島の住民にも核実験を行なった作業員にも、発癌率の上昇はみられない。

 しかし当時メディアが「第五福竜丸の悲劇」を派手に報道し、世界にもその名前が知られたため、核兵器=核実験=核物質というイメージができ、「死の灰」の神話が一人歩きしてしまったのだ。この事件をヒントにして、核実験による突然変異で生まれた怪獣として活躍したのがゴジラである。

 もちろん核兵器の破壊力はきわめて大きく、核軍縮は必要である。核実験も、最近は地上では禁止されている。しかし放射線のリスクは、当時考えられていたほど大きくないことがわかってきたのだ。原爆投下後に広島市や長崎市に入った人も大量の「死の灰」を浴びたが、彼らの平均寿命は全国平均より長い。

 数千ミリシーベルトの放射性物質を浴びた第五福竜丸の乗組員の健康被害がこの程度なのだから、1ミリシーベルト程度の除染に巨額の予算をかけるよりも、被災者を帰宅させて生活を正常化したほうがいい。被爆国として世界に影響力をもつ日本から、正しい情報を発信することが、歴史に対する日本人の使命だろう。



5月2日(土) 安倍外交・高評価

安倍首相の訪米、演説、日米共同声明について高評価が続いている。
今や第一次安倍内閣当時のひ弱な感じはない。
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第186号(5月1日)
http://melma.com/backnumber_190875/

パーフェクト・ゲーム

 今回の安倍総理の訪米について、相変わらずの対米従属外交と批判する向きがあるようだが、それは全く違う。寧ろ逆で戦後続いてきた対米従属からの脱却を目指したものであり、そしてそれに成功したとも言える。
 3月上旬、イスラエルのネタニヤフ首相が米議会で演説した。イスラエルは中東における米国にとっての最重要同盟国であり、その演説は今回の安倍総理と同様、上下両院合同会議の場で行われた。
 ところが安倍総理と決定的に違うのは、ネタニヤフ首相はオバマ大統領と会談しなかった点だ。ネタニヤフは米議会の招きで訪米したのであり、オバマ政権が招待したわけではなかった。  米議会は上下両院とも共和党が多数を占め、民主党のオバマ政権とことごとく対立している。オバマ政権の中東外交に批判的なイスラエルの首相を米議会が招聘しホワイトハウスが不快感を示していたのである。

 永遠の同盟の様に言われてきた米英関係も実は亀裂が生じている。オバマの英国嫌いは就任当初から徹底していて、ホワイトハウス入りするや、執務室に置かれていたチャーチルの胸像を英国に返還した。
 チャーチルは米英同盟の定礎者であるから、この行為は米英同盟の破棄通告と受け取られかねない。中国の提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)構想がこれだけ勢力を得たのも、米国の反対を無視して英国が参加を表明したためだ。
 おかげで欧州各国が続いて参加表明し、AIIBは米国経済を脅かしかねない経済圏構想の様相を示し始め米中対立の新たな火種となった。米国の外交の手詰まりはもはや誰の目にも明らかだ。  これをオバマの外交能力だけに帰する訳には行かない。むしろ米国が外交の方向性を喪失した。いいかえれば米国民の間に外交の方向について合意がなくなったのが原因だと見た方がいい。

 そんな米国に安倍総理は地球規模の日米同盟を提案した。もとより単なる思い付きで言い出した訳ではない。一昨年2月に訪米した際、安倍総理は日米首脳会談後の講演で「日米同盟はアジアのみならず中東、アフリカの安定にも有効」だと述べた。
 本誌ではこれを「復活・拡大した日米同盟」と形容したが(2013年2月24日号)、
http://melma.com/backnumber_190875_5768113/
この時点で既に安倍総理が地球規模の日米同盟を模索していた事は明らかだ。

 今回の訪米に先立ちインドネシアのジャカルタで開かれたアジア・アフリカ会議で中国の海洋進出を牽制し、AIIB構想にも釘を刺した。これに力を得たアセアン首脳会議は中国の南シナ海進出を懸念する議長声明を出した。
 その安倍総理をオバマ大統領は暖かく迎え、上下両院議員は拍手喝采した。米国の政府も議会も、与党も野党も一致して安倍構想を受け入れた訳だ。方向を見失った米国の外交に安倍総理は明確な方向を与えたのである。
 もはや破綻寸前と見られていたTPPは対中戦略として再構築され、反日の象徴的存在だった韓国の女性大統領パク・クネは胃けいれんで入院し、北朝鮮の金正恩はロシアで開かれる反ファシズム記念式典への出席を取りやめた。
 パーフェクト・ゲームである。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
共著:「総図解よくわかる第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/301310010411/
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409