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落葉松亭日記(2016年1〜2月)

ニュース・評論のスクラップ、凡夫の日々雑感

2月24日(水) 「尖閣警備専従部隊」

中国船の尖閣諸島への侵入は、一時よりは少なくなったが、接続水域へは毎月数十隻、領海内には7隻〜10隻と常態化している。 (海上保安庁)
このほど、国内最大の国境警備艇グループが東シナ海に配備された。
「尖閣警備専従部隊」完成へ 海保11管区、24日に2巡視船就役し14隻態勢で尖閣警備 全国最大に 産経2016/02/24
http://www.sankei.com/politics/print/160224/plt1602240003-c.html

 中国の公船や漁船が領海侵犯を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域の警備にあたる海上保安庁第11管区海上保安本部(那覇市)の定員が、小笠原諸島周辺海域を所管する第3管区を抜き、全国最大規模となったことが23日、分かった。24日には大型巡視船「いぜな」と「あぐに」が就役し、第11管区の「尖閣警備専従部隊」が完成。大型巡視船とヘリ搭載型巡視船計14隻相当の陣容で、同海域の治安維持の任務にあたる。

 海上保安庁によると、いぜなは山口県下関市、あぐには岡山県玉野市の造船所で建造され、ともに全長約96メートル、総トン数約1500トン。20ミリ機関砲や遠隔放水銃などを装備している。
 第11管区では平成24〜27年度、新造船10隻、既存船改修2隻を増強する「尖閣警備専従部隊」の整備計画を進めてきた。いぜなとあぐにが就役すれば、大型巡視船12隻相当、ヘリ搭載型巡視船2隻からなる計画が完了する。大型巡視船は石垣市の石垣港に係留される予定で、桟橋や宿舎の整備も進んでいる。

 管区別定員は東京湾や横浜港、小笠原諸島を擁する第3管区が最多だったが、第11管区の増員が続き、昨年中に初めて上回った。27年度末時点で、第3管区の1514人に対し、第11管区は1722人となる。このうち、尖閣専従部隊の乗組員は606人。また、第11管区は大型巡視船の数でも、25年度に北海道を所管する第1管区の7隻を超えて以来最大規模。24日に19隻になる。
海上保安庁は「万全の態勢で尖閣諸島周辺海域の警備にあたりたい。専従部隊が、第11管区に応援派遣されていた巡視船や人員と入れ替わることで、全国の海上保安態勢も強化できる」としている。

 尖閣諸島をめぐっては、1970年前後に海底資源が見つかって以後、中国が領有権を強く主張。中国漁船が周辺海域に出没しており、平成24年の国有化後は中国公船が日本の領海や排他的経済水域(EEZ)に頻繁に侵入。昨年末からは機関砲のようなものを搭載した公船が領海侵犯するなど情勢変化に即応できる警備態勢が求められている。
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日本 国内最大の国境警備艇グループを東シナ海に配備 スプートニク2016年02月24日 16:00
http://jp.sputniknews.com/japan/20160224/1667978.html

日本最大の沿岸警備隊である「尖閣警備専従部隊」が完成した。これは、中国がその一部の領有を主張している、東シナ海の島々をパトロールするためのものだ。
海上保安庁によれば、24日、最新型の大型巡視船「いぜな」と「あぐに」が就役した。両巡視船とも、総トン数約1500トン。20ミリ機関砲や遠隔放水銃などを装備している。これにより東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域の警備にあたる海上保安庁第11管区海上保安本部(那覇市)の定員が大型巡視船とヘリ搭載型巡視船計14隻相当の陣容となり、小笠原諸島周辺海域を所管する第3管区を抜き、全国最大規模となった。

東シナ海での海上保安のための陣容には、沖縄県の那覇港に基地を置く、2隻のヘリコプター搭載型巡視船が含まれている他、12隻の巡視船が、中国側が日本により不法に占領された自国の領土であると主張する無人島、尖閣(中国名;ジャオユイダオ)諸島に近い、石垣島の石垣港に係留されている。
今回の「いぜな」と「あぐに」の就役により「尖閣警備専従部隊」が完成し、大型巡視船とヘリ搭載型巡視船計14隻相当の陣容で、東シナ海の治安維持の任務にあたる。



2月21日(日) 変わりつつある世界

米ソ冷戦時代はある種の均衡があったが、ソ連崩壊から25年を経て、一人勝ちかと思われたその米に弱さが目立ってきた。
同盟国米の庇護の下にある日本はこれからどうなるのだろうか。
西村眞悟の時事通信 平成28年2月19日(金)
地盤が動き始めた

この度の北朝鮮の「水爆実験」と「人工衛星打ち上げ」が、 東アジアの地盤が既に動いていることを明らかにしたように感じる。
北極圏の大河に冬に凍結して張りつめた分厚い氷が、 割れて大きく動き流れ始める切っ掛けは、 ほんの些細なヒビから始まる。
また、大木の枝が雪の重みで折れる切っ掛は、ラストストロー。
北朝鮮の鳴り物入りの馬鹿馬鹿しい「実験」は、 このヒビでありラストストローか。

では、東アジアで、何が割れて流れ始め、何が折れるのか。
分厚く東アジアに張り付いていた中国共産党独裁国家が割れて流れ始める。
中共という貪欲な暴力と無慈悲を本質とする大きな枝と寄生する北朝鮮が折れる。
振りかえれば、二十世紀も四分の三が過ぎた頃、 アメリカがベトナムから撤退しさらにフィリピンの基地を空き家にして出ていった「空白」を狙って、 中共は露骨な海への勢力拡大を開始している。
まずベトナムが領有を主張する西沙諸島を武力で占拠し、 次ぎにフィリピンが領有を主張する南沙を武力で占拠した。
さらに東シナ海の我が国の領土である尖閣諸島を中共の領土と主張し始めた。
それと同時に、経済の急成長を背景に核ミサイル戦力と海空戦力の増強と近代化に励み、 その武力による東シナ海と南シナ海と西太平洋を「中国の海」と化する示威運動を展開したのだ。

そして、これと連動するように北朝鮮も軍事強国化を誇示し、 核開発とミサイル開発に乗りだし、 ミサイル実験と核実験をして我が国らの西側をゆすりカネをせしめた。
アメリカのクリントン大統領は、騙されて軽水炉と重油を北朝鮮に供給し、 次のブッシュ大統領は、核開発を凍結すると騙されて効果的な北朝鮮への金融制裁を解除した。 その間、我が国は北朝鮮の工作基地であり資金供給地であり続けた。
老人が北朝鮮のマスゲームをみせられて涙を流して一兆円の提供を歌いあげ、 馬鹿が五十万トンの米を送った。

とはいえ、この段階では、問題は東アジアのことであり、 動いている国際政治の地盤の上での問題とは意識されなかった。
しかし、中東のシリアにおいてアサド政権が反政府勢力派に苛酷な殺戮を開始し、 この問題に対するオバマ大統領の優柔不断が、 アメリカの威信、アメリカへの信頼を大きく失わせてから様相が変わってきた。
東アジアの問題も地球上の問題だと認識された。

二〇一二年八月、
オバマ大統領は「アサド政権がサリンなどの化学兵器を使用すればレッドラインを超える」と アサド大統領に警告した。
アメリカ大統領が言うレッドラインとは、 これを超えれば軍事行動を開始するということである。
八月二十一日、アサドはサリンを使用し、住民一四二九人を殺害した。
オバマは、軍事行動を開始せず、 逡巡の末、ロシアのプーチン大統領の仲裁に飛びついて アサドが化学兵器を国外に運び出すと、口先で言うだけで、納得してしまった。
するとアサドは、また化学兵器を使用した。

つまり、アメリカは信頼(力)を失い、 オバマは世界から馬鹿にされたのである。
その後、オバマは、「アメリカは世界の警察官を止める」と一昨日来いの発言をする。
次ぎにロシアのプーチン大統領は、合法的に選挙で選ばれた親露派のウクライナ大統領が、 NATOとアメリカの工作で追放されウクライナがNATO支配下に入りつつある危機に直面する。
ロシアにとって、 ナポレオンとの祖国戦争もヒトラーとの大祖国戦争もウクライナが主戦場であった。
西側からウクライナが突破されればモスクワそしてロシアは陥落の危機を迎える。
従って、プーチン大統領は、 ウクライナの首都である「キエフはレッドラインである」と発言した。
その上で、警告通りクリミアを武力で併合した。

世界は、オバマの優柔不断な不作為によってではなく、 プーチンの百六十年前のクリミア戦争の時のようなクリミア併合に驚き、 始めて欧州の情勢は「戦前に回帰」していることを実感した。
つまり、ユーラシアの西半分においては、 第二次世界大戦後の世界秩序である 「武力による領土変更はない」という前提が崩壊したことを悟った。

欧州における戦後の世界秩序を崩壊させたのは、オバマとプーチンである。
しかし、これだけでは、「世界規模の認識」にはならない。
ユーラシアの西半分では、 オバマが優柔不断の晒し者になりプーチンが白昼堂々やったから万人が分かっただけで、 ユーラシアの東方では、 そもそも、もともと、「戦後の世界秩序」はなかったではないか。

ユーラシアの東方では、 第二次世界大戦の「戦勝国」になっていたソビエトと中共がやっていたから見て見ぬ振りをされていただけで、彼らは領土、領域を拡大するのに、武力の行使を躊躇ったことはない。

ソビエト・ロシアが我が北方領土を如何にして護ってきたか、 話し合いによる領土問題解決に乗ったことがあるのか。
中共によるチベット・ウイグル侵略そしてモンゴル・満州の武力平定は言うに及ばず、 現在進行中の南シナ海や東シナ海における示威運動など、 これを放置すれば、止まることを知らない暴走が始まる段階にまで来ている。
そして、冒頭に記したように、 北朝鮮の二つのちんけな実験が、流れを決定的に明るみに出したようだ。

本年に入り、台湾では、 中共との接近を進めてきた国民党の馬英九主席の方針を打破して、 民進党の蔡英文女史が総統選挙に勝利した。
中共やアメリカを睨んで蔡女史は明確には言わないが、 明確に言わないことが「腹に据えている」ことを示している。
即ち、台湾は海洋国家として「台湾となる道」を進む。
これは、我が日本と台湾は一衣帯水の友邦の道を進むと言うことだ。

次ぎに、同じ一月、 我が天皇皇后両陛下は、 フィリピンを行幸啓され、 大東亜戦争におけるフィリピン人戦没者と日本軍戦歿将兵を等しく慰霊された。
この時、フィリピン大統領は 両陛下が乗られたエアー・フォース・ワンの下に来て両陛下を出迎え、 同じくエアー・フォース・ワンの下で両陛下を見送るという特別なプロトコールをみせた。
この行幸啓は、フィリピンと日本との精神的な絆を示したものであり、 両国の結びつきを計り知れなく強めたものである。
天皇の尊い御業と頭を垂れるのみである。

中共の脅威に直接接している台湾とフィリピンそして我が国の三国は、 共に連携して海洋の自由を護る海上のリンクとなった。
そして、この度、フィリピンを含むアセアン諸国は、 アメリカのカリフォルニア州に集まってアメリカと首脳会談を行った。

これらの動きは、中共に対して自国の生存を確保するために動き出した 東アジアにおける安全保障構築のための胎動であり、 北朝鮮の二つの実験と中共が南シナ海に埋め立て基地建設を強行し地対空ミサイルを配備したなかで行われた。
そして、この安全保障構築の動きに、 昨年の九月三日、天安門に登っていた朴女史も乗ってきたようだ。
このことから分かるように、 従来の中共と仲良くして中共を当てにすれば、 北朝鮮問題が納まるという判断は既になく、 中共と北朝鮮という独裁国家は、共に、 春に融けて流れる河の氷、ラストストローで折れる枝だと認識されるに至った。
これが、この度の北朝鮮の実験と中共の南シナ海における地対空ミサイル配備の効果である。

東アジアにおける邪悪な残酷な大と小の独裁国家のハードランディングによる終焉が近い。 この時が、 一番の危機と認識しなければならない。
覚悟を決めよう!
「平和を望むならば、戦いに備えよ」
平和のための軍備を整える時だ。
男子国会議員が育児休暇を取るとか、そんな話題で騒いでいる時ではないぞ!

