アジア絵日記コンテスト

アジアのいろんな国の子供たちの絵日記を展示したギャラリーにたまたま立ち寄る機会があった。

絵日記を書くという文化はアジア特有で、少なくとも自分は欧米であまり見かけたことがない。

とりわけ絵日記を書く文化が根付いている国の子どもたちに、絵日記を通じて識字教育の支援をおこない、さらに優れた絵日記をお互いに紹介しあうことで子どもたちの異文化交流を促すため、ベトナム、ラオス、ネパール、カンボジア、モンゴル、カザフスタン、モルディブ、中国、タイ、マレーシアなど、アジア23ヶ国が参加する大々的な絵日記のコンテストがおこなわれたらしい。

コンテストの性質上、参加したのはすべて小学生たちだった。

そのため、各国でグランプリを受賞した作品が一堂に会する展示会でずらりと並んだ絵日記は、ほのぼのとした日常生活のワンシーンだったり、地元のイベントや学校の年中行事に参加した感想だったり、いずれも自分たちの国の文化を子どもらしい着眼点で切り取ったものばかりだった。

そんな中、異彩を放っていたのがインドの12歳の子どもによる下記の作品。





※邦訳
多様性の中の統一とは、違いを調和することです。インドは長年にわたり、この考えを証明している優れた国です。

インドの人々は人種、カースト、社会、言語と方言、さらには料理の多様性にも関わらず、統一されています。
多様性の中の統一とはいろいろな宗教の人々がいるこの国を一つの絆で結びつけることができるという、私たちの国の大きな特徴です。

インド独立闘争は異なる民族、宗教の統合の素晴らしい例です。
それは、インド人が最高の神から生まれ、守られ、養われたというメッセージを表しています。


何この小学生。

原文で読める人は写真と見比べてみてほしいが、本当にこのニュアンスで書かれている。そもそも日記で書くような話題でもなんでもないが、コンテストをすさまじく意識しているのは伝わってくる。

あと実際には言語や文化的にさえ統一されているとは言いがたい現状はあるし、文面からすると恐らくは上位カーストの裕福な家庭で生まれ育ったとおぼしき少年が、いったいどこまでインド国内の実情を客観的に認識できているのかは不明だが、それでも12歳とは思えない語彙力と表現力なのは確かだった。

ついでにいうなら、絵を描いてるのも本人である。

小学生がオンラインで絵日記を公開しても何の不思議もない時代。アジア各国で子どもたちが絵日記サイトやテキストサイトをやっているかもしれないと思うと、それはそれで見てみたい気がする。