【明けない夜はないと信じて】
 
 今日で、またひとつ年をとった。
 
 そして自分にとって誕生日というのは、一年が終わりを迎える時期が近付いていることを
 自覚する日でもある。
 
 またしても失業の憂き目にあったこと自体は、いつもの事といえばいつもの事だったが、
 経済的な意味でいうなら今年はこれまでの人生でもっとも追い込まれた一年間だったと
 言えるかもしれない。
 
 ちなみに失業の理由は、言うまでもなく新型コロナによるものだ。
 
 いつもなら失業期間中といえども日雇いのアルバイトなり何なりで切り抜けるところだが、
 今回ばかりは状況が状況だけに日雇い仕事すらも世の中から消え失せ、完全に収入の道が
 断たれたのが一番の問題だった。
 
 それこそ全国的な外出自粛となった四月以降は、友人知人からの食糧支援や自治体からの
 給付金でどうにか食いつないでいた。実質的にはほとんど無一文に近かったと思う。
 
 ここが居候先でなければ、家賃が払えなくて追い出されていたところだ。
 
 とはいえ、一時的な支援だけではどうしても限界が来る。
 
 もはや給付金程度では生活が賄えなくなったことで、ついには実家も売却することになり、
 親もまた住むところを失った。あとはもう自治体が低所得者向けに提供している公営住宅の
 抽選に当たることを祈るくらいしかない。
 
 
 ―――そんな状況が続いた一年だったが、明るい話題がまったく無かったわけでもない。
 
 だから、ここからは年末までなるべく前向きな気持ちで見られるようなエピソードを中心に
 取り上げていきたいと思う。明けない夜はないと信じて。
 
 
 2020年の舞台裏、まずは一夜目。『人の和、人の輪』
 
 
 2020年11月27日