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富山県 立山 (雄山3003m、大汝山(3015m)、富士ノ折立(2999m)) 2015年8月5日(水) 地図
1:立山
2,3:室堂平
祓堂付近から
4:龍王岳
5,6:立山カルデラ全景
7:一ノ越を目指す学童
8〜10:一ノ越
雄山
11:三角点
12:雄山(3003m)
13:大汝山(3015m)
14〜16:富士ノ折立(2999m)
17,18:内蔵助カール
19,20:大走りを下る
雷鳥沢から室堂へ
21,22:高山植物
23:雷鳥
24:ガキの田
25:地獄谷
26:みくりが池
立山の二日目
富山地方鉄道立山駅前(標高475m)の朝
 
ここからケーブルカーに乗り約7分で美女平駅(標高975m)到着した。
登山口の室堂へ大型バスに乗り換える。登山客が多く、2便目のバスであった。
一般車は通行できない専用自動車道でバスは悠々と登ってゆく。
バスは環境に配慮したハイブリッド車である。
周囲には2000mを超える山々が聳える弥陀ヶ原台地の風景はすばらしい。
森林地帯に入り、樹齢三百年の杉の前を通過。


約1時間、バスに揺られ室堂ターミナルに到着した。
ケーブル+バスの往復運賃は¥4,310であった。隣に座っていた同年輩のジサマが「バスも満員、儲かるでしょうな」と、「そうですね、臨時便もでてますからね」と私。

行程(周回約9km)
室堂ターミナル(8:00)==一ノ越山荘(9:10)==祓堂(9:55)==雄山(10:35〜11:05)==大汝山(11:55)==富士ノ折立(12:30)==大走り分岐(13:10)==雷鳥沢キャンプ場(15:00)==みくりが池(16:40)==室堂ターミナル(17:00)

立山は以下三山の総称と云われる:
雄山(おやま、3,003 m)、大汝山(おおなんじやま、3,015 m)、富士ノ折立(ふじのおりたて、2,999 m)


雄山にある三角点

いよいよ自分の脚だけが頼り、気を引き締めて歩き始めた。
広大なカルデラを囲む山々にはまだらな雪渓が貼り付き、アルペン気分が弥増している。

一ノ越から岩陵が始まる。
小学6年生の団体も先行しているので、オジンには丁度良いペース。
高度が上がるに従って、昨日カルデラ博物館で見学したカルデラの全景が眼下に広がってきた。
ガスが飛来し、遠望が利かないが幻想的でもある。

雄山頂上には雄山神社がある。
立山は日本三大霊山のひとつでもある。
山伏姿のグループも見られた。
¥500の参拝料を払いご祈祷を受けた。
2,30人ずつ狭い頂上の祠の前に登り神職さんの御祓いを受ける。
小学生も恒例になっているのだろうバンザイ三唱し、回りの一般登山者も大声で唱和した。
ここまで苦労して登って来た感激もあって、一期一会老若男女みんなの気持も良く合っていた。

頂戴した鈴付きのお札にはこう書かれていた。
私は今、日本三霊山立山の頂上に立った。
一万尺厳頭の神庭に相対するものは神と私だけである。
心眼に見ゆるものは全て神の光、心耳に聞ゆるものは全て神の声、神は私以外の何ものにも与えない大いなる使命を私に与えている。
私は神の子として私一人の尊い人生を力強く生きよう。
今、天地合掌の立山頂上に立って私は固く心に誓った。
昔から高い山には神が宿ると人々は信じ祠や地蔵を祀ってきた。
一万尺頂上ともなると、それほど信心深くない自分でも、有り難い気分になった。

小学生達も雄山までの様で、雄山から北へは、登山者も三々五々とぐっと少なくなった。
立山を下から見ると頂上は平板なようだが、来てみるとアップダウンのある岩陵だ。
ガスが切れると突然下界が広がり、おお、こんな高いところにいるのかと緊張する。

大汝山を過ぎた辺りで、三十代後半ぐらいの女性が休憩していた。
女性の山歩きも珍しくなくなったが、まさに煙草を一服しておられる。
「休憩所はこの先でしたか、もう水が少なくなってきたもので」と声をかけた。
「それなら私のを差し上げます」と冷えたジュースのボトルを下さった。
「そんな、先ほどの雄山では¥500もしました、どうぞお受け取り下さい」とお金を差し出すのだが頑として拒まれた。
これまた有り難いことであった。

休憩所でさらにもう一本、水を購入した。
「ごめんください」と呼ばわるのだが返事がない。
休憩所の兄さんは、小屋の中の一角でインド音楽を聴きながら瞑想にふけっているようだった。いつもそうなのか、その時たまたまだったのか・・・
お金をだすと、「どうもどうも、ありがとうございます」という言葉とは裏腹に(お金など)どうでもよさそう?にも思える感じだった。
決して不快な感じではなく、高山のせいか、先ほどの女性といい、この兄さんといい、自分自身もまた脚が地につかないような浮き世離れ気分である。

富士ノ折立を過ぎると、ガスの切れ目から眼下に雄大な内蔵助カールが見えてきた。
大走り分岐から下りに入る。急斜面のガレ場が延々と続く。
子供二人の家族連れと一人の若者が先行していたが、たちまち引き離され見えなくなった。
後ろから追って来る人も全くなくなった。高度差600mの大走りをゆっくりと下っていった。
先ほどから脚の疲労が極まってきており、先行者のようにはいかなかった。
それが逆に幸いしたか、遠くにキャンプ場が見え、雪渓が近くなった辺りで雷鳥に出会った。
幼鳥もいたがハイマツに隠れてしまった。親鳥は2m位に近づいても逃げる様子はなかった。

キャンプ場からは、また登りに入る。写真で見た万里の長城のような石段が続いていた。膝の痛みがひどくなり、両ストックで登る。
みくりが池辺りで、また小学生達に会った。雄山を下りてこの辺を散策するコースだったのだろうか。
雲が垂れ、小雨がぱらつく中、記念撮影をしていた。
この辺り一帯、地獄谷からの硫黄臭がしている。

初めての3000m稜線歩きはなんとか無事に終わった。
いつか和歌山の熊野古道歩きで最終バスに乗り遅れ、ご近所の方に送って頂いたことがあったが、今回は最終バスに2便ほど余裕を残して到着した。

立山駅でもう一泊し、宇奈月温泉と黒部トロッコを回る予定で来ていたが、その気持はすっかりなくなってしまった。
立山を歩いたことで充分満足。
亀谷(かめがい)温泉で疲れを癒したあと、そのまま夜通し高速道路をひたすら走って帰った。
途中のサービスエリアで何度も仮眠をとったので帰宅したのは夜明けだった。