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com
http://www.n-shingo.com/

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成28年(2016) 2月19日(金曜日)弐 通算第4821号
http://melma.com/backnumber_45206/
ロシアの軍事力を侮ってきたオバマ大統領だったが
アセアン首脳会議で「ロシアは世界第二位の強い陸軍を確保している」


 オバマは「世界の警察官からアメリカは降りた」と言って、すごすごと米軍をアフガン、イラクから撤退させた。
ときに思いつきで米軍を増派したり、縮小したり、派遣するといったり、あれは止めると言ったり。この外交戦略が秋風のように変わる、まったく不安定な凸凹路線。地域を安定化させると言って軍事介入したアフガニスタン、イラクを逆に不安定化させ、シリア内戦を激化させた。

 一年前までオバマはロシアの軍事力を侮り「弱い軍事力でありロシアは地域的パワーにすぎない」と公言していた。
 一年後の今日、オバマは「ロシアの陸軍は世界第二位の強さを誇る、ワールドパワーである」と米アセアン首脳会議の議論のなかで言及していることが分かった(英文プラウダ、2月19日)。

 シリアの反体制派への空爆とトルコのロシア機撃墜に報復を自重しながらも、ロシアはシリア領空を補足するS400システムを導入したため、トルコなどNATOが臨んだ「飛行禁止区域」の設定は不可能となった。
 オバマ発言はこの現実を踏まえたもので、  「しかしシリアの安定、秩序回復という目標は軍事力によっては達成されない」とオバマは言い続けた。
軍事力が弱いから南シナ海は中国の海となった現実に目を背けている。

■ひろさちや ラストストロー(最後の藁)〜天台ジャーナル〜
http://www.tendai.or.jp/journal/kiji.php?nid=50


2月18日(木) 政府、慰安婦強制連行説を否定

吉田清治・朝日新聞の詐話が発端となった従軍慰安婦問題で、ようやく政府は強制連行説を否定した。
【慰安婦問題】「朝日新聞が『捏造』を報道」「20万人も混同」…政府が国連委でようやく反論 
写真:16日、ジュネーブの国連欧州本部で開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査会合(共同)
http://www.sankei.com/politics/print/160216/plt1602160071-c.html

 【ジュネーブ=田北真樹子】日本政府は16日午後(日本時間同日夜)、国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会の対日審査で慰安婦問題に関する事実関係を説明した。
 政府代表の外務省の杉山晋輔外務審議官は強制連行を裏付ける資料がなかったことを説明するとともに、強制連行説は「慰安婦狩り」に関わったとする吉田清治氏(故人)による「捏造(ねつぞう)」で、朝日新聞が吉田氏の本を大きく報じたことが「国際社会にも大きな影響を与えた」と指摘した。また、「慰安婦20万人」についても朝日新聞が女子挺身隊を「混同した」と説明した。日本政府が国連の場でこうした事実関係を説明するのは初めて。

 杉山氏の発言はオーストリアの委員からの質問に答えたもの。この委員は、これまでの同委員会やほかの国連の委員会からの最終報告が元慰安婦への賠償や加害者の訴追などを求めていることを指摘、被害者中心の対応について質問した。
 杉山氏は昨年末の日韓外相会談で、慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決することで合意したことを説明した。
 その上で、強制連行が流布された原因は吉田清治氏が執筆した本で「吉田氏自らが日本軍の命令で韓国の済州島において大勢の女性狩りをしたという事実を捏造して、発表したため」と指摘した。

 吉田氏の本の内容が「朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」とも述べ、内容は「複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されている」と明言した。
 また、朝日新聞が2014(平成26)年に「事実関係の誤りを認め、正式に謝罪した」と説明した。

 「慰安婦20万人」についても、杉山氏は「具体的な裏付けがない数字」として、朝日新聞が謝罪した際に労働力として動員された女子挺身隊と慰安婦を混同したことを認めている点も説明した。「性奴隷」との表現についても「事実に反する」と強調した。

 一方、杉山氏は、慰安婦問題は日本が女子差別撤廃条約を締約した1985(昭和60)年以前のことで、同条約は締結以前に生じた問題については遡(さかのぼ)って適用されないことから「慰安婦問題を同条約の実施状況の報告で取り上げるのは適切ではないということが、日本政府の基本的な考え方だ」とも述べた。
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【阿比留瑠比の極言御免】慰安婦「強制連行」説の否定、20年前にしておけば… 変わらぬ朝日新聞は韓国への配慮にじます
http://www.sankei.com/politics/print/160218/plt1602180011-c.html

 やっと政府が、国際社会に向けて慰安婦の強制連行説を否定した。歴史問題に関しては事実関係は一切争わず、「問題は解決済み」「既に謝罪している」でやり過ごそうとする「事なかれ外交」に終始してきたこれまでのあり方に比べると明確な前進ではある。とはいえ、もっと早くこうしていればと惜しまれる。

やっと当然の主張

 外務省の杉山晋輔外務審議官は16日、ジュネーブの国連欧州本部で、次のように説明した。
 「日本政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった」
 「慰安婦が強制連行されたという見方が広く流布された原因は吉田清治氏が虚偽の事実を捏造して発表したためだ。(吉田証言を事実であるかのように大きく報道した)朝日新聞も事実関係の誤りを認め、正式に読者に謝罪した」
 「(慰安婦)20万人という数字も具体的な裏付けはない。朝日新聞は、通常の戦時動員された女子挺身隊と慰安婦を誤って混同したと自ら認めている。『性奴隷』といった表現は事実に反する」

 まさにその通りであり、当たり前の主張である。第1次安倍晋三内閣の平成19年春、慰安婦問題について意見交換した外務省内では保守派とされる外務官僚が、こう突き放していたのとは対照的だと感じる。
 「この問題は既に日本の負けは確定している。できるだけ静かにして通り過ぎるのを待つしかない」
 だが、こうした外務省の姿勢は間違いだった。日本がろくに反論も主張もしなかった結果、誤解は世界に拡散され、韓国などがいよいよかさにかかって、あることないこと日本非難のボルテージを上げてきたのは周知の事実である。

 反論文書なぜ封印

 日本は過去、国際社会の誤解と偏見に反論する機会をみすみす逃してきた。例えば8年には、慰安婦を強制連行された性奴隷と認定した「クマラスワミ報告書」に対し、明快な反論文書を作成しておきながら、なぜかすぐに引っ込めて封印してしまった。政府が現在も非公開としているこの反論文書は、クマラスワミ氏が引用した吉田証言についてこう記している。
 「歴史研究者の間でもその信憑性については疑問が呈されている。何ら慎重な吟味を行うことなく吉田氏の『証言』を引用しているのは、軽率のそしりを免れない」
 また、反論文書は慰安婦の性奴隷説もこうはっきりと退けている。
 「いわゆる『従軍慰安婦』の制度を『奴隷制度』と定義することは法的観点から極めて不適当」
 つまり、今回、杉山氏が国連で訴えた内容は、20年も前から政府も認識していたことなのである。最初からきちんと事実関係を指摘しておけば、現在に至るまで問題を引きずるようなことはなかったかもしれない。

 反省生かさぬ朝日

 ちなみに、杉山氏は国連での説明で、繰り返し朝日新聞に言及したが、杉山氏の発言を報じた同紙の17日付朝刊の記事には、朝日の「あ」の字も出てこない。
 一方で、わざわざ「韓国側の認識と違う日本政府の見解を国連の場で説明すれば、韓国で(日韓)合意を批判する一部の市民団体やメディアを刺激しかねない」と書き、韓国への配慮をにじませていた。慰安婦報道での誤報を認めた後も、朝日新聞の報道姿勢は基本的に変わっておらず、反省も生かされていない。
(論説委員兼政治部編集委員)
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WikiPediaより
吉田清治本人による証言否定

吉田は自著の虚偽を指摘された後も韓国での謝罪行脚や朝日新聞での証言を続けていたが、1995年に「自分の役目は終わった」として著書が自身の創作であったことを認めた[47]。
1996年(平成8年)5月2・9日付の週刊新潮インタビューで吉田は以下のように語った。
まあ、本に真実を書いても何の利益もない。関係者に迷惑をかけてはまずいから、カムフラージュした部分もある。事実を隠し、自分の主張を混ぜて書くなんていうのは、新聞だってやることじゃありませんか。チグハグな部分があってもしようがない。-週刊新潮1996年5月2/9号
と語り、自らの証言を創作(フィクション)を含むものであることをあらためて発言した[81][74]。

1998年9月2日に秦郁彦は、吉田に電話で「著書は小説だった」という声明を出したらどうかと勧めたら、「人権屋に利用された私が悪かった」とは述べたが、「私にもプライドはあるし、八十五歳にもなって今さら……このままにしておきましょう」との返事だったという[82]。
吉田がその著書中から事実と主張する部分と創作の部分とを分離修正せずに放置したまま死去したため、検証が不可能であるために、現在では吉田証言が強制連行の存否において信頼できる証拠として採用されることはない。

2014年9月、朝日新聞は吉田証言を元にした従軍慰安婦報道が虚偽であったことを謝罪したが、その影響は国内だけにとどまらず中韓や欧米にも深く浸透した。
まさに「嘘も百回言えば真実となる」を実践したかのように。


2月10日(水) 北朝鮮へ経済制裁

北朝鮮のミサイル発射後、韓国朴政権がすり寄ってきている。
あの朴姐の「千年の恨み」は何処へ行ったのか。
以下の解説を読むと、韓国・北朝鮮は同じ穴の狢であることが判る。
政府、北朝鮮に独自制裁を復活へ 入国や入港を再び禁止 2016年2月7日 21時04分
http://this.kiji.is/68882380287952377
写真画像 記者の質問に答える中谷防衛相=7日午前9時45分、防衛省

 政府は7日、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、2014年の拉致再調査に関する日朝合意によって解除した制裁措置を復活させ、段階的に強化する方針を固めた。
第1弾として北朝鮮籍保有者の入国や同籍船舶の入港を再び禁止する。国連安全保障理事会の追加制裁決議の採択前にも日本独自の制裁として発動する方向だ。複数の政府筋が明らかにした。
 政府はミサイル発射に対し、地域の平和と安全への脅威で明白な安保理の決議違反だと強く非難し、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重抗議した。

西村眞悟の時事通信 平成28年2月9日(火)
北朝鮮の核実験とミサイル発射をバネとして、戦後の惰性を打破する時だ

本年に入ってから北朝鮮は一月六日に核実験をし、二月七日に弾道ミサイルを発射した。
そして、その北朝鮮が、二月に入り、我が国内で、スパイ・工作活動を展開していたことが発覚した。
東京にある朝鮮大学校元幹部が、日本から北朝鮮のスパイ・工作活動を司令していたのである。 これは、何を意味しているのか。
それは、日本は、昭和四十九年八月十五日の文世光事件の以前から現在まで 北朝鮮の「工作基地」であり「工作資金調達場」である、ということだ。

以上、本年に入って、我が国の内外において北朝鮮が提起した課題に対して、我が国は何を為すべきか! これが本稿のテーマである。
現在、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対して、我が政界の政府と与野党は、非難決議をするとか制裁決議をするとか動いているし国連の決議に中国はどういう態度をとるのかという点に関心を示している。

しかし、そういうことをやるなとは言わないが、決議をしてもすぐ忘れる。
それは、大震災の時の村山富市や菅直人でもすることではないか。
それらは、この度明らかになった事態に対処して、国民を守り国家の安泰を図る為の本質的な決断ではない。
昨年の一年を使って安保法制の「専門家」になった議員諸侯は、何故、切実な防衛に関して言わないのか。
非難決議に、積極的ミサイル防衛や核抑止力の構築の決断が入るのか?
待っておれないので、ここで言っておく。

まず、我が国の防衛ラインは何処だ。
我が国の海岸線か、海の上か、敵基地の背後か。
敵ミサイル基地の背後である。ここが我が国の防衛ラインである。
即ち、敵が我が国に向けてミサイルを発射しようとする時、そのミサイル基地を地上において破壊することは我が国の自衛権(個別的自衛権!)の行使である。
従って、今我が国が早急に決断して実行すべき事は、朝鮮半島及び大陸にあるミサイル基地を撃破できる国防体制の構築である。

次ぎに、核爆弾を我が国に落とさせない体制を構築することが、この国際環境における我が政治の任務でなくて何であろう。
つまり、核を既に保有している相手に、如何にしてその核を我が国の落とさせない体制を構築するのか。
現実に二発の原子爆弾を落とされた我が国こそ、三発目!を断じて落とさせない体制を構築すべきではないか!

現実に、我が国の近くに二つの核を保有する独裁国家が存在する。
我が国は、その独裁者に核を発射する決定をさせない抑止力を如何にして構築するのか。
それは、核を発射すれば自分(独裁者)も死ぬという体制を造ることだ。
今こそ、我が国は、一九七七年九月のNATO(西ドイツ首相シュミット)の決断に学ばねばならない。
シュミット西ドイツ首相は、ロンドンで、政治的、軍事的バランスの回復は死活的に重要であるという演説を行い、ソビエトがNATOに向けて実戦配備した中距離核弾頭ミサイルSS20に対抗して同じく中距離核弾頭ミサイルパーシング?をソビエトに対して実戦配備した。
これ、NATOとソビエトの「軍事的バランス」の回復である。
その上で、ソビエトに対して強烈な軍縮圧力をかけて、SS20をヨーロッパから撤去させた。
この時、西ドイツ国内に、パーシング?導入反対の強力な「反核市民運動」が巻き起こった。
しかし、ソビエト崩壊後、表に出てきたクレムリン秘密文書によって、この「反核市民運動」は、ソビエトの工作活動によって仕掛けられたものであることが判明した。

今こそ我が国は、とっくの昔から一九七七年当時のNATOの状態におかれているのであるから、ヘルムート・シュミット西ドイツ首相の決断に学ばねばならない。
即ち、軍事的バランスの回復は死活的に重要なのであるから、そのバランスを回復しようではないか。
その時、我が国内に「反核市民運動」が巻き起こり日本軍国主義復活を許さないという叫びが起こる。
その運動は、我が国内の北朝鮮や中国の工作基地において仕組まれる。

そこで強調しなければならない。
それは、我が国が、国家と国民の命を守る為に、敵ミサイル基地撃破体制と核抑止力体制を構築するためには、同時に、我が国内が敵のスパイ・工作活動基地になっている状況即ち「スパイ天国」状態を是正しなければならないということだ。
何故なら、我が国が「スパイ天国」で、我が国内が敵スパイの工作基地であるということは、 我が国の運命と、国民の生死が、敵に握られていることを意味するからである。
今こそ、独立自尊、自らの運命を自ら決定する日本を取り戻さねばならない。
日本を取り戻すとは、具体的にはこういうことである。

なお、冒頭に記した文世光事件について述べておく。
この事件は、北朝鮮が我が国を工作基地として、破壊活動を行い、日韓両国の運命が狂いかけた象徴的事件であり、この事件以降、北朝鮮による日本人拉致が頻発したからである。
しかも、驚くべきことであるが、我が国が工作基地であるという状況は、当時から全く是正されずに現在に至っている。
在日韓国人青年であった文世光は、大阪湾に入った北朝鮮工作船萬景峰号のなかで、北朝鮮工作員から韓国の朴大統領の狙撃を指令され、朝鮮総連生野支部政治部長金某の指導によって射撃訓練を済ませ、金から資金をもらって盗んだ大阪府警の拳銃を持って、日本人になりすまして韓国に入国した。
そして、昭和四十九年八月十五日、復光節を祝う式典に出席した朴大統領を狙撃し横にいた大統領の夫人を殺害した。

捕まった文世光は、朝鮮総連にだまされたと告白し反省の弁明をした上で死刑に処せられた。
そして、韓国は日本国内の工作活動の首魁の逮捕と朝鮮総連の捜索を望んだが、日本政府(田中角栄内閣)は韓国の要請を無視して朝鮮総連の捜索をしなかった。
その結果、日韓関係は、国交断絶寸前まで悪化した。
そして、この状況を観察していた北朝鮮は、日本人に韓国に対するテロを実行させれば、日韓関係悪化という一石二鳥の効果があると悟り、以後、日本人拉致を本格化させる。
その結果が、日本人化教育を受け日本人になりすました工作員が実行した大韓航空機爆破事件である。

お問い合わせ:西村眞悟事務所
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【正論】日本は対北問題の主体的措置を 福井県立大学教授・島田洋一
http://www.sankei.com/column/print/160209/clm1602090011-c.html

 国際制裁を強化されると分かっているのになぜ北朝鮮は核・ミサイル実験を繰り返すのか、と聞かれることがある。この問いは前提自体が事実に即していない。
その点に、日本の対北政策を考えるカギがある。

 ≪米政権を当てにはできない≫

 2006年10月9日、北は最初の核実験を行った。10月14日、日米のリードで国連安保理制裁決議が採択された(1718号。戦闘機・ミサイル関連物資、ぜいたく品の禁輸など規定)。
ところが直後の米中間選挙で共和党が敗北、保守強硬派たちが次々政権を去る中、ブッシュ政権はライス国務長官、ヒル国務次官補主導の宥和(ゆうわ)政策に大きく傾いていく。
07年2月、アメリカは実効の上がっていた対北金融制裁を解除した。
すなわち、核実験を強行した結果、一定の国連制裁は科されたものの、最も痛かった制裁については逆に解除された。
これが北朝鮮にとっての「過去の教訓」であろう。

 ライス回顧録に象徴的な一節がある。
07年1月中旬、ベルリン滞在中のライスの部屋に同地で米朝協議に当たっていたヒルが「明らかに興奮した」面持ちで飛び込んできた。
北朝鮮側代表が、金融制裁解除と引き換えに核凍結という「本国の訓令以上に踏み込んだ」案を示してきた、相手は翌日には帰国する、今すぐ応答したいというのである。
ライスはホワイトハウスに急遽(きゅうきょ)国際電話を入れ「大統領、この問題を大きく動かすチャンスです。
しかし明日になればこのチャンスは消えてしまいます」と強く受け入れを促したという。

 もし実際、独裁者の指示を越えた譲歩案を提示したとすれば、その人物は帰国後直ちに収容所送りか処刑だろう。
北の常套(じょうとう)手段に米高官がやすやすと乗せられる様に驚きを禁じ得ない。
しかもライスは、回顧録執筆時点(11年)においてもまだ、自身が騙(だま)されたことに気付いていない。
米政府がなぜ北を相手に同じ失敗を繰り返すのか、ライス証言は貴重な示唆を与えてくれる。
民主・共和を問わず国務省主導下にある米政権(今のオバマ政権もそうだ)を当てにはできず、日本は主体的に判断し、独自に措置を講じねばならない。

 ≪制裁決議違反国にも圧力を≫

 まもなく米議会を通過すると思われる「対北朝鮮制裁強化法案」に、安保理決議の履行に疑問を呈した部分がある。
国連加盟国193カ国中158カ国が制裁の実施状況を未(いま)だに国連当局に報告していないというのである。
それを放置しているのがまた国連らしい。

 なお、報告の提出いかんにかかわらず、中国のように、国際約束一般を自国の利益になる場合以外は無視するのを常態とする国もある(例えば北のミサイル運搬車両が中国製であることは広く知られている)。
加えて、現行の対北安保理制裁決議(複数)には、「開発支援」「人道援助」は対象外という大きな抜け穴がある。
今後の追加制裁決議でも、「開発支援」や貿易一般の停止まで中国が受け入れるとは思えない。
 日本としては、制裁決議違反国はもちろん、北と取引を続ける国に対しても、政府開発援助(ODA)減額・停止など独自の措置で圧力をかけていく必要がある。
国際機関も例外ではない。例えば国連開発計画(UNDP)の総裁が毎年のように来日し拠出金増額を求めていくが、北への支援事業(当然、軍や工作機関に横流しされる)を止めない限り増額はおろか減額すると通告すべきだろう。

 アメリカの対北金融制裁が効果を上げたのは、北の不法資金に関与した業者は米金融機関に口座を持たせないという形で、主として中国の銀行に圧力をかけたためであった。
生き残りのため、多くの中国の銀行が北との関係の整理を図った。

 ≪中国の顔色をうかがうな≫

 中国は、北の行為が重大な経済的損失につながるか、自らへの脅威を高めない限り、圧力強化に乗り出さない。
その意味でも日本の敵基地(策源地)攻撃力の整備は重要な意味を持つだろう。
北朝鮮が日本に向け数十発の核ミサイルを撃つ構えを見せたとき、全ての迎撃はあり得ず、発射台に据えられた段階で攻撃し破壊する以外、国民の命は守れない。
自民党国防部会が09年5月、その種の危機に際しては「策源地攻撃が必要」と明記した文書をまとめ、海上発射型巡航ミサイルの導入を提言したが、たなざらしのままである。

 政府見解で合憲とされる敵基地攻撃力の整備が、北の度重なる「暴挙」にもかかわらず、なぜ一向に政治の場で議論されないのか。
日本が射程の長い打撃力の整備に乗り出せば、中国の態度にも変化が生まれるはずだ。

 金正恩政権は、アルカーイダや過激組織「イスラム国」(IS)同様、人倫にもとる組織であり、核実験やミサイル実験を行ったからというのではなく、非人道的行為を理由に恒常的に締め付けを強め崩壊を目指さねばならない。
その際、中国を刺激したくないというのが日本政治の支配的気分であるなら、手段は大きく限られてしまうだろう。(しまだ よういち)
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【正論】「脅威」の北朝鮮 「裏金」の韓国 茶番劇にだまされるな
 筑波大学大学院教授・古田博司
http://www.sankei.com/column/print/160210/clm1602100004-c.html

 ここ最近の韓国と北朝鮮のドタバタ劇を見ていて、日本の国民はうんざりしているのではないだろうか。その庶民の常識は正しい。庶民から遊離した一部のマスコミですら、「北朝鮮のネライは」とは、あまり言わなくなった。以上は朝鮮半島問題が、もはや分析段階ではなく、周りの諸国がどうすべきかという、政略段階に入ったことを意味している。

北朝鮮経済を支え続けた韓国

 1月6日の北朝鮮の核実験は水爆ではなく、強化型の原爆だった可能性が高い。
今回のミサイル発射実験は、2012年12月の弾道とほぼ同じで、飛距離が少し伸びただけだ。ということは、北朝鮮はアメリカに脅威のメッセージを送っているわけではないのである。
脅威になるほどの進捗を見せれば、1月10日の米軍機の示威飛行は、韓国領内にとどまることはなかったであろう。

 これまでの経過を見れば明らかなように、韓国は北朝鮮の経済を支えてきた。

 金大中政権時では、引退後の処遇を恐怖する金大中氏が、当時5億ドルの秘密支援を北に行い、南北首脳会談を実現してノーベル賞の権威付けによってこの恐怖を逃れた。
秘密支援は3年後に暴露された。この時北は10億ドルを要求したという。
 続く盧武鉉政権時では、北に国家支援を行うとともに、秘密支援も行ったものとみられ、06年10月に北が初の核実験を実施した翌年に、盧氏は南北会談を実現する。
この時、南北間に直通電話があったことを、昨年10月に元国家情報院長・金万福氏が暴露している。

08年からの李明博政権時には、北とのパイプは一時途絶したため、当時連続して事件が起こった。
09年5月に2回目の核実験が行われ、翌10年3月には哨戒艇「天安」沈没事件、同11月には延坪島砲撃事件が起こる。
翌11年6月には、事件の際に、北朝鮮が謝罪したような折衷案を作ってくれと、韓国が非公開会議において金銭で懇請したことが、北朝鮮の国防委員会により暴露された。
裏金の支払い方で問題が生じたものと思われる。

繰り返される「脅威」の演出

 これまでの弾道ミサイル実験は核実験の数カ月前に予告のように行われた。
06年7月と09年4月であった。3回目は、失敗した4月を除けば、12年12月に行われ、3回目の核実験は2カ月後の13年2月12日に行われた。
反北の朴槿恵政権が発足する約2週間前である。
 ここまでたどれば、北朝鮮のネライは明らかだろう。金大中・盧武鉉政権時代の国家支援と秘密支援の蜜食いが体質化し、その後もオドシとタカリを繰り返すようになったのである。

 昨年の8月4日、朴槿恵政権下で起きた軍事境界線の地雷爆発事件では北朝鮮が「準戦時状態」を宣言し、南北高官による会談が開かれたが、会場は韓国領内、韓国側の代表者2人は北朝鮮シンパで、加えて協議の映像が青瓦台に中継された。
国家安保戦略研究院の劉性玉院長は朝鮮日報8月24日付で、事件のたびにケーブルテレビによる「トップ交渉」が行われていたことを暴露した。

 このような南北間の事件と裏取引のたびに、周りの諸国は「脅威」の演出に振り回され、中国は北朝鮮の核抑止に努力しなければ高高度防衛ミサイル(THAAD)を設置するぞと、朴槿恵大統領に言われ、日本は安保理決議の音頭を取らされ、“裏金の値踏み”に一役買わされているのである。真に迷惑千万な話だ。

韓国の巻き込みを警戒せよ

 では、この状況を打開するにはどうすればよいか。彼らに知恵がない限り、周りの諸国は政略的にならざるを得ない。
ここまで両者が歩み寄る交渉の積み重ねがあるのだから、南北統一ができないはずはないのである。
 1980年10月に故金日成主席による「高麗民主連邦共和国」構想の提唱があった。
周りの諸国は、この構想を生かすべく促すのが最善の策だと思われる。
ただし、統一と引き換えに、核放棄をさせることが前提でなければならない。
さもなければ、日本の対岸の東アジア地域は、すべて核保有国となり、深刻な脅威が日本国家に及ぶことであろう。

 庶民である日本国民は、あくまでも「助けず、教えず、関わらず」の非韓3原則で対応し、彼らの騒ぎに巻き込まれないように、対岸の火事を見るがごとくにし、「『自衛的核武装』を強調し、米中を引っ張らねば、北朝鮮の核問題は打開できない」などという、日本からの援護を求める韓国内の声に耳を貸してはならない。

 なにしろコリアは、豊臣秀吉軍の災禍いまだ覚めやらぬ頃、満州軍の侵攻を受けるや、「日本に助けてもらおう」という声が平然かつ澎湃(ほうはい)として起こる国である。
 「士大夫間に亦た行言あり、倭に請うて来るを欲するに至る」(『仁祖実録』仁祖17年7月22日丁丑条)。歴史に学ぶとは、このような民族の行動パターンに学ぶことを言うのであろうか。(ふるた ひろし)
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28日(木) 甘利経済再生担当相が辞任表明

アアベノミクスの牽引役の一人とされる甘利経済再生担当相(神奈川13区)が辞任を表明。
URと建設会社のトラブル解決に口利きをした見返りに金銭を受け取ったという。
またしても「政治とカネ」。甘利氏も認めたので事実なのだろう。
【甘利氏辞任】「恥ずかしい事実が判明した」 2016.1.28 17:49更新
http://www.sankei.com/politics/news/160128/plt1601280041-n1.html

 金銭授受疑惑で閣僚辞任を表明した甘利明経済再生担当相は28日の記者会見で「秘書が疑惑を招いていることに監督責任を重く受け止めている。安倍晋三首相から日本経済のかじ取りを任せられ、命がけで取り組んできた。しかし、気がつけばその代償としか言いようがないが、恥ずかしい事実が判明した」と述べた。

NHKがわりと詳細に報道(web)していた。
甘利大臣巡る週刊誌報道と関係者の証言 1月28日 17時30分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160128/k10010389141000.html

「週刊文春」は先週号で、甘利経済再生担当大臣の事務所が千葉県白井市の建設会社とUR=都市再生機構との間のトラブルを巡り建設会社側から口利きを依頼され、その見返りとして現金などを受け取っていたと報じました。

記事は、建設会社の総務担当者が、甘利大臣本人に対し、3年前大臣室で50万円、おととし神奈川県大和市の地元事務所で50万円の合計100万円を直接手渡したとしているほか、公設秘書などに対し3年前500万円を渡したほか、繰り返し接待などを行ったと指摘しています。
この報道に対し甘利大臣は、これまで会見などで、みずからに関することについては、大臣室などで面会したことは認めていますが、「自分の記憶と報じられた内容に一部違う部分があるので、記憶を整理してから説明したい」などとしてきました。そのうえで「自分自身は違法な行為は一切していない」と強調していました。

一方、秘書などについては「口利きの指示はしていないし、報告も一切なかったので、事実かどうか全く分からない」と説明しています。そして「第三者を入れて調査するので、事実関係の確認にしばらく時間がかかる」としています。

週刊誌報道の中で、千葉県白井市の建設会社の総務担当者は、UR=都市再生機構との間のトラブル交渉で、甘利経済再生担当大臣の事務所に口利きを依頼したとしています。

このトラブルは千葉県とURが昭和44年度から進めている白井市と印西市を結ぶ全長12キロメートル余りの環状道路の建設工事を巡って起きました。千葉県などによりますと、ここ数年の間に建設予定地に隣接する白井市内の建設会社からURに対して「工事の影響で会社の建物にひびが入った」などとする苦情を受けたということです。そのため、URと建設会社との間で話し合いの場が持たれ、建設会社側に数億円規模の補償金が支払われたということです。
しかし、補償金の支払い後も建設会社から工事を巡るさまざまな苦情が繰り返しUR側に寄せられていたということです。


政治資金収支報告書 302万円寄付の記載

千葉県白井市の建設会社や総務担当者は、甘利経済再生担当大臣の支援者としても活動してきました。甘利大臣の資金管理団体や代表を務める政党支部の政治資金収支報告書には、この建設会社や総務担当者などの名義で、おととしまでの2年間に、合わせて302万円の寄付があったことが記載されています。
また、建設会社の社長が中心となっておととし千葉県に甘利大臣の後援会の支部が作られていて、甘利大臣は発会式に出席したことを認めています。

公設秘書の説明

甘利経済再生担当大臣の事務所関係者などによりますと、現金を受け取ったとされている甘利大臣の公設秘書で、神奈川県大和市にある甘利事務所の所長は複数の支援者などに対し、「報道されている500万円について受け取ったが、一部は返却した。相手から領収書を取り戻すのを忘れた」と説明しているということです。
そのうえで「ご心配おかけしました」とか「脇が甘くて申し訳なかった」などと話しているということです。

UR=都市再生機構 いきさつを説明せず

週刊誌報道は千葉県の建設会社との補償交渉を巡り、UR=都市再生機構の担当者が、甘利経済再生担当大臣の秘書に呼び出されるなど口利きがあったと指摘しています。
これについてURは「甘利大臣の事務所からいわゆる口利きのようなものはなかったと認識している」としています。そのうえで「事実関係の詳細は確認中だ」としていきさつなどは明らかにしていません。

証言した建設会社の総務担当者とは

千葉県白井市の建設会社の総務担当者として週刊誌で実名で証言した一色武氏(62)は、もともと神奈川県厚木市で不動産会社を経営していました。
関係者によりますと8年前、東京にある右翼団体に入り、数年前まで所属していた
ということです。この右翼団体は以前、千葉県白井市の建設会社の周辺で進められていた県道工事を巡り、この建設会社から千葉県やURに補償金を求める交渉の相談に乗っていたということです。 そして、3年前からは一色氏が右翼団体に代わって建設会社の総務担当者としてURなどとの交渉にあたっていたということです。

一色氏は週刊誌の発売後NHKの取材に応じました。
この中で「資金提供はすべて事実だ。資金の大半はみずから用立てたもので、甘利経済再生担当大臣の秘書から要求されて払い続けた。
しかし、一向に問題を解決してくれなかったので腹が立ち、週刊誌に証言した」
などと説明しています。

一方、みずから協力を持ちかけた相手とのやり取りを録音するなどしたことが不自然だと指摘されていることについて「権力者を利用しようとする以上、万一の場合に備え自分の身を守る必要があった」などと話し、甘利大臣をおとしめる意図はないと主張しています。

そして、録音したとする音声については「身を守る最後の武器なので今の時点では公開できない」などとして明らかにしていないため、これまでの取材では、週刊誌が報じた資金提供の詳しい経緯や状況は確認できていません。

口利き依頼したとされる建設会社とは

週刊誌の報道で甘利大臣の事務所に口利きを依頼したとされるのは、千葉県白井市にある建設会社です。
市や関係者によりますと、この建設会社は建設現場で用いられる「型枠」の施工などを主な事業にしているということです。建設会社の周辺一帯は昭和45年から土地の開発や建物の建築が制限される「市街化調整区域」に指定されています。
しかし、白井市などによりますと昭和50年代から60年代にかけて当時の土地の所有者がコンクリート廃材などの大量の産業廃棄物を不法に投棄したということです。
さらに、千葉県や白井市によりますと、その後、所有者から土地を借り受けたこの建設会社が積みあがった産業廃棄物の上に事務所などを違法に建てたということです。
このため千葉県は、これまで数回にわたり違法建物の撤去などを求める「違反指導」を行いましたが会社側は応じなかったということです。

その一方で、周辺で県やUR=都市再生機構が進めている県道工事を巡り、繰り返し苦情を申し立て補償金の支払いを求めてきたということです。
今回の週刊誌報道について、建設会社の代理人を務める弁護士は「建設会社の社長と総務担当者が一心同体で動いたことはなく、今回のことは社長が望んだことではない。
甘利大臣側を陥れる意思は社長になく、驚いている。
社長と総務担当者の関係は切れていると私は認識している」と話しています。

「ワナ」という意見も散見されるので、下線を付けてみた。
建設会社も大量の産業廃棄物を不法に投棄するなどまともではなかったようだ。
建設会社総務担当者が右翼団体に所属していたという。
その右翼団体といっても、まともな真正保守から軍国調街宣右翼というのもある。
工事にについて回る苦情処理と莫大な補償金が核心だろうか。
URもまだ説明にいたっていない。まだまだ疑問がいっぱいで、まさに週刊誌ネタ。
「政治とカネ」で晩節を汚すワキの甘い政治家が多い。甘利氏はまだお若いようだが。
日頃のチェックが甘いと、立派な仕事をしても帳消し、勿体ないことだ。


21日(木) 拉致の真相ー3

松茸のお土産の意味、
拉致被害者山本美保さんの場合
西村眞悟の時事通信 平成28年1月20日(水)sakaioffice@n-shingo.com
http://www.n-shingo.com/

拉致問題の闇(2)

(松茸のお土産)
北朝鮮は、六日、核爆弾を炸裂させた。
しかし、我が国外務省は、平成十四年九月十七日に小泉総理と北朝鮮の金正日国防委員会委員長との間で交わされた「日朝平壌宣言」を維持している。
我が国がこの「日朝平壌宣言」を維持するということは、日本側だけが、「この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注する」ことになる。その結果は、日本から北朝鮮に対する巨額の金の支払いに帰結する。
他方、北朝鮮側は、既に「この宣言に示された精神及び基本原則」を完全に無視している。つまり、北朝鮮は、「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守する」ことも、「ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく」ことも、すべて完全に破っている。

では、北朝鮮が拉致被害者を解放して日本に帰国させる約束はどうなったのだろうか、と思われている方にハッキリ言っておく。
外務省がそのように説明し、小泉総理の北朝鮮訪問が「拉致被害者救出」の為だったと大いに喧伝されたから無理もないが、実は、北朝鮮は、拉致被害者を解放して日本に帰国させる約束など、一切していない。

平成十四年九月十八日に外務省が拉致議連に「北朝鮮が拉致問題の解決を約束した」と強弁した「日朝平壌宣言」の文言は次の通りだ。
「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が、今後再び生じることがないように適切な措置をとることを確認した」
この文言をよく読んでいただきたい。北朝鮮が「確認した」のは、「このような遺憾な問題」が、「今後再び生じることがないように適切な措置をとる」ことだけである。
これは、何を意味するのか。それは、小泉訪朝団が、北朝鮮の金正日が九月十七日午前十時頃に、拉致被害者は「五人は生きているが八人は死亡した」と伝達した内容を真実として納得したことを示すものである。
つまり、平壌で日朝双方は、拉致被害者「五人生存八人死亡」で「拉致問題が解決したことで一致した」のである。従って、文言は、拉致は「日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題」であると「過去形」で書かれているのだ。
その上で、つまり過去の「拉致問題の解決」を前提にして、北朝鮮は「今後再び生じることがないようにする」と応じているに過ぎない。

そして、日朝の小泉と金は2002年9月17日の共同宣言で謳い挙げた。
「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした」と。
日朝の小泉と金は、実に、翌月には国交正常化交渉を再開すると約束したのだ!
これは、まさに、拉致問題が解決したから為しえた約束ではないか。

ここにおいて、小泉訪朝団が、北朝鮮からトラック二台分の松茸のお土産を政府専用機に積んで帰国してきた理由も明かであろう。松茸は、まさに小泉に対する拉致問題解決と国交正常化=カネの支払いに対するご褒美である。それを小泉訪朝団は受け取って帰ってきた。
帰国する小泉訪朝団の仕事は、平壌で合意した拉致問題解決=8名死亡をその家族に伝達し息子や娘の死亡を信じさせて納得させることであった。従って、官房長官と外務副大臣は、 「残念ですが、貴方のお子さんは既に死亡されています」という断定的な死亡宣告を行ったのだ。

小泉内閣は、北朝鮮が渡した死亡年月日リストを隠し、死亡を確認もせず、家族に死亡宣告をした。悪魔の所業ではないか。
この時、横田めぐみさんや有本恵子さんらは、小泉内閣によって、生きながら消し去られる寸前だったのだ。しかし、母の一念が、北朝鮮のウソを見破った。「めぐみは生きている」と。
そして、8名死亡はウソだと分かった瞬間、小泉総理らが北朝鮮から貰ってきた松茸は、小泉・金の日朝双方の邪悪な合意を雄弁に裏付ける代物となった。
家族の集まる友愛会館に来た官房副長官に私は言った。「松茸、どうするんや」官房副長官は、絶句して顔を引きつらせた。

冒頭にも書いたが、安倍内閣と外務省は、今もなお、この「平壌宣言」を維持している。これは、拉致被害者の救出のための宣言ではなく、日朝国交正常化の為の拉致被害者を除去する宣言ではないか。

(山本美保さん)
昭和五十九年六月四日、二十歳の山本美保さんが住んでいた山梨県甲府から忽然と姿を消した。
その四日後、新潟県柏崎の海岸で美保さんのバックが発見された。ここは六年前に蓮池さんらが北朝鮮に拉致されて海岸だった。美保さんの父親は山梨県警の警察官で、その頃の行方不明者を徹底的に調べたが美保さんに該当するものはなかった。

失踪から十八年が経った平成十四年九月十七日、小泉訪朝で北朝鮮が拉致を認め、翌月五人の拉致被害者が帰国してきた。そして、俄に美保さんも拉致されたのではないかという疑いが高まった。そのような折り、「特定失踪者調査会」が設立され、山本美保さんを「北朝鮮による拉致濃厚の失踪者」のリストに入れた。また、美保さんの同級生らが中心になり、美保さんの失踪の真相を究明する署名活動が始まった。すると、平成十四年十一月から十五年十二月までの間に、二十万以上の署名が集まった。いよいいよ、十三歳の横田めぐみさんと同じように、二十歳の山本美保さんも北朝鮮に拉致されているという国民の思いが高まってきた。

すると二十万の署名達成から三か月後の平成十六年三月五日、山梨県警警備1課長補佐から美保さんの実家に電話があり、二十年前に山形の海岸に漂着した遺体と美保さんのDNAが一致したとの連絡があった。
そして、美保さんの家族が警備一課長らから説明を受けるために警察に行くと、既に、テレビで、二十年前の山形の海岸に漂着した遺体が美保さんであると判明したというニュースが流されていた。

その遺体は屍ろう化し歯が十三本も抜け落ちていた。
遺体発見は昭和五十九年六月二十一日、美保さん失踪は同年六月四日。
従って、その遺体が死後十七日以内の遺体であれば、十七日間で屍ろう化し歯が十三本も抜け落ちるなどということはあり得ない。また遺体の下着のサイズは美保さんの体型に合わない。
さらに美保さん失踪から十七日後に発見された女性の遺体を、当時の山梨県警の美保さんの父親を始めとする警察官達が見逃すはずがない。彼らはその時、美保さんの遺体ではないと判断しているはずだ。残念ながら美保さんの父親は既に亡くなっているのだが、父親は確実に、失踪直後に発見されたその遺体が美保さんではないと判断していたはずである。

以上を総合すれば、二十年後に美保さんの家族にも知らせずに実施したDNA鑑定で、突如漂着遺体のDNAが美保さんと一致したとする警察の発表は美保さんが北朝鮮に拉致されたとする関心の高まりをみて、拉致問題を美保さん失踪を無関係とするために為されたものと判断するのが合理的である。
そして、この判断は、拉致問題を常に日朝国交正常化の「障害」と位置付けてきた小泉・金の日朝平壌宣言の方針に合致するのである。
山本美保さんと漂着遺体のDNA一致の発表は、「拉致問題の大きな闇」である。



19日(火) 蔡英文台湾総統・「尖閣は台湾領」

台湾総統選挙で勝利した蔡英文氏は、早速日台FTA締結などに意欲を示しているが、 我が国固有の領土である尖閣諸島については、「尖閣諸島は台湾領」と明言した。
以前台湾総統であった李登輝氏は「尖閣は日本領」と述べていた。
親日国台湾ではあるが、「尖閣」がやがては「トゲ」になるのかも。
台湾新総統の蔡英文氏、日台FTAに意欲示す 2016/01/18 15:44
http://www.epochtimes.jp/2016/01/25100.html

 16日の台湾総統選で圧勝し、総統に当選した民進党の党首、蔡英文主席(59)は翌17日、党本部で日本の対台湾窓口機関である交流協会の大橋光夫会長らと会談した。蔡氏は、日台間の自由貿易協定(FTA)に関する協議を進めることも含め、経済貿易面における双方の協力体制は、今後の日台関係における重要な部分になるとの見解を示した。
 2001年10月、当時の平沼赳夫経済産業相と台湾の林義夫経済部長は会談で、日台FTAについて民間レベルの対話と研究を開始することを合意したものの、現在はまだ締結に至っていない。

 民進党の同日夜の公式発表によると、蔡党首は、持続的なコミュニケーションと理性的な姿勢は外交の要であると強調した上、経済分野の課題に対処し、経済貿易交流を促進させていくなど、日台関係をさらに発展させるとの方針を示した。
 民進党秘書長の呉釗燮氏と同交流協会台北事務所代表の沼田幹夫氏も会談に同席。蔡氏は、民進党が2008年の総統選挙で大敗して野党に下ってからの8年間、日本側が同党との良好な関係を維持し続けてきたことに感謝の意を表したという。
 16日投開票された台湾総統選で56・12%の得票率で他党の候補らに大差をつけて、総統に当選した蔡氏は、中台関係において独立志向であるが、親日家として知られている。 (翻訳編集・桜井信一、叶子)

【台湾・総統選】尖閣諸島は台湾領 勝利した蔡英文氏が明言
http://www.sankei.com/west/print/160117/wst1601170039-c.html

 台湾総統選で勝利した民主進歩党の蔡英文主席は16日夜の記者会見で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)について台湾領だとあらためて主張した。
 蔡氏は「平和で安定した中台関係の現状維持」を目指すと述べ、中国との関係悪化を避ける姿勢を示した。総統選で圧勝したことについては「民主主義の精神を示したことが最大の意義だ」と強調した。

 蔡氏は会見で、中国との対話の重要性を強調し、相互交流は「中台相互に責任がある」と述べ、民進党との公式対話を拒む中国側に対応を求めた。
 一方で蔡氏は、台湾の民主制度や国家意識、国際活動などへの圧力は「中台関係の安定を損なう」と述べ、中国をけん制した。
 日本とは経済や安全保障の分野で関係を強化したいと述べた。南シナ海問題については「平和解決を望む」と述べた。(台北 共同)
©2016 The Sankei Shimbun & SANKEI DIGITAL All rights reserved

李登輝氏訪日「尖閣は日本領」、安保法案も評価 中国、台湾が声明で批判 更新日:2015年7月27日
http://newsphere.jp/world-report/20150727-2/

 台湾の元総統、李登輝氏が、19日から25日まで日本を訪問した。来日中の会見で「尖閣は日本領」という見解を示し、自国の政治家から批判を受けた。また、李氏は台湾独立の立場を明確にしており、中国は氏の入国を許可した日本に反発。「一つの中国」の再確認を求めた。
◆民主主義を求め、安倍首相を評価
 台湾の通信社、中央社のサイト「Focus Taiwan」の英文記事によれば、92歳の李登輝氏は、22日に開かれた「李登輝先生の公演を実現する国会議員の会」主催の講演会で、「残された時間は推定約5年」、「台湾がより成熟した民主主義社会となる手助けに、残りの人生を捧げたい」と話した。李氏は台湾の民主化、自由化、憲法改正について語り、非公開で行われた日本の政治家たちとの質疑応答では、アベノミクスや安倍首相の安保法案成立への努力を評価したという(Focus Taiwan 1)

 李氏の訪日を受けて、中国外交部の報道官は、日本が李氏の訪日および台湾分離派の活動への手助けをしたと批判。日中共同宣言を含む日中間の合意における原則に従い、中国とのその堅い約束を果たすことを日本に求めるとともに、「一つの中国」という方針を忘れず、台湾に関連する問題は慎重かつ適切な態度で対応し、日中間の新たな政治的障壁を作ることを慎むべきだと述べた(新華社)。

◆李氏が尖閣問題について大胆発言
 台湾のメディアが注目したのは、23日の日本外国特派員協会での記者会見で、李氏は「尖閣諸島は日本領で、台湾領ではない」と発言したことだ。敢えて台湾で使われている「釣魚台列島」という呼称を使わず、「尖閣諸島」と日本式に呼んだこともいくつかのメディアが報じた(台北タイムズ1)。

 台湾総督府の陳以信報道官は、釣魚台列島は、台湾が福建省の1県として清朝に編入された「1683年以来、台湾固有の領土だ」と説明し、議論の余地なく台湾領だと述べている。珍氏は、日本での李氏の発言を「国家を辱しめ、その主権をはく奪する行為だ」と批判。台湾外交部も「台湾の立場からそれたどのような発言も、(釣魚台)列島への主権の主張に影響をあたえない」との声明を発表し、台湾国民党の報道官も遺憾の意を表している(台北タイムズ1)。
 李氏は、以前から繰り返し、尖閣はずっと沖縄に属してきたと主張している。自国からの批判に対し、「歴史が示すまま」にこの問題を捉えたまでだと述べ、馬英九総統はもっと勉強して、自分が理解していない物事へのコメントは慎むべきだと反論している(台北タイムズ2)。

 中台両政府の李氏批判に対し、元台湾駐日代表の許世楷氏は、「李氏が総督府を去ってからもう15年以上が経った。普通の市民として、彼の海外訪問に制約が加えられるべきではない」と主張。また、民主主義、相互尊重、法の支配の価値観を擁護した李氏の訪日に対する馬政権、国民党、中国の反応は、現代において普遍的に取り入れられる価値への理解を欠く表れだと指摘。国民党と中国は、18世紀に遡る愛国主義にいまだに執着しているとした(台北タイムズ2)。

◆いまだ強い影響力
「Focus Taiwan」は、李氏が23日に安倍首相と面会し、中国が話題に上ったようだというテレビ東京のニュースを報じた。もっとも、安倍首相との会談があったかどうかという質問に対しては、李氏はノーコメントと返答。安倍首相からの招待で訪日したのかという問いにも、「ノー」と答えたらしい(Focus Taiwan 2)。
 今回民間人として訪日した李氏だったが、日本を支持し、台湾独立を求める元総統の発言は、意見を異にするものを刺激するには充分であったようだ。帰国した李氏は、空港でさっそく、「釣魚台は台湾領」と叫ぶ団体からの抗議の声で迎えられている(中央社Focus Taiwan 3)。 (山川真智子)



18日(月) 台湾総統選挙・国民党惨敗

台湾総統選挙で民進党の蔡英文氏が圧勝した。
中共の「一つの中国」に対抗して台湾独立に向う出発点に立った。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成28年(2016)1月18日(月曜日)通算第4781号
http://melma.com/backnumber_45206/

台湾総統選挙で蔡英文が地滑り的大勝となったが
  国民党の敗因は、将来の台湾像をしめせなかったからだろう


 台湾取材から還りました。
 町は醒めていて選挙をやっているかどうかも分からないほど静かでした。直前の票読みでも蔡英文の大勝は分かっていましたが、予測をこえて、56%(直前の情報では51%)、しかし25%とみられた国民党も6%のばして31%をはじき出しました。

 国会議員選挙が同時に行われ、民進党が過半数を取れず、学生運動の新党「時代力量」との「連立政権」をくめるか、どうかというのが見所でした。
ところが蓋を開けると、民進党だけで単独過半、だれも予想しなかった数字でした。
日本からも総勢200名近い取材団でしたが、日頃の取材の積み重ねが希薄なので、どの記事も皮相ですね。

 問題は、これからです。
 北京は早速にも「蔡英文政権は台湾独立を完全に引っ込めなければ両岸関係はうまく行かない」などと脅迫めいた反応をしています。
蔡英文次期総統は、まず周囲を固め、四つ派閥のいがみ合いを克服し、党内をしっかり纏めながら、国会の審議を円滑化し、何から先に実践してゆくのか。
国民に何をアピールするか、「現状維持」と言っているだけでも、年末あたりに身内からも批判を浴びるかもしれません。
なにしろ今度は「勝ち過ぎ」でした。慢心を慎み、ふんどしを締め直すことが大事ではないかと思いました。

[AC論説] No.577 台湾選挙の首実検 (2016/01/17)
http://melma.com/backnumber_53999/

台湾の選挙は一般に国民党(藍軍)と民進党(緑軍)の「藍緑合戦」 と言われる。選挙の結果は多くの新聞が報道したので改めてここで お浚いすることはないが、国民党側の自己評価では「完全なる惨敗」 だそうだ。総統選挙はすでに蔡英文の大勝利と報道されたからここ では立法委員選挙で国民党の大将首を何個取れたか検討してみる。

立法委員選挙では台湾の中央部を東西に流れる濁水渓以南の諸県市 で国民党は一席も取れず全滅した。國民黨の勢力範囲と言われた北 部でも新北市では12議席のうち2席しか取れず、台北市は8議席の うち5席、桃園市は6議席のうち2席、台中市は8議席のうち3席 しか確保できなかった。まさに完全な惨敗である。立法委員の選挙 議席73席のうち国民党は20席しか取れなかった。

選挙の結果、朱立倫は国民党主席を辞任し、行政院長・毛治國も辞 任した。大きな打撃は国民党の重鎮や大将クラスの人物が枕を並べ て討ち死にしたことである。このため4年後の国民党の再起は難し くなった。

最大の損失は基隆市で国民党のカク龍斌、親民党の劉文雄が民進党 の蔡適応に敗北したことである。二人とも大幹部だった。
カク龍斌は台湾の軍部に隠然たる勢力を持つカク伯村の息子で、元 台北市長、国民党副主席などの経歴があり、2020年の総統選挙の有 力候補と言われていた。
カク伯村は元参謀総長で中華民国の軍隊の重鎮、ラファイェット巡 洋艦、ミラージュ戦闘機、マジックミサイルなどの武器購買でいろ いろ問題があった人物である。

息子のカク龍斌は台北市長時代に花卉博覧会、ゴンドラ遊園地、夢 幻音楽会などで実費の数倍と言われた膨大な無駄遣いがあったので、 退任して汚職の調査を逃れるため立法委員に立候補したと言われた。 今の台北市長が就任してすぐに過去4代の市長、馬英九とカク龍斌 の土地開発が大問題となり、犯罪調査が二人に及ぶと言われている。 カク龍斌は落選し、馬英九も任期が終わると司直の追及を逃れるこ とが出来なくなる。

カク龍斌が出馬した基隆市は親民党の劉文雄の地盤である。カク龍 斌がここで選挙にでたため劉文雄と票の取り合いとなって二人とも 落選した。劉文雄は親民党の党首宋楚瑜の右腕と言われる人物だが、 今回の選挙では何故か宋楚瑜が劉文雄を比例代表に選らばなかった ため地元で立候補して落選した。つまり民進党の蔡適応が当選した のでカク龍斌、劉文雄の二人の大物が討ち死にしたのだ。

台北市はこれまで国民党の根拠地として知られていたが、今回は第 1区で国民党の重鎮、当選7回の丁守中が民進党に敗れて落選した。 第5区では当選7回の林郁方が時代力量党の新人候補林チョウ佐(永 の右に日)に5千票差で敗れた。

桃園市第6区では当選5回の孫大千が無党派の趙正宇に敗れて落選 した。この三人は国民党の重要幹部で当選確実と言われていたが、 落選したあと政界復帰は難しいかもしれない。

もう一人の大物は新北市第12区で当選7回の李慶華が時代力量党の 黄國昌に12000票の大差で落選したことだ。李慶華は国民党の元老 で元行政院長・李煥の息子である。

また、高雄市第3区では国民党の大物で、元大陸委員会副主任・張 顕耀が民進党の劉世芳に3万票の大差で落選した。高雄市第3区は 国民党の退役軍人の住居が林立している区域で民進党の当選は難し いと言われていた地区である。彼の落選は外省人、退役軍人の居住 地区でも国民党の影響力が薄れたことを示している。これは重要な ことで、馬英九の不評だけでなく、外省人も中国統一を忌避するよ うになったことである。

最後に今回の選挙では幾つかの民間組織が合同で「落選運動」を発 起し、国民党の呉育昇、廖正井と張慶忠の三人の落選に成功した。
「落選運動」は人民主人基金会、島国前進、国会調査兵団など、幾 つもの団体が集まって発起した運動である。選挙運動で民間団体が 政敵落選を組織したのは恐らく世界で初めてであろう。この運動で は呉育昇、廖正井、張慶忠の三人の落選を目標とし、三人とも落選 させたのである。

呉育昇は元台北市の新聞処主任で馬英九の子分と言われた人物であ る。本人は選挙運動で「私は馬英九の子分ではない」と弁解してい たが無駄だった。
張慶忠は二年前に国会で馬英九の「服務貿易協議」を取り上げ、審 議もなく30秒で「賛成通過」と宣言したのでヒマワリ学生運動の導 火線となった。「半分忠(39秒忠)」と綽名された人物である。
桃園市第2選挙区の廖正井は元台北市財政局長、秘書長などを歴任 した立法委員で前回の立法委員選挙で買票行為があったと言われた 人物である。

民間団体が以上の三人を落選させる「落選運動」を推進した結果は 100%成功だった。政治家にふさわしくない人物を落選させるための 団体運動が成功したのである。ダメな政治家を落選させる運動が成 功したのは人民の政治意識が成熟した結果かもしれない。

戦い済んで日が暮れて、5月に新政権が発足する。国会は数日後に 補足するが総統の就任は5月20日である。5月までの4か月は政治 の空白期間ともいえる。この期間に現職の馬英九が勝手な行動を起 こすとは思えないが注意して見守る必要がある。

国民党の完全惨敗は台湾アイデンティティの発露であり、馬英九の 中台統一路線は大幅に後退し、国民党と中国が強引に推し進めた嘘 の「92年コンセンサス」は問題でなくなる。中国の台湾併呑計画は 失敗したのである。

但し民進党政権が誕生してもすぐに独立運動が起きるとは思えない。 蔡英文の主張する現状維持は台湾海峡の安定発展となる。台湾人は 動乱を望まない。独立は気長に穏便に推進すべきである。



16日(土) 拉致の真相ー2

衆院で安倍首相が民主党議員に「拉致を政治利用したのか」と質問された。
質問の情報源となった『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』の著者蓮池透さんのインタビュー記事があった。
ものごとは両面見てみないと真相はわからないもの。以下「LITERA」のコピー↓
元家族会・蓮池透氏インタビュー(前編)
蓮池透氏が安倍首相の“逆ギレ”国会答弁に堂々反論!「安倍さんは議員バッジより先にブルーリボンを外すべきだ」 2016.01.13
http://lite-ra.com/2016/01/post-1888.html

「私が申し上げていることが真実であることはバッジをかけて申し上げます。私の言っていることが違っていたら、私は辞めますよ。国会議員を辞めますよ」
 1月12日の衆院予算委員会で、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)元副代表の蓮池透氏の著書について問われた安倍晋三首相は、こう声を荒らげた。

 蓮池氏の著書とは先月発売されたばかりの『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)。同書では、安倍首相のついたいくつもの嘘が明らかにされ、「首相は拉致問題を政治利用した」と主張されていることから、民主党の緒方林太郎議員が安倍首相に「拉致問題を利用したのか」とこの問題をぶつけたのだ。

 すると、安倍首相は「議論する気すら起きない。そういう質問をすること自体、この問題を政治利用している」と逆ギレしつつ、「利用したこともウソをついたこともない」と反論、さらに緒方議員が「では蓮池さんがウソを言っているのか」と畳み掛けると、冒頭のように、議員辞職まで口にしたのである。

 この安倍首相の逆ギレ答弁について、当の蓮池氏はどう考えているのか。本サイトは13日に緊急インタビューを行った。

――昨日、予算委員会で蓮池さんの著書が取り上げられ、安倍首相がバッジをかけてそんなことはない、と反発していましたが。

蓮池 安倍さんが「バッジをかけて」って言った瞬間、議員バッジではなく、拉致問題の象徴でもあるブルーリボン・バッジのほうを外すのではと思ったほどでした。それくらい安倍首相の拉致問題への姿勢には失望しているし、彼は議員を辞めるつもりなんかないと思ったのです。私が『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(以下、『見殺しにした安倍首相』)に書いた内容はこれまで自分で体験し見聞きしてきたことです。Twitterにも書きましたが決してウソなど書いていません。
 それにしても、一国の最高権力者である総理大臣がですよ、私のような一介の市民が書いた本で批判されたからといって、本気で対決姿勢を示すというのはいかがなものかと思いました。最後にはキレ気味でしたからね。そうではなくさらりと流したほうが総理としての器を示せたのではないかと思います。

──とくに「政治利用した」「拉致問題でのし上がった」という言葉に安倍首相は反応していました。

蓮池 安倍さんが、拉致問題で総理大臣になったのは事実です。そして総理に返り咲いてからもまだ拉致問題を利用している。私は決して安倍さんを批判するために本を書いたのではありません。拉致問題の恩恵を受けて総理になったのであれば、恩返しという意味でも拉致問題の解決に向けきちんとやってください、そういう思いを込めたつもりです。しかし今回の発言を聞くと本当に残念です。
 2002年の小泉訪朝から13年もの長い時間が経っているのに何も変わらない。だから一石を投じるつもりでこの本を書いたのです。弟家族が帰国できたのだから黙っていたほうが楽だろうとも言われます。しかし、こんな状態で黙っていることはできない。弟はまだ帰ってこない被害者の人々のことが頭にこびりついているんです。肉体的には解放されたけど、精神的にはまったく解放されていないんです。心身ともに自由に暮らせるようなってもらいたい。そんな思いもあって私は声をあげている。だから“批判のための批判”みたいに捉えられるとすごく嫌ですね。

──安倍首相は、国会答弁で蓮池さんの本について「家族会の中からも、実はその本に対して強い批判があるということもご紹介させていただきたい」と主張していました。他家族のことを持ち出し、伝聞という形で蓮池さんを批判しています。

蓮池 私のところには家族会からの“強い批判”は直接きたことはありません。ネット上では、この本を出したことで「これでお前も終わりだ」「身辺に気をつけろ」などと書かれましたが。

──薫さんら5人が帰国した際、日朝政府間は「一時帰国」とし北朝鮮に戻すという約束をしていました。しかし当時、官房副長官だった安倍氏が「日本に残すべきだ」と判断して小泉首相の了解をとりつけたと言います。昨日の委員会でも関係者を集めて「最終的に私は返さないとの判断をした」と、蓮池さんの本の内容とは真逆の答弁をしています。

蓮池 安倍さんには、あなたがいつ説得などしたのか? と訊きたくなりましたよ。本にも書きましたが、弟を説得したのは私であって、安倍さんじゃない。実際に電話のひとつもなかったんですから。当時、政府は5人のスケジュールをびっちりと埋めて作っていましたし、「一時帰国」を変更不可能なものとして進めていたのです。家族たちの間では「帰りのチャーター便はどうするのか?」と、北朝鮮に戻すことを前提に具体的な話し合いまでもたれていたのです。  また、政府はこうも言っていました。「今回は一時帰国だけど、次回は子どもも含めて全員が帰ってきますよ」と。安倍さんも一貫して、5人を北朝鮮に戻すことを既定路線として主張していた。でも、弟と話し合うなかで「ああ、これは2回目などないな」と確信を持ったのです。だから必死で止めた。

──被害者の方々が日本に留まるという決意を伝えたとき、政府は慌てていましたか?

蓮池 慌てていたというより「そうですか」って感じでしたね。ようするに、弟たちの日本に留まるという強い意志が覆らないのを見て、しぶしぶ方針を変えただけなんですよ。にもかかわらず、安倍さんは相変わらず「決断したのは自分だ」というようなことを言う。大人の答弁だとは思えないですね。
 また、小泉訪朝時、安倍さんは「『拉致問題で金正日から謝罪と経緯の報告がなければ共同宣言に調印せずに席を立つべき』と自分が進言した」と言っていますが、でも、それは安倍さんが突出して言っていたことではない。(当時、アジア大洋州局長として会談に同行した外務省の)田中均さんがその後のインタビューなどで答えているように、それは訪朝したメンバー全員の共通認識だったんです。それを自分だけの手柄のように吹聴したわけでしょう、安倍さんは。

──著書では、最近の安倍首相による拉致問題の“政治利用”について、蓮池さんのご両親の選挙応援の事例が記されています。これに対し、昨日、安倍首相は「政治利用はしていない」としながらも完全にはぐらかしていましたが。
蓮池 両親が選挙に駆り出されたのは事実です。2014年の衆院選で、新潟二区で立候補した自民公認の細田健一候補の地元・柏崎に安倍首相が応援演説に駆けつけた。そこに講演会にまず弟が招かれたんですが、多忙を理由に断ると、今度は両親が駆り出された。
「ここに蓮池薫さんのご両親も来てくださっています!」なんて演説で言われて。警察を動員して両親の道案内までしていた。弟が帰って何年も経って、なぜ両親が出て行かないといけないのか。これが政治利用じゃなければ何なんですか。一方では刈羽原発再稼働の問題がある柏崎で、原発のゲの字も言わない。母は「結局、安倍さんのダシに使われたね」って言っていましたが、この期におよんでまだやるか……と思いましたよ。
 ただ、国会でこの話題が出たときに本当に残念だと思ったのが、緒方議員が安倍さんから当事者の話をまったく聞いていない、と切り返されたことです。実際、緒方議員から私に事前に何の連絡もありませんでした。本を読んだだけだから、本人に確認したと言えない。だから、安倍さんに「本の引用だけじゃないですか」と言われる隙を作った。なぜ電話の1本でもくれなかったのか。
 繰り返しますが、そもそも私は安倍さんを単に批判するために本を書いたのではない。膠着した拉致問題に向け政府がきちんと動いてほしいだけですから。

 もうひとつ。本を書いた理由に拉致被害者支援法の実態があまりに世間の認識と乖離していることでした。この法律の草案の段階で、私は自民党本部で安倍さんや中山(恭子・拉致被害者家族担当内閣官房参与【当時】)さんなどから支援法の草案を見せてもらったことがあった。そこでまず驚いたのは、そこに「慰謝」と書いてあったことです。「え? 月額13万で『慰謝』って?」と思いました。正確にいうと夫婦で24万ですから、割ると12万、そして子どもひとりにつき3万円です。しかも、働いて収入が発生したら減額です。24年のブランクがあり学歴もキャリアも中断され、いきなり日本に帰ってきて政府はこれだけで自立しろと言う。北朝鮮に強制的に拉致され、24年も放置されてこれは酷すぎるんじゃないのか。

 草案の段階で「慰謝」は削除してもらったのですが、同時に金額が低すぎると訴えました。すると法案作成にかかわった自民党議員から「野党が金額が低いと吊り上げるから大丈夫」と説明されたのです。しかし結果は逆。野党は13万円は高すぎると主張し、その金額のままになってしまった。
 その際、私は安倍さんに言いました。「国の不作為ですから賠償請求で国を訴えますよ」と。すると、安倍さんは薄ら笑いを浮かべてこう言ったんです。「蓮池さんね、国の不作為を立証するのは大変だよ」って。この言葉は今でも本当に忘れることができません。

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 安倍首相の逆ギレ答弁とは対照的に、蓮池氏は終始冷静に、しかし、具体的な根拠をひとつひとつあげながら、安倍首相の答弁をくつがえしていった。
 両者の言い分を読み比べてみたら、どちらが嘘をついているかは、明らかだろう。
 だが、蓮池氏の話はこれで終わりではない。北朝鮮の水爆実験、この間の交渉の問題点、さらには家族会の政治利用などについても、言及していた。
 その内容については、後編をぜひ読んでいただきたい。
(編集部)



蓮池透氏がさらに安倍首相の詐術を徹底批判! 「安倍さんはきっと北の核実験を利用し、逃げ道にする」
リテラ 2016年1月15日 00時25分 (2016年1月16日 12時56分 更新)
http://lite-ra.com/2016/01/post-1891.html
写真:拉致問題のみならず、安保・原発・沖縄・報道圧力など、他の政策に関しても安倍政権に疑問を投げかける蓮池透氏

 昨日、本サイトで掲載した拉致被害者家族・蓮池透氏の安倍首相への反論インタビューは大きな反響を呼んだ。
 安倍首相は1月12日の衆院予算委員会で、蓮池氏の著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)の内容を否定し、「私が言っていることは議員バッジをかけて真実」と大ミエを切ったが、これに対し蓮池氏が真っ向から反論。
 具体例を細かにあげながら、「私が書いていることはすべて本当の話」「安倍さんが拉致問題で嘘をつき、政治利用していたのは事実」と述べたうえで、「安倍さんは議員バッジの前にブルーリボンを外すべき」とまで言い切ったのだ。
 しかも、蓮池氏の話はそれで終わりではなかった。安倍首相へのさらなる不信、北朝鮮の"水爆"実験、この間の政府の交渉のやり方への疑問、さらには言論弾圧まで......。後編はこうした問題についての蓮池氏の発言を紹介したい。

──先日、北朝鮮は水爆の核実験に成功したと公表しました。安倍首相はこれを強く批判し、日本独自の経済制裁復活を検討しています。拉致問題への影響についてどう考えているのか。

蓮池 拉致問題に悪影響しか与えません。しかも、政府はこれを利用しかねない。「核実験を行う北朝鮮はけしからん、暴挙だ」といって、進まない拉致問題の隠れ蓑、言い訳に使う。そういうことだけは本当にやめてほしい。
 でも、現実には「一生懸命やったけど、みなさんご存知の通り北朝鮮はけしからん国だ。しょうがない」と、安倍さんの逃げ道になる可能性は高いんじゃないでしょうか。
 そもそも安倍さんは拉致問題に対し退路を断って対処しているわけじゃないし、どれほどの決意や熱意があるのか、疑問です。勇ましい言葉にしても国内向けにすぎない。だいたい、ひたすら圧力をかける、経済制裁をすると言っても、それが通用しないというのはもう歴史的にわかっている。ちょっと学習してほしいです。
 6者協議にしても、私は、核と拉致を同列に扱ったらうまくいかないと思っています。ですから日朝独自外交を国交正常化交渉とセットでやる。もちろんアメリカからの横槍が入るでしょうが、もし安倍さんが本気なら、そこまでしてくれないと。まあ、アメリカべったりの安倍さんには無理だとは思いますが。
 実は拉致解決に関して、私は今年前半が勝負だと思っていたんです。なぜかと言えば、5月に北朝鮮労働党の党大会がある。そこで今後の政策や人事を決めるわけですから、変な決議や決定がなされたら拉致問題にも大きな影響がでてくる。

たとえば北朝鮮が日本とつきあっても何の利益もないといって、対日政策はあくまで強硬でいくと決定すれば、拉致問題も動かなくなってしまう。少なくとも党大会以降もこの運動を続けられるよう、5月までに布石を打っておかないと。そう思っていたところに核実験ですからね。

──核実験にしても、結局は安倍首相に有利に働いた部分があります。北朝鮮は何をするかわからない。だから安保法制は必要だし、憲法改正もしかり、と。拉致問題にしても引き延ばすことが安倍政権の利益になるのではないのかと思えるほどです。

蓮池 北の脅威を煽っていたほうが安倍政権の思い通りにいくのは確かでしょう。やっぱり北は危ないからちゃんとした軍備が必要だ、と。でも集団的自衛権があっても自衛隊が北朝鮮に行くなんて考えられない。ですから私から言わせれば、制裁を強化した段階で、拉致問題は断念したことと同じなんです。圧力をかければ向こうも反発して、今までのパイプが切れてしまう可能性だってありますからね。

──かつては強硬派として知られた蓮池さんが、こうして安倍首相への不信感を持ち、考え方が変わったのはいつからなのでしょう。

蓮池 小泉訪朝前、たしかに私たち被害者家族は誰も頼る人がいなくて孤立した存在でした。そんななか、秘書時代の安倍さんは私たちにやさしかった。救う会にしてもそうですが、彼らの言うことを私たちは鵜呑みにしてすがるしかなかった。第一次安倍政権のときには、何かあると家族会のメンバーを食事に招待してくれて。でも、その場でなぐさめてくれるだけなんです。
「がんばります」「全力を尽くす」「あらゆる手段を講じる」という常套句だけで、具体的なものはなかった。外交問題は政治家にとってすごく便利なものです。「やっている」と言いながら、「では具体的に何をやっているのか?」と聞くと、それは外交機密だっていう逃げ道がある。安倍さんもまさにそう。本当に戦略というのがあるのか、当初から疑問でした。
 2014年のストックホルム合意についても、非常に安易な合意でした。お互いのゴールが一致していない。非常に広範な問題を一括しているし、最初からこれは難しいなと思っていました。安倍さんが拉致問題最優先って言っているわりに、北朝鮮側のプライオリティは非常に低い。あの時の戦略といったら、独自制裁の一部解除だけ。それで帰ってくるわけがない。しかも北からの報告がなし崩し的に遅れて、現在でもなしのつぶてです。

こうした事態を日本側はきちんと検討したのか。家族からしてみれば半年、1年は死ぬほど長い時間です。しかも安倍さんからは何の説明もない。誰が責任を持ってやっているのかさえわからないのです。交渉しているかもわからない。
 これまでも安倍さんが言ってきた「毅然とした」姿勢というのは、決して北朝鮮に向けたものではなく、国内向けでしょう。強硬姿勢はウケがいいですからね。遠い対岸に向かってひたすら吠えているようなもので、それは対岸に届かないことをわかってやっている。
 しかも、そうした指摘を大手マスコミも書かない。安倍さんの意向を忖度している、言論統制に近いようなものを感じます。

──やはり蓮池さんも安倍政権の言論に対する姿勢に疑問を持っているということですね。

蓮池 今回の本を出した時にもそれは感じました。朝日新聞の取材を受けたとき、「ちょっとこのタイトル......う〜ん」と言われてしまって。他でもいくつかの媒体で同じような反応があったと聞いています。テレビでも本の表紙をあえて映さなかったり。安倍批判はダメだし、安倍批判をするとすぐに「反日」ですからね。書店だって隅っこに置かれていて。すごく嫌な国になった、そう感じました。でも今、拉致問題に関してはここまで過激なタイトルをつけないと誰も見向きもしないのが現実なのです。
 政府はあまりにも無策で、時間だけが過ぎていっているのに、マスコミはタブーが多すぎる。また、家族会のことも聖域化しちゃって、今でも都合の悪い話はほとんど書かない。だから洗いざらいぶちまけようと思ったんです。世間の関心も低下し、世代交代も感じています。拉致問題をリアルタイムで知らない世代が増えている。そんな危機感もあります。

──たしかに、すでに東日本大震災や福島原発事故でさえ風化が危惧されていますから、拉致問題は尚更です。

蓮池 今、すごく感じるのは、震災で被害を受けた方々、原発で避難されている方々、あるいは沖縄の基地の問題などいわゆる被害者の人たちの民意を、政権はまったく汲まないということです。多くの被害者がいて反対もあるのに、原発を再稼働し基地を強引に移設しようとする。そういう意味では拉致問題も同じです。自国民をほったらかしなんです。
 そうした意味でも拉致問題に関して志を同じにする人たちで、本当の意味で拉致問題を解決するグループを作ろうと、昨年から少し動き出していました。家族会や救う会ではなく、マスコミOBや大学の名誉教授、与野党問わず国会議員など本気で思ってくれる人が集まって。

しかし、それも北の核実験があり水を差されてしまった状態です。
 拉致問題の解決。言葉で言うのは簡単です。しかしそのためにも拉致問題の解決とは何か、どういう状態になれば全面解決なのか、その定義を安倍さんと政府ははっきり示して欲しい。そうでなければ何ら進歩のないまま、拉致問題がまたずるずると時を重ねるだけでしょう。

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 蓮池氏の話はまさに、安倍首相のやり口の本質を突くものだった。実体のない勇ましいスローガンを声高に叫ぶだけで、実際は国民の生命や安全などつゆほども考えていない──。
 しかし、おそらく安倍首相はこれからも「拉致問題解決が最重要課題」などといって、この問題を徹底的に政治利用していくだろう。
 日本国民がこの詐術に気がつき、政府が国内右派向けの人気取りでない、リアルで戦略的な拉致問題解決に動き出す日ははたしてやってくるのだろうか。 (編集部)



15日(金) 拉致の真相

12日衆院で民主党の緒方林太郎氏(比例福岡9区)が首相に対し「拉致を政治利用したのか」との質問したという。
この質問の動機となったのは、拉致被害者の蓮池薫さんの兄、蓮池透さんによる著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)に「拉致問題はこれでもかというほど政治利用されてきた。その典型例は安倍首相だ」などとする一説があるといことだったらしい(WikiPedia)。

こういう著書があるというのも驚きだが、真相はどうなのか。
西村眞悟の時事通信 (拉致問題の闇  平成28年1月14日号)
sakaioffice@n-shingo.com
http://www.n-shingo.com/

拉致問題の闇

拉致問題の最大の闇は、「拉致被害者を救出しようとする者を貶めようとする力」「拉致被害者の救出から国民の目を逸らそうとする力」が政界と官界をはじめとする社会各層に根を張りうごめいているということだ。
この度の予算委員会でも、この闇の力が提供した材料に飛びついた質問が行われたようだ。曰く、「首相は拉致を使ってのし上がった男か」と。
そこで、この質疑に関して、平成十四年の十月に五人が帰国した時の真実について語っておこう。

まず、帰国前月の十七日午前十時頃、訪朝した小泉総理が、北朝鮮から「拉致被害者の内五名は生存しているが八名は死亡した」と告げられた。その時、北朝鮮は八名の「死亡年月日、死亡原因リスト」を日本側に渡した。その七時間後、小泉首相は平壌で、日本が多額のカネを北朝鮮に支払って日朝国交樹立を約束した平壌共同宣言に署名した。そして、トラック二台分のマツタケをお土産に貰って政府専用機に乗せて帰国してきた。

その平壌共同宣言署名のまさにその時、つまり、午後五時、東京では官房長官と外務副大臣が、拉致被疑者家族を個別に個室に呼んで「まことに残念ですが、貴方のお子さんは既に死亡されてます」と死亡宣告をした。
その後帰国してきた訪朝団は、不可解にも北朝鮮から渡された「死亡年月日、死亡原因リスト」を隠して公表しなかった。
しかし、そのリストは、マスコミのスクープによって明らかになった。
そして、拉致被害者救出に携わる朝鮮語に堪能な西岡力や荒木和博が、そのリストを点検し、直ちに、これはおかしい、虚偽だと見破る。

結局、横田めぐみさんを始めとする八人死亡という宣告は北朝鮮の「ウソ」だった。
問題は、北朝鮮がウソをついたことよりも、何故、日本側が、リストを隠してそのウソの通りの死亡宣告を被害者家族に行ったのかである。
その理由は、死亡したと家族に信じさせれば、拉致問題自体が無くなり日朝国交樹立の障害が無くなるからである。
従って、あとは生きている五人が、「首領様のもとで幸せに暮らしています」と言って自主的に「北朝鮮で暮らしますからご心配なく」と言えば、拉致問題は完全に無くなり日朝国交樹立になる。
それ故、日朝国交樹立によって日本からのカネが喉から手が出るように欲しい北朝鮮は、翌十月、五人を帰国させてきたのだ。そして、その帰国の際、日朝の担当者は、一週間から十日で、帰国した五人を北朝鮮に帰すことを合意している。
北朝鮮は、日本から北朝鮮に戻ってきた五人に、「首領様のもとに帰れて嬉しい、これからもここで生きていきます」と言わせて、そのビデオメッセージを日本国民に見せつける予定だった。
以上、八名の死亡と帰国した五人のビデオメッセージで拉致問題は無くなる。これが、北朝鮮と日本の「当局」との一致したシナリオである。

そして、その魂胆の元で五人が日本に帰ってきたのだ。羽田空港に着いたチャーター機から五人が中山恭子さんらに付き添われて降りてきた。全マスコミと拉致議連議員そして家族関係者が帰国した五人を囲んでターミナルの方に姿を消していった。
チャーター機の回りは無人になった。しかし、私と佐久間という仲間はそのチャーター機の下で、必ず北朝鮮からの監視員が同行しているはずだと待ち構えた。
果たして彼ら(二人)は出てきた。
私は彼らの顔を写真に撮り、拉致議連の中川昭一会長と打ち合わせてマスコミに拡散し、これによって彼らの隠密行動を不可能にした。
私たちは、チャーター機の下でなおも待った。佐久間はチャーター機に上がって機内を点検してきて、一人もいないと私に報告した。
すると機内から沢山の北朝鮮からの荷物が運び出されてきた。帰国した五人は、北朝鮮のお土産を持たされていたのである。お土産以外の大量の荷物が何か分からなかった。
帰国した五人がそれぞれ郷里に戻る報道が続いているときに、外務省の幹部が、われわれ拉致議連幹部に「彼ら五人を北朝鮮に帰さねばなりません」と言ってきた。
それに対して、最初に平沢勝栄議員が「そんな、馬鹿な」と言った。外務省が、五人を帰すことは国家間の約束ですからと反論した。
「国家間の約束には国会の議決がいる。そんな約束知らん」と私が言った。
それでも、外務省の馬鹿幹部のおっさん(名前など忘れた)が、唇を振るわせて帰さねばならないんです、と言っていた。
我らは、絶対に五人を帰したらいかん、と言い張った。外務省のおっさんは反論に疲れてきた。

そのとき、後ろの方から女性の小さな声がした。見ると、内閣参与の中山恭子さんが私たちに念を押そうとしている。
「あのー、五人は北朝鮮に帰さない、それで、いいんですね」私たちは、そうです、と言った。すると、中山恭子さんは、「五人は北朝鮮に帰さない、それでいきます」と言った。
外務省は絶句していた。これが、我々が、政府内閣内から五人を帰さないという発言を聞いた最初であった。

それから、政府内および内閣内での、五人を北朝鮮に帰すという外務省路線の絶対多数派と、帰さないという拉致被害者救出派の攻防があった。中山恭子内閣参与と共同して戦ったのは安倍晋三官房副長官であるそして、安倍晋三は、中山恭子さんと共に帰さないという当然の原則を掲げて、外務省路線(あえていう、闇の中の悪の路線)に打ち勝ったのである。

もし仮にあの時、五人を北朝鮮に帰しておれば、どうなったか。彼らの帰国後、平壌から五人の映像が送られてくる。そのなかで、五人は、言わされる。「平壌の首領様のもとに戻れて幸せです」と。そのとき、拉致問題も、拉致被害者救出運動も終わる。
そして、我が国は小泉総理と金正日の平壌共同宣言に則って、北朝鮮に対して彼の国の国家予算の五倍のカネを提供する。そのカネで、北朝鮮の独裁者一族は世界一の金持ちになってブタのように肥り、北朝鮮政府は早急な核開発と核ミサイル開発を進める。
そのうちに、その核ミサイルは日本に向けて実戦配備される。即ち、我が国は、天に向かって唾を吐くように、地球上のもっとも危険なテロ支援国家に転落している。
これで、明確だろう。拉致問題における外務省路線は闇の中の悪の路線である。

しかし、この路線は、今も健在であり一昨年のストックホルム合意においても、未だ、平壌共同宣言に則って、北朝鮮に巨額のカネを支払って日朝国交樹立を目指している。
そして、その為の最大の障害を拉致問題であると位置付けて拉致被害者を救出するよりも、「拉致問題という障害」をなくそうとする。
その為に、この路線を推進する闇の力は、拉致被害者を救出しようとする者を貶めようとするのだ。
かく言う私も、そのターゲットである。従って良く分かる。この度の、予算委員会での安倍総理に対する質問もその一環である。
質問者は元外務省官僚だということも符合するではないか

【阿比留瑠比の極言御免】拉致問題を民主党に語る資格があるのか 自分を棚に上げ、またもレッテル貼り?
http://www.sankei.com/premium/print/160114/prm1601140004-c.html

 在京各紙の13日付朝刊をチェックして驚いた。安倍晋三首相が自らの進退にまで言及した答弁が、ほとんど取り上げられていなかったからだ。12日の衆院予算委員会で、民主党の緒方林太郎氏が拉致問題をめぐり、「首相は拉致を使ってのし上がった男か」と質問した件に関してである。

首相、誰より熱心に

 緒方氏は、拉致被害者の蓮池薫氏の兄で家族会元事務局長の蓮池透氏(後に家族会を離脱)の安倍首相らを批判した著書を論拠に、首相は拉致問題を政治利用してきたのかと執拗にただした。首相はこれに対し「私が言っていることが真実であることに(議員)バッジをかける」と強く否定していた。

 詳しいやりとりについては、13日付産経新聞で報じているため省く。ただ、20年以上前から拉致問題に誰よりも熱心に取り組んできた安倍首相に対し、緒方氏はよくもこんな露骨なレッテル貼りのような質問ができるものだとあきれた。・・・・全文



13日(水) 北の水爆は嘘だった

北朝鮮の水爆実験が物議をかもした。が、どうやら水爆ではなかったらしい。
金正恩まだ33歳の青年。朝鮮民主主義人民共和国2500万人を率い食わしていかなければならない。
日・米・露・支那・中東との国際関係を勘案し経営するのは至難の業だろうが、核やミサイルで脅しては経済制裁を受ける繰り返す。発想の転換はないのだろうか。
小泉純一郎・金正日会談から早十数年、拉致された日本人は未だに帰っていない。
水爆実験、金第1書記が命令書に署名 「爽快な爆音」で新年を
2016年01月06日 22:39 発信地:ソウル/韓国
http://www.afpbb.com/articles/-/3072326

【1月6日 AFP】北朝鮮は6日、同国初の水爆実験を「成功させた」と発表したが、実験実施の命令は、3週間前に金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記が自ら署名していたと、同国国営テレビが伝えた。署名に添えられたメッセ―ジには、水爆の「爽快な爆音」とともに2016年を迎えると記されていたという。

 北朝鮮が同国初の水爆実験として小型爆弾の爆発実験に「成功した」とする発表は、同盟国・中国も含む近隣諸国を驚かせ、非難を巻き起こしている。

 北朝鮮国営テレビの報道は、12月15日の日付が入った金氏の署名の写しを映し出した。署名の横に書かれた直筆のメッセージには「初の水爆の爽快な爆音とともに、2016年を開始しよう。核強国、社会主義朝鮮、偉大な朝鮮労働党を全世界が仰ぎ見るように!」と記されていた。
 同放送はまた、1月6日の実験実施を最終的に許可する1月3日付けの第2の署名も映し出した。(c)AFP

米政府、北朝鮮の水爆実験発表を否定 「分析結果、一致せず」
2016年01月07日 07:01 発信地:ワシントンD.C./米国
http://www.afpbb.com/articles/-/3072358

【1月7日 AFP】米ホワイトハウス(White House)は6日、北朝鮮が初の水爆実験に成功したとの主張を否定した。

 ジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)大統領報道官は、「初期分析の結果は、水爆実験成功との北朝鮮の主張とは一致しないものだった」と語り、「過去24時間以内に起きた出来事で、米国政府が北朝鮮の技術的・軍事的能力についての評価を変える要因となるものは、一切ない」と述べた。

 北朝鮮は国営テレビを通じ、現地時間の6日午前10時(日本時間午前10時30分)に初の水爆実験を成功裏に実施したと発表した。国営テレビは、「われわれはこれで核先進国に仲間入りした」と伝え、使用されたのは小型化された爆弾だったと説明した。

 アーネスト米大統領報道官によると、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、同日中に安倍晋三(Shinzo Abe)首相と韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領と対応を協議する予定。 (c)AFP

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第220号(1月13日)
http://melma.com/backnumber_190875/

水爆に非ず。

 水爆実験というと特に、日本ではインパクトがある。米ソ冷戦初期にビキニ環礁で米軍が初の水爆実験を行い、第5福竜丸が被害にあった記憶が、いまだ鮮明なのだろう。だが精密誘導が可能になった現在、ピンポイントで敵の軍事拠点を攻撃すればよくなり、過剰殺戮の水爆は軍事的にも敬遠される兵器である。
 北朝鮮が水爆実験に成功したと喧伝したが、原爆より威力の小さな水爆がある訳もなく、相変わらず北朝鮮は、世界中の軍事関係者から失笑を買っている。もし、水爆なら失敗だったことになるし、そもそも水爆の開発目的は何なのか。

 水爆は原爆よりも大型化し、重量も増す。ミサイルの弾頭は小型軽量の方が、当然遠方に届くから、水爆など開発してもICBMの弾頭にして米国を攻撃するのは、ますます困難になる。
 今の北朝鮮の技術水準では重量1トンの核弾頭を弾道ミサイルに装着しても米都ワシントンには届かない。東京も多分無理で、ソウル、北京、ウラジオストックには確実に届く。つまり水爆開発の目的は北朝鮮の同盟国を攻撃する以外にはあり得ないことになる。

 そこで、北朝鮮はSLBMの実験写真を公開し始めた。潜水艦に核ミサイルを搭載して、米国近くまで密かに近付けば、ワシントンも攻撃可能になる。つまり「我々の攻撃目標はあくまで、ワシントンであって、北京ではありませんよ」と言い訳しているのだ。
 だが米大陸近くまで潜航するには、原子力潜水艦が必要だが、北朝鮮は原潜を持っていないし、開発しているとの情報もない。どうしても、北の攻撃目標は北京だとしか思えない。これで、中国に核開発の為の支援を要求したら、断られて当然だろう。

 冒頭に述べたように、水爆は開発経費が莫大で、しかも軍事的に必要な兵器ではない。恐らく北が水爆と詐って開発しているのはウラニウム型原爆だろう。これは構造が単純で開発が容易である上に、北朝鮮は天然ウランの産地なのだ。
 だがウラニウム型原爆も小型化出来ないから、やはりワシントンには届かない。核攻撃は敵の軍事中枢を破壊して反撃機能を奪わないと核報復されてしまう。ソウル、東京、ウラジオストックを核攻撃しても、ワシントンやモスクワが機能していれば核報復で平壌は壊滅してしまう  つまり北朝鮮が核攻撃可能なのは、やはり北京しかないのである。

 今の北朝鮮と中国の関係を、私はしばしば、銀行と暴力団企業に例える。事実上倒産している中小企業に銀行が融資しているとしよう。ところがその企業はじつは暴力団であって、融資を打ち切ろうとすると、銃弾が撃ち込まれるという構図は日本でもお馴染だろう。
 「拳銃だけじゃない、マシンガンだってあるんだ」と3代目がうそぶき、警察署長のケリーが支店長の王毅に「あんたの所で面倒を見ると言ったんだから、穏便に型を付けてよ」と囁いていると言った所か。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
文庫新刊:「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265 「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409



8日(金) 中共人民元、株暴落

世界の製造工場を担ってきた中共の人民元や株が暴落しているという。
これが進行すればデフォルトになるのでは云われている。
GDP世界第二位を誇っていた中共が崖っぷちとは・・・
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成28年(2016)1月8日(金曜日)弐  通算第4774号
http://melma.com/backnumber_45206/

とうとう人民元の大暴落が始まった

  中国人民銀行が正式に認めたのは「2015年に外貨準備は5127億ドルも減少した」

 1月7日、中国の中央銀行である人民銀行が公式に外貨準備高の減少を発表した。
 2014年末の外貨準備は3兆8400億ドルだった。
 2015年末の外貨準備高は3兆3300億ドルになっていた。マイナス5127億ドルである。これは「公式」数字、実態はおそらく倍だろう。

 この人民元安は中国人民銀行の為替操作が、もはや厳重に管理できず、実勢市場では機能しなくなって、外圧と逃亡資金のメカニズムが当局の意図とは異なる方向へ暴走を始めているからだろう。

   すでに昨夏の株暴落と人民元下落により、海外華僑が中国から一斉に資金を引き揚げており、年明けとともに株式市場で導入された「7%のサーキットブレーカー」が連日発動され、4日連続、しかも7日は開始後わずか30分で取引停止。
 人民元のオフショア市場ではすでに10%、崩落している。人民元のオフォショアは香港、シンガポール、倫敦、そしてフランクフルト。。。。

 日本の株式市場は人民元安と上海株の暴落への連鎖で2・9%程度下げたが、もっとも無惨は崩落はウォール街である。
 これから、未曾有の人民元暴落がおこることが予想される。

中国株、取引開始からわずか29分で終日取引停止に 2016/01/07 13:52
http://www.epochtimes.jp/2016/01/25040.html

 7日の中国株式市場主要株価指数である滬深300指数(CSI300)が取引開始後に下落し、現地時間9時43分に下げ幅が5%に達したため、上海と深セン両株式市場で15分間の一時取引停止のサーキットブレーカーが発動された。9時58分から取引は再開されたが、CSI300の下落が止まらず、下げ幅は7%に達した。そのため、取引は終日停止となった。
 取引開始時間は9時半であるため、7日の中国株式市場はわずか29分で取引が終了した。
(翻訳編集・張哲)

人民元下落と資金流出 デフォルト危機の中国 2015年02月27日
http://jp.ntdtv.com/news/13218/%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%83%E4%B8%8B%E8%90%BD%E3%81%A8%E8%B3%87%E9%87%91%E6%B5%81%E5%87%BA%20%E3%83%87%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%88%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%81%AE%E4%B8%AD%E5%9B%BD

【新唐人2015年02月27日】対ドルでの人民元の下落が止まりません。昨年の年間での下落率は2.4%に達し、ここ9年間で最も高い下落率を記録しました。中国経済の失速に裕福層が不安を感じ、人民元の下落を見定め海外に巨額の資金を移しているため、中共は深刻なデフォルト危機に直面しています。
人民元の下落が続き、2015年に入ると、毎営業日寄り付きでほとんど同じ動きを繰り返し、中央銀行が定める2%のストップ安に接近しました。

中国の経済評論家 牛刀さん
「今回の人民元の下落の原因は紙幣の過剰発行です。下落して当然です。問題が出るたびに紙幣を発行し、8兆元に上るはずです。むやみな紙幣発行は危険です」
近年、中国の経済成長の減速に伴い、人民元の下落を見定めた中国の富裕層や外資系企業は不安を感じ、資金を海外に移転させ始めています。
中国大陸の富裕層の資産は33兆元に達しますが、2.8兆元はすでに海外に移されています。これは中国の2011年GDPの3%に相当し、大部分は不動産、債券や株などです。
「大量の資金が海外に移されています。李嘉誠もそうしましたが、誰も人民元を残しておく勇気はありません。大量の紙幣発行は資金の海外流出に対処するのが狙いですが、これは間違った方法です」

人民元の信用リスクのほか、海外メディアの観察によると、過去5年間、中共の銀行や企業は海外で約1兆ドルの資金を借り入れています。そのほとんどがドル建ての短期債務で、人民元の下落によって負債額はさらに増えることになります。中共は深刻なデフォルト危機に陥り、外界の不安を引き起こしています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/02/24/a1179852.html (中国語)
(翻訳/赤平 ナレーター/村上 映像編集/李


石平(せきへい)のチャイナウォッチ
http://archives.mag2.com/0000267856/20160105120559000.html
■中国人民が、習近平主席は無能愚昧な暗君だと気づく時、「劇場型政治」は終焉を迎える…


1日(金)  謹賀新年


旧年中はお世話になりました
本年も相変わりませず宜しくお願い申し上げます